あの日、あの時の願い事が、昼と夜を分つことになった______ * 美しく穏やかな光を放つ月が浮かび、風が凪ぐ夜のこと。 一人の少女は、いくつもの星に染まる夜空を見つめていた。 あたかも、心の底から、何かを叫びたがっているように。 すると、ひとつだけ、細い尾をたなびかせた星が、夜空を駆けていく。 少女はそれを見つけると、何かを乞うように、その星に向かって言葉を矢継ぎ早に紡ぐ。 尾を引いた星は、海へと沈み______ しばらくして、星は海の中で弾け、ある人々に「深い眠り」をもたらした。 * 【夢乃side】 「…ここ?」 耳に装着した通信機に声をかける。 「はい、そのまま這って行ってください。」 わたしはその指示に従って、狭くて暗く、そして埃っぽい通気口の中を、音を立てないようそっと這って進んでいく。 狭いため背中や腰が少し痛む。まだ先は遠いのだろうと感じた。 が、精一杯這っている最中。 「見つけた」 網状になっている通気口の蓋が見えた。 下からは、部屋の明かりが差し込んでいる。 部屋からは何人かの話し声が聞こえ、どの声も男ばかり。 今回のターゲットはこの中にいるのだろう。 わたしは、服の中に忍ばせていた小型の爆弾___手榴弾を取り出し、網状の蓋をそっと外すと、部屋の中にそれを落とした。 爆弾はすぐさま爆ぜ、部屋の中の男たちは半分狂ったような叫び声をあげた。 爆風にやられないよう、わたしは狭い通気口の中で後ろに退く。 焼け野原のようになった部屋の、壊れた通気口からわたしは出ていく。 部屋では、何人かの男たちが倒れていた。 大体は焼タヒ体となっており、まだ生きている奴は体が黒焦げになったまま、苦しそうな声をあげている。 「…ごめんなさい、わたしたちの仕事の為なの。許して。」 スカートからナイフを取り出す。 やけに苦しそうな叫び声をあげている男に近づき、否応なしに、ナイフで刺した。 男は苦しそうに藻掻いていたが、やがてぴたりと止まり、そのまま息絶えた。 「和泉さん、地下に『ブラッド』があるとの噂です。すぐに向かってください。」 通信機を通して、今回の任務担当の司令官の命令が聞こえる。 「分かった。」 短く返事をし、また通気口に潜り込む。 今度は地下への道を辿ることとなった。 先刻の司令官が言ったとおり、地下に『ブラッド』があるらしい。 噂でしかないのだが、それが本当であることを祈る。 『ブラッド』はわたしたちスパイチーム___「Dream」に必要不可欠な紅い鉱石だ。 説明すると大分長くなるが、この世界で度々起こる「TPS」______正式名称は、「Temporary permanent sleep」______という謎の睡眠状態を解く鍵となるのが「ブラッド」。 わたしたち「Dream」は「TPS」状態に陥った人を助けるため「ブラッド」を探している。 この夜の世界に、また昼が訪れることを祈りながら。 [To be continued ...?]
前回:なし 次回:制作中 公式スタジオ: https://scratch.mit.edu/studios/35216046