〝我は汝、汝は我。 汝、異世界の者に関わりし。 目の前の苦難を乗り越える勇気を与えられる。 汝、運命の道へ。〟 「ある時、夢を見た。思い出したくもない運命への道。」 「どうした、カムイ!?」 ドサッ なんだろうか。体が重い。乱闘しすぎただろうか。 ……僕はカムイ。 僕は白夜王国で生まれ、暗夜王国で育った。そしてある偶然から本当の家族との再会を果たして、生まれた国と育った国どちら側につくか、選択することになった。 だけど、どちらにすれば。どっちにつけばいいのか。わからなかった。 その時、自分の下の地面が一瞬にして消えた。拍子抜けした。 そして僕は、この【スマブラ】の世界に送られてきた。 僕をスマブラの世界に送ったマスターハンドによると、自分と年代が違うが同じ世界からやってきた人達もいるらしい。 乱闘さえすれば、衣食住も与えられる。他の皆も優しく、頼れる。 だけど、まだ心に残っていることがある。 元の世界に帰った時………どちらにつけばいいのだろうか……? 「ここは…………………私……………フィ……モン……名を…………」 「名を…………………強い………………を……」 「あ、起きた。」 目が覚めた時、僕はソファーに寝そべっていた。 倒れた後、僕は仮眠室で眠らされていたらしい。迷惑をかけてしまった。 「……ごめん、リヒター」 「やっぱり、スピリットvs普通じゃ無理があったか……すまない。」 彼はリヒター。吸血鬼を倒すヴァンアパイアハンターらしい。 出会った時は、ファイターの中でも大きい方だし怖かったが、今では超リーチ同士の友達だ。時々遊ぶような乱闘を彼と共にやっているが、所詮お遊びで本気ではやってない。気絶したのも当たりが悪かったのだろう。 「とりあえず、ドクターに見て貰ったけれども異常はないって」 「もうちょっと休ませて」 「わかった」 今思うとあの夢はなんだったろうか。仮面の男が出てきて、自分に名前を聞いた気がする。どんな夢だったのかあやふやになってしまっている。 ……そういえば 「リヒター」 「なんだ?」 「今日、新しく入ってくるファイターがいるんだよね…?ジョーカーって子。」 「その状態じゃ行けないと思うぞ……?休んどいた方が良い。」 リヒターがそう言った途端に頭が割れるように痛くなった。まるで何かを突き破ろうとしようとするように。 「ウッ……ハアハアハア…………」 「おい、カムイ!」 また僕は気を失ってしまったようだ。2回目。また迷惑かけてしまった…………。 「ようこそ……我がベルベットルームへ……」 目が覚めると僕は、青い部屋の赤いソファーに座っていた。周りを見回すとここは城のシャンデリアがある美しいエントランスのようだが、扉はすべて鎖で閉鎖されていた。僕とに広いテーブル越しのソファーに座っていたのは、鼻が長い奇妙な老人。老人の隣には目が髪が青い、独特な青い格好をした仮面の兵士。そして何処からか、心地の良いピアノと声が響いている。 「この部屋は夢と現実、精神と物質の狭間の場所であり、ここにこられた客人にお手伝いをするため我らが精一杯尽くしてるのであります。」 仮面の兵士が僕に向かって話す。まるでロボットのような話し方だ。金髪が似合いそうな気がした。 「申し遅れましたな。私の名前はイゴール。この部屋、ベルベットルームの主をしております。」 「僕は、アレスであります。我主、イゴール様の手助けをしているのであります。」 「なんで僕をこんなところに……?」 「あなたがこれから出会うのは、愚者のアルカナを持つ者です。愚者の意味は始まり……、あなたはこれから彼に出会い、【ペルソナ】を覚醒させるでしょう。」 「イゴール様、時間であります。」 「おっと時間でしたか………。さっき彼が言った通り、このベルベットルームの客人であるあなたを手伝うために誠意を尽くしているのです。自由への扉を開けるために……」 「今後、お見知りおきを…」 目覚めた時、僕は仮眠室ではなく自分のベットに眠らされていた。 ベッドの隣のテーブルには果物と手紙が2枚置かれていた。 一つはリヒターからの伝言であった。とりあえず休んで欲しいと書いてある。 もう一つは……… 【カムイ様、あなたは運命から逃れられない。】 訳がわからなかった。運命から逃れられないとはなんなのか……。ただの悪戯だと思い、ビリビリに破り、窓の外にポイっと投げた。風が吹いているのでどこかにフワフワと飛んで行ってしまった。 ふと、外を見たら新入りとともにパーティをやっているようで、講堂に灯りがついていた。 「ハア………。」 溜め息をついた。当たり前だ。今日は散々な日々だったからだ……。 「ふぁいあーえむぶれむう………」 倒れた日から数日後。やはり僕はいつもどうりの日々を過ごしていた。 「おはよう!元気か?」 「あ、リヒター……うん、僕は元気。」 「そういえば、お前の次の相手『ジョーカー』らしいな」 「あ、うん」 今ジョーカーと聞くと暗夜王国で世話をしてくれた彼、ジョーカーをおもいだす。だいぶ僕への愛をぶつけてきたけど……。 暗夜や白夜のことを思い出すと泣き出しそうになってしまう。心に残った何かが動き回る。 そろそろ時間のようだ。 「いってくるね」 ジョーカー。トランプのババ抜きで忌み嫌われる存在であるが、ワイルドとも呼ばれ、切り札ともされる。まるでトリックスターのような存在。僕もそんな風に立ち回れば………。泣きそうだから何も考えないでおこう。 乱闘の控え室につき、準備体操をしていたら、ジョーカーが入って来たようだ。どんな人だろうか……? 「君が……ジョーカー?」 「そうだ、そういう君はカムイさん。」 彼は黒いコートに赤い手袋。そして白いドミノマスクを被った青年であった。まるで怪盗のような身だしなみ。そして手にはナイフと銃を持っていた。結構危ない人そうのように見える。 「それ……本物?」 「いや、違う。偽物だ。いろいろ事情があって、戦いの時だけは本物 のような力を持つ。」 「ナイフと銃だけじゃ、危ないよ?僕は竜になれるし。」 「竜………!まあ……それだけじゃない。俺は、もう一人の自分…ペルソナを出せるんだ。制限がつけられてるけどな。」 「ペル…………ソナ!?」 驚いてしまった。あの鼻の老人イゴールが言う「ペルソナ」を口に出したのだ。夢だとは思うが、偶然には遠すぎる。もしかして正夢だったのだろうか………。 「時間だぞ、カムイさん。」 ジョーカーは怪盗らしく優雅にステージに向かっていた。 一体僕の回りで何が動いているのだろうか………。 乱闘が始まった。彼はスピード重視のファイターのようで僕としては不利なカードだった。だけど僕は歴戦を重ねてきた。今なら…… 「貫け!!」 ジョーカーを吹っ飛ばし追撃を確信したが、しかしうまくはいかなかった。彼もまた、戦いの祭典スマブラに呼ばれた身だから。 「ペ ル ソ ナ ッ !」 響きわたるジョーカーの声。後ろには悪魔に様な神秘的な存在。そして観客の声は最高潮に達していた。僕には見向きもしない。観客達はジョーカーにしか向いていない。 その時だった。 「え?」 「ガッ…………」 ジョーカーの首が何者かによって掴まれ、宙に浮いていた。黒く、仮面を被っている影の様な大きな存在。手が沢山生えており、うねうねとゆらめいていた。影のような存在ジョーカーを壁に叩きつけ、僕に目を向けた。 「ヒッ………」 僕の今の力では倒すことができない。勘で感じていた。圧倒的な圧。そして沢山の腕が伸びて僕を攫おうとする。もう無理だ……。もう、もう……。 『諦めてはならない、我の半身よ。』 何処からかこえがひびいた。自分に似ているがとても神秘的な声。 『お前はまだ、心に残っていることがあるのだろう……?ここで死ぬのは早すぎるだろう……?わかるのだ。我は汝、汝は我。我、汝の剣なり。さあ、我の名前を叫べっ!』 名前なんてわからないのに胸の奥、心の奥から言葉が這い上がってきた。そうだ……そうだ! 「絶対守れっ!!来い、ヤトノガミィーッ!!!!」 自分の背後にもう一人の自分が出てきているのを肌に感じる。風で髪とマントが靡き、もう一人の僕が咆哮をした。 「行くぞ、ヤトノガミ」 自分の体がとても軽い。不満とか、ストレスとかすべて吹っ飛んだような感覚だった。今自分で思った。今なら魔導書なしで魔法を打てる。 「アルジローレ!」 やっぱり、撃てたようだ。この魔法は相当影に効いたらしく、唸って怒ったようにこちらをギラリと見た。 そして聞いたこともない言葉が沢山漏れた。 「ランダマイザ、コンセントレイト!」 そして僕の中からの力が沢山漏れ、魔法を唱えた。この影を木っ端微塵にするために。 「メギドラオン!!」 影は、木っ端微塵になり粉となった。煌めく美しい砂となって消えた。 自分でもよくわからない。なんで魔導書なしで魔法を使えたのか、なんで自分が知らない魔法を使えたのか、なんでペルソナの覚醒したのか。 わからない。いやまだ分からなくて良い気がした。 ふらっとして僕は倒れてしまった。 今月、三回目だ……。 「本当だったんだ…‥イゴールが言っていた竜のペルソナ使い……」
「ペルソナ様、ペルソナ様……おいでください…………」 今月3回目に気絶した先にはあの長い鼻の老人……イゴールがいた。隣には仮面の兵士アレス。ここは青い部屋、ベルベットルームのようだ。イゴールは何かのカードを机に並べていた。 「ようこそベルベットルームへ」 心地良い歌が部屋中に響く。誰が歌っているんだろう?そう考えているうちに、イゴールがペラリとカードを2枚めくった。 「ふーむ、なるほど。これは刑死者と節制のカード………あなたの未来に見える物は、試練を乗り越えて次に二つの物を組合せ新たなる物を作るようだ……」 「あの……聞きたいことがありますけど……」 「何でありますか?」 アレスがこっちをまじまじと見て、こっちに歩いて行く。自分の椅子とイゴール側には距離があるからかこちらに歩いてくる。姿勢が正しく美しい歩き方だった。 「ここはどこなんですか?この前言っていた僕への手伝いとはなんですか?というかペルソナってなんですか?…知らない魔法を使っていたんですが何故ですか?聞きたいことが沢山あります…………」 「わかりました。一つずつ答えていくのであります。」 彼が言うには、この「スマブラ」の世界がとある闇に飲み込まれかけているため、ジョーカーの世界からやってきたらしい。このベルベットルームは時間は流れていなく、部屋自体は僕の心理状況を表している。ペルソナは自分の人格を表した仮面で誰でも持っている物だが、具現化出来る人はごく僅かにしかいないこと。そして人の憶測に眠る暗い感情が具現化したシャドウがいること。そして僕がペルソナ使いの適正、そして特殊な能力「チェックメイト」を持っており、闇に狙われるため手伝うと。チェックメイトの詳細はまだ言わないらしい。知らない魔法は自分のペルソナ刻まれていた物であるため、宿主の僕が魔法を使えるらしい。 「まさかいきなり上位魔法を使うとは思わなかったであります。」 一方…… 「ようこそ、ベルベットルームへ。マイトリックスター。」 「…… ラヴェンツァ」 目覚めたらやはりベルベットルームだった。しかし、昔の監獄とは違い電車のような外見となっている。前、蒸気機関車だったことがあった気がする。服装もボロボロの囚人服ではなくて、怪盗服。着心地が死ぬほど悪かったのでとても嬉しい。外は光と闇の間を走っているように見え、とても幻想的であった。 「前話した通り、この世界も闇に狙われています。」 「ああ。イセカイナビ使わなくともシャドウが現れた。これは異常事態だ。」 「昔、この世界を襲ったタブーやキーラ・ターズとは違う存在のようです。」 「ヤルダバオトがここまで来るわけが無さそうだしな……というか倒したし」 ラヴェンツァと話していると隣の車両から人が入って来た。人ではなさそうだが……。 「お姉様、アレスであります。我が主から伝言が。この世界ではワイルドは通用せず、あれが力を持つと。」 「……わかりました。」 アレスと名乗った青色の兵士はまた隣の車両へと戻っていった。ラヴェンツァは困ったような哀しそうな顔して言う。 「マイトリックスター。ここの世界ではワイルドはかき消されるらしいです。その代わり無限の力を持つのは「チェックメイト」…。倒したシャドウを交渉なしでペルソナにする能力です」 「これを持つのはあの竜のペルソナ使い、カムイだけです。」 「はあ………アルセーヌだけか…。」 ラヴェンツァはスキルカードがあると言ってくれたが、自分が事故起こしてまで育てたペルソナが……。と思ったら心を病んでしまいそうになる。限界突破ルシファー育てたのに。 「時間のようです。またお見知りおきを……マイトリックスター……。」 目覚めたら僕は、乱闘会場近くに立っている病院にいた。右にはリヒター。左には先輩のルフレがいた。たぶんドクターマリオさんが自分を見てくれたようで、机にはカプセル型のラムネが置かれていた。リヒターとルフレは安堵の顔を見せてくれた。 「君、7時間ぐらい気を失ってたみたいだね……何者かの襲撃と言っても気を抜いちゃだめだと思うよ。」 「…!まって!ジョーカーは?」 「彼はまだここの病院にいると思うが……」 「ちょっと待って会いに行ってくる!」 「おい!カムイ、やめとけっ!」 なぜか自分はジョーカーに会わなければならないと思った。だって彼はペルソナを知っている。詳しいことがわかるはずだ。裸足で地面を蹴って走っていく。自分史上最速の走りを見している。 「ジョーカー!!!ハアハア………」 「「「「誰?」」」」 どうやら、ジョーカーには先に人が来ていたようだ。ピアスを片方しか付けていない少年、茶髪で奇抜な髪型の少年、青髪でイヤホンを持っている少年、銀髪で学ランを着ている少年。4人がジョーカーの周りを囲んでいた。全員が鋭い顔つきをしていて、かなりの緊張感があった。ジョーカーはリンゴを吹き出した。 「カムイさん……」 「クマか!?」 「クマ……?違います」 「すまない、カムイさん。先輩達が来ていて。」 「あ、そうですか……ペルソナのことを聞こうと……」 ペルソナと口に出して言ったら、他の4人は驚いた顔をし銀髪の少年がこっちにきた。低くても170センチはありそうで威圧感もあるが、とても良い顔付きをしている。しかし緊張感がある。 「少し、話をしようか」 「アハハっ!本当ですか番長さん!?紫色のカレーって!!」 ペルソナについての話をしたがみんな軽く受け止めていた。死んでいる人や神殺しをしたらしい。各自変なあだ名で呼び合っているらしく、ピアスをつけた少年はそのままピアス、茶髪の少年はタッちゃん、青髪の少年はキタロー、銀髪の少年は番長。そしてジョーカーのことは屋根ゴミとみんな呼んでいたが、何も言わないことにした。 「カムイ、今ペルソナ出せる?」 ピアスに真剣な顔で言われた。端正な顔立ちをしている。ピアスに言われた通り、自分のペルソナ「ヤトノカミ」を出した。そしてピアス達はまじまじと僕のペルソナを見始めた。 「おい、屋根ゴミ。カムイはどんな魔法を使っていた?」 タッちゃんがジョーカーに向かって聞く。 「コンセントレイトとメギドラオン。自分が見たのはこれだけだ。」 「すごいね……そんなペルソナあったらニュクスなんて一撃かも……」 そして魔法をジョーカーに聞いた後も僕のペルソナをまじまじと見始めた。そしてピアスが本を出し、何かを5人で見始めた。 「カムイ、君のアルカナは節制のようだ。」 「……?アルカナ?」 「RPGでいう属性みたいな物だ。節制のペルソナ使いは初めて見たが……」 番長が言葉を言い終わった時、扉がバキッと鳴り響き、黒い影……シャドウが侵入してきた。一気に5人の目は変わる。 「ペルソナを出せ!カムイを守れ!」 数分でシャドウは討伐され、塵となった。 「雑魚だったな」 その時だった。ルフレが恐怖と焦りの形相でジョーカーの病室のドアを開けた。 「リヒターが!リヒターが誘拐された!」 すると突然、テレビがついていないのに砂嵐の音を発した。番長は驚き焦るような表情をした。ザザザと音が鳴り、パッとテレビがついた。そしてテレビには髪が伸びたリヒターが写っていた。 【ようこそ、悪魔城へ。この悪魔城の主、リヒターがあなたを欲望の地獄へ招きいれます……!フフフ、ハハハ!血の香りがする!魔物達よ!汚く小さな穢れたハエを叩き潰せ!ハハハハハハッ!!!】 「くっ、マヨナカテレビか……!」 続く