- 第三話 / クリーク - -[1944年9月29日 / パンター戦車内] - ドゴォンッ!私は戦車の中、砲撃音で目を覚ました。眠い目を擦り、鉄のハッチを開け、外を見る。外には軽い砲撃を行なっている戦車が見える。「ローラント / なんだ、敵か?」装填士が答える。「いや、あいつは多分砲撃の試し撃ちをしてるんすよ、途中で撃てなくなったらただの鉄屑ですから」ローラントは「ローラント / ああ、そうか」と軽く頷いた。そして、食事(戦時食)を片手に日を見る。少し目を瞑る。「ローラント / もう朝か、」ローラントの呟きに、操縦士が答える。「操縦士 / 司令長官、この森を抜けたら敵の拠点があるとされている崖です。気を抜かないでください。」そうだった、今は作戦中だ。ここは敵のど真ん中。作戦開始の後、夜の奇襲だった為か初回はうまく行った。ただ、補給路の接続や敵の物量に問題があった。パンター戦車は我が国防軍の基本的な中戦車だ。スピードも速く、砲弾も敵に浴びせれる。まさに、動く要塞だ。しかし、この電撃的なスピードに補給線を敷くのが間に合わず、包囲される危険性もあった。更には先ほども言った通りの敵の物量だ。ソビエト連邦は広大な大地に大量の軍需工場があり、圧倒的な生産力を誇る。戦車の強さはドイツ軍に比べたら少し劣るが、侮ると普通にやられる。そう言って爆発していった戦車を何回も見て来た。っと、自分語りをしている間に操縦士が口を開く。「操縦士 / 着きました。あの前にあるのが…赤軍の仮拠点です。」「ローラント / お…大きい」咄嗟に出た言葉がそれだった。見る限り、大量の重戦車、中戦車が綺麗に並べれている。見た限り、今は食事中だそうだ。ボルシチというトマトソースの様な物を美味しそうに食べている。狙うには絶好のチャンスだ。私は無線機で全軍に通達した。「ローラント / パンツァー・フォー(戦車前進)」すると、味方のパンター戦車が一斉に動き出した。何重も重なった重いキャタピラ音が一斉に聞こえた。それと呼応する様に乗っている戦車がグワァンと軽く揺れながら動く。流石に気付いたのか、赤軍の1人が何か叫んでいる。「ソ連兵A / Это враг‼︎」何を言っているのか分からない。恐らくは味方を大声で呼んでいたりするのだろう。敵を見掛けたらまず、行わなければならない行動の一つだ。それに構わず、操縦士が止まり、装填士が砲弾を砲身に入れ、砲撃手が戦車へ放つ。各戦車から1発の砲弾が敵基地へ浴びせられる。''黒煙''そう言って良いほどの黒い、火花が度々見える煙があった。敵戦車が数台、砲弾の餌食になった。黒い炭の様なものがひしゃげた鉄屑に複数見える。間髪を入れずにもう1発放たれた。その瞬間に固定機関銃に乗ろうとしていた敵兵が吹っ飛んだ。文字通りに、機関銃の熱により歪んだパーツがあたり一面に見える。そろそろだと思う。3発目を打とうとした瞬間、砲弾が複数発、飛んできた。多くは外れたが隣の隣から黒煙が上がるのがはっきりと見えた。爆発はしていない…が、砲塔部分がやられた戦車に継戦能力はないだろう。ドイツ軍兵士が逃げ惑う。「ドイツ兵A / Ich wurde geschlagen!(ぶん殴られた!)」何処へいたのか、茂みの中から逃げるドイツ兵の背中に鉛玉が撃ち込まれる。その弾は人を撃ち殺すには十分過ぎた。弾丸の射撃地点を飛んできた方向から割り出し、無造作に撃つ。爆発は見られたが、その撃ったやつがいたのかは分からない。ここで彼らは初めて、「闘い」を知る事となる。鉄と血、肉が焼ける匂い。砲弾の雨、味方か?敵か?死体も判別が難しい。すぐにやられた。敵の砲弾を浴び、激しい炎を上げて戦車が爆発した。逃げるスキもない。こちらも負けじと、撃った。撃ちまくった。砲弾が尽きるまで撃った。敵の砲弾が戦車を擦り、ガァッン!と大きな鉄の声をあげた時も諦めることはなかった。暫くすると、後方から新たなキャタピラ音がした。戦車の中の小さなハッチから目を覗かせ、迫り来る戦車を見た。''味方だ''一目で分かった。傷一つない鉤十字がそこに見える。安堵の息で戦車内が満たされた。''味方本隊の合流''それは、我ら第三戦車大隊にとっての奇跡に思えた。本来なら本隊はサンクトペテルブルク戦に投入されるはずだったからだ。「ローラント / oh Gott(ああ、神よ)」今はそれしか言えなかった。 = = = - 注意 - 以下、当小説で書かれている、国家名、軍隊名、個人名等は実在する物も多々転々とありますが、それらを賛美、批判する様な意図で当小説は書かれておりません。 = = = あとがき☆ やっぱり…戦闘シーンは想像して書いてるんですが、文にするとやっぱり多くなっちゃうんですよ…そこが醍醐味とも言えますがね。さてさて、第二話に引き続き、第三話も出してみました!呼んでくださっている皆様、本当にありがとうございます!お身体にだけはご気を付けて!