ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【あるAAAF幹部の後日談】 長い戦いの末に広大なるオーストラリアにおける戦争は一つの結末を迎えた。 終戦前夜、AAA連邦政府に終戦の最大要因とされる重大な報が飛び込んで来た。白色戦線におけるクーデターである。 私は寝耳に水とでも言うべき心境に至っていたが、チャーチル総統は噓の様に冷静に戦後処理の準備を始めた。 後日、クーデターの主犯である元白色戦線幹部数名が総統府に招かれた。サングラスをおかけになられたチャーチル総統が彼らを迎える時、閣下の口元が笑っているように見られたのは、私が心に留め置いている秘密である。 白色戦線総司令部はクーデターの後AAAFへの合流を宣言。南方戦線は維持されたまま東西両政府は合併した。AAAF政府には元白色戦線幹部をはじめとするクーデター主要人物が合流し政権運営の一翼を担う形となった。AAAFが"オーストラリア民族"の名の下に国家社会主義を宣言するのは、その後間もない話である。あまりにも素早い合併劇に一部では他国の干渉が噂されているが、もはや私には関係のない話である。 チャーチル総統はAAAF全土にてオーストラリア戦争の終結を宣言し、"オーストラリア民族"の結束を呼びかけた。 オーストラリア全土に平安が取り戻されたかというと、そうではない。南東部にはUSA残存勢力がメルボルンを拠点として連邦軍と戦闘を続けており、依然米軍などの介入も見られる。ニュージーランドでは北島を自由主義者、南島を赤軍が残存勢力が散り散りとなり統一指揮系統は存在しないが占領している。他国工作員による同地への介入も数件既に報告されており、未だオーストラリアは統一されていない。 チャーチル総統は未だ貴重品であるコーヒーを自ら淹れられた。今日は連邦政府の政権閣議の日だ。新なメンバーを加えた合議の場にはカップに注がれたコーヒーが並んでいる。さて、そろそろ閣議の時間だ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1935年 双頭の鷲が無数に血を流し形成されたように見えた世界は混沌と狂気へと疾走していた。大帝国はその過去のビジョンや世界観に絶えず苛まれ疲弊し新たな思想の栄光や躍進を求めた国はかつてのアイデンティティを見失いつつある。この混迷の中で生き延びる国はどこであろうか...?