メモクレの下の方にあります 理由:雰囲気がイマイチだから(それだけです)
出来は気にしないでください(((保険 馬の蹄の音と共に、その死の軍勢は近づいてくる。 ザワザワと不快なくらいに重く充満する霊気を纏って、兵士たちが攻めてくる。 奴らは、我らダリア帝国の兵士を恐怖の底に突き落とした__ルディ王国軍。 勇敢にも前線に立って見張りをしていた俺の友人は、真っ先に斬られて死んだ。 上官たちも、嵐に身体を引き裂かれて地中に埋められていく。 向こうでは俺と同じようなどこにでもいるやつが、剣に喉を刺し貫かれている。 俺たちの基地は、見る間に味方の血で染められた。 クソ、なんで俺たちみたいな下級兵士がなぶり殺しにされなきゃならないんだ。 正義を背負ったみたいな顔しやがって__まあ、悪いのは100%俺たちなんだがな。 2年前、ダリア帝国は宣戦布告もせず、一方的にルディ王国への侵略を開始した。 向こうさんからすりゃ、俺の国は悪の帝国だ。 俺の国の我儘で苦しんだ農民や漁師や__いろんな奴らの叫びが、奴らの纏う霊気をいっそう重くしている。 それでも、帝国兵として徴兵された俺たちダリア帝国民は__。 前に出ようと俺が剣を抜いたその時、後ろから声がした。 一人の若い敵方兵士が、俺に一騎打ちを申し込んできたのだ。 俺はしばらく硬直し、少し迷ったあと、承諾した。 変なやつもあるもんだ。そいつは恐らく気配操作の能力を持っている。気配操作の能力はほぼ見破ることのできない隠密と同義だ。やろうと思えばどこへでも忍びこめるくせに、敵陣のど真ん中で奇襲もせずに一騎打ちを申し込む。俺が勝負を受けなければ、多対一でボコボコにされていただろうに。 静寂の中、俺とそいつは戦った。剣士の作法で、剣技だけで。 周りで勝負の行方を見守っている仲間も、決してヤジを飛ばしたりしなかった。 俺は負けた。 雑魚掃討の一環としてじゃなく、相手に認められての死。それは死を確約された下級兵士が最後にもつ密かな望み。今、俺はその尊厳に満ち溢れた死をもう少しで迎えられる。 しかし、そいつはとどめを刺さなかった。剣を収め、俺の手から俺の剣をもぎ取る。気づいた時には、またもや別の人間に対決を要求しに行っていた。 実に堂々としていて、微塵の疑問も感じさせない程の自然な動きだった。 俺は、剣を失った腕の感覚がなくなったような気がして、膝をついたままそいつの姿を目で追っていた。 そいつは見る間にこの場にいた全員を叩きのめすと、勝ち取った12本の剣を石畳に突き立てた。12本の剣は音もなく折れた。 最後に一礼をして、そいつは出て行った。 俺たちは互いに顔を見合わせたが、全員が全員、正々堂々と剣を失ったことをやっと理解すると、不思議と笑いが込み上げてきた。 襲撃の前に感じていた重苦しい不安は、綺麗さっぱり消えていた。 この戦いで、一般兵数十人が剣と戦う意志を失ったらしい。俺もその一人だった。 いつか、いつか奴らと俺たちが国境を越えて笑いあえるようになりますように__。 そう願いながら、俺たちは今は国に戻って反戦運動をしている。