グランドキャニオンってタマネギみたい
…困ったことになった。 目の前にそびえる大きな壁。その目の前に立っている大きな警備員。とても俺たちみたいな子供が来るところじゃない___そう本能で感じた。 そんな大男たちを見上げながら俺は数分前のことを思い出していた。 * 始まりはひとつの言葉だった。 少なくなった銀貨をひとつずつ数えていた天野は、「やべ、もうお金ない」と焦ったようにつぶやいた。 「なんでも屋やろーぜ」 「うーーん…不本意だけどそうしますか…」 「不本意ぃ? …つってもここ田舎だからな…でかい都市に行かねーと」 「うーん…グランドエリアへの通り道となると…」 パスッと天野の人差し指が指していた地名を読み上げる。…「ベルースポート」。聞いたことないところだ。そう言うと呆れたのか天野は「有名でしょ」と肩を落とした。 「美しいって言う意味のべルース、港って意味のポートでベルースポート。有名な港町でしょ」 「有名ってどれくらい?」 「サンシャインタウンくらい」 「どこだっけそこ…」 面倒くさそうに言うと諦めたのか深ーいため息をついて天野は話を進めていった。 * 「おい、通行手形が必要なんて聞いてねえぞ」 「習ってないからしょうがないでしょ」 こそこそと周りに聞こえないように耳打ちすると、少し焦った声が返ってきた。きっとこいつも予想外だったんだろう。そして、そんな挙動不審な俺たちは警備員の大男に簡単に見つかってしまうわけで。 「おい、なにか用か」 「ヒッ!? …え、えっと…街に入りたくて」 「通行手形は」 「あ、アリマセン……」 「じゃあ通すわけには…」 「そこをどうにかできませんか!? 私たち悪い人たちじゃないです!」 「……ふむ」 そうか、要は悪人じゃないことを…などとぶつぶつ呟き始めた大男に、俺たちは顔を見合わせた。なんだ、すぐ斬首とかなるのかと思ったけど優しいじゃん。少し緊張がほぐれて、俺は少しだけ笑った。 「…おい、少年」 「はい?」 「お前たちは悪人じゃないと言ったな。証明できるか?」 「証明ィ? どうやって」 「…最近この街の近くの森で大型モンスターが出没している。そいつを倒してくれば中に入れてやる」 「モッ…!?」 (疲れた)