天野は私が救う
・ 【side AMANO】 あいつ…… 霧灯戸羽は変な奴だった。 いつもひとりな癖に、私と一緒にいる時はよく笑ってくれた。 それに、私がピンチの時はいつでも助けに来てくれた。 ___「好きなの?アイツのこと」 私たちみたいな思春期真っ盛りの高校生は、他の子の色恋に敏感だった。…だって、他に楽しみがないもの。 私たちは、他人の恋愛事情を知るたびにドキドキして…寂しい心を紛らわせていたのだと、思う。 だから…きっと、この気持ちは… 「……天野ッ!!!」 視界の端から青ざめた霧灯が走ってくる。 別に、殴られたくらいで死ぬくらい弱くないし。 目の前で嫌らしい笑みを浮かべている男は、私たちの中でも特に教師に目をつけられている問題児だった。 「あとっ……5分だから!!!」 「はっ、はっ……だからって…!」 「おいおい、なんの話してるんだぁお二人さん」 ジリジリと近づいてくる。あと、後もう少しなのに…! 「はは、すごい痛いだろー?これが俺の能力さ」 カラカラと笑う問題児の仕草は霧灯に似ていたが、彼のような爽やかさは感じられなかった。「俺の言うことに従うってんなら…先生呼ばないでやるよ」と脅してくるそいつに同意したくなくて、私は意識が朦朧とする中必死にそいつを睨んだ。 (疲れたでやんす)