「……あぁ、これが愛と呼ばれるものなんだ」 〜第二話〜 「僕の名前は……ハク。君を助けに来た神様だよ」 ーー突然の告白に、僕は眼を白黒させる。 (……神様?そんなもの、あるわけないじゃないか。 だって、神様がいたなら、こんな目に遭わなくていいはずだろ。 そう、神様なんていなんだよ。こんな世には……。) ……頭では分かっていたんだ。この世に神様なんか居るわけがないって、僕は分かっていたんだ。 そう、そのはずなのに…… 「……じゃあ、君が本当に神様なら。この僕を助けてくれるって言うなら。 ……今すぐ、この僕を生まれ変わらせてよ」 こんな事を言ってしまったのは、君の姿があまりにも綺麗だったから。 「……つまり、キミは今の人生が嫌なわけだ」 薄氷のような微笑みを浮かべ、尋ねる天使。 「そうだよ。 誰かの顔ばかり窺って、失敗したら殴られる。 みんなと違うことをしてみたもんなら、全員の気が済むまで苦しめ続けられる公開処刑だ。 まるでハズレと大ハズレしか無いようなクソみたいな博打。 ……君は神様なんでしょ? だったら、僕を殺して、別のものへと作り替えてよ!」 最初は囁き声のような小さい声だったのに、徐々に声が大きくなっていった。最後はほとんど叫び声のような独白だ。 (……あぁ、馬鹿なこと言ってるな。) 僕は頭の隅で、ぼんやりと考えた。 ーー僕は初めて会ったばかりの人に、洗いざらい何もかも話して、愚痴を垂れて、子供のような妄言を呟いて。 だんだん顔に熱が集まってくるのがわかる。 (一体、何をしているんだよ。この僕は⁉︎) 恥ずかしさから、目を逸らそうとしたその瞬間。 ーー突如優しく、温かい物で、体を包まれた。 僕が慌てて顔を上げると、ハクが僕に抱きついている。 「ちょっ……!」 僕はハクを自分の体から離そうとするけど、しっかりと掴んで離さない。 それどころかどんどん力が強くなっていく。 「……お疲れ様」 ふと、声が聞こえた。 「……これまで、苦しい人生を生き続けて。 自分の運命に抗い続けて。 死にたくなってしまうほど、キミは頑張ってきたんだ」 声が、言葉が、体に沁み込んでいく。 「だから……お疲れ様。 よく頑張ったね」 息が一瞬詰まった。 脳が、理解を拒んだんだ。 だって、これまでこんな優しい言葉は貰ったことがなかったから。 これまで貰った言葉には、全て棘が。悪意が。いやというほど込められていた。 なのに…… (きっと、この言葉もそうだ。優しく見せかけているだけで、本当は罠で……) 必死に思い込もうとする。 だって、もしこの言葉が嘘だったら。 本当は全然優しくなんかなくて、悪意が隠されていたら。 後から、ものすごい絶望を味わされるって知っているから。 だから、この言葉も信じちゃ駄目なのに……! 涙が、止まらないのは、なんでなんだろう? ポロポロ、と次から次へと雫が頬を伝って溢れていく。 止めたいのに、涙が止まらない。 ハクが、ただ無言で、僕の頭を撫でた。 その感触がまた、どうしようもないほど丁寧で、また視界が霞んでいく。 ……あぁ、これが愛と呼ばれるものなんだ。 僕は、唐突に悟った。 ずっと、愛なんてものは僕とは未来永劫無関係だと思っていた。 こんな僕じゃ、一生手に入れられない。こんな世界に存在するわけないんだって。 ーーでも、まさか僕も愛に触れられるなんて。 ……ははっ。 小さく笑いをこぼした。 うん、認めよう。 本当は認めるつもりなんて、一切なかったけど。 もう、それも限界だ。 これ以上は、自分を誤魔化せない。 ……この世は何処までも クソッタレで。 最悪で。 不平等で。 ゴミにもならないような世界だけど。 ……間違いなく、神様はいるんだ。 僕の、目の前に。 next……
「キミは神様。」シリーズ第二話です! 第一話…https://scratch.mit.edu/projects/1085598220 まふまふさんの輪廻転生が元ネタとなっています。 (歌詞と見比べてみたら、元ネタになっているところがたくさん見つかるかも…?) 温かい目で読んでくれると、嬉しいです! (感想をくれると、もっと嬉しい……) リクエスト by sawara385 元ネタ まふまふ「輪廻転生」 https://www.youtube.com/watch?v=vU3oF90WKpw ※解釈違いなどが合ったら、すみません。元ネタの曲もすごく良い曲なので、是非聴いてみてください! #story ……投稿予定日から日にちが過ぎすぎ、という意見もありますが、この週末はいろいろ用事ができてしまい、私個人の意見としては、これは不可抗力だと思っていますので、特に問題はありません! ーー必殺⭐︎長文言い訳((