エイプリルフール企画 「もし、デービィが一本角だったら?」 〈プロローグ〉 ___悪魔。それは、魔界に住むそれはとても恐ろしい存在。しかし魔導士の中には、悪魔を召喚しようとする怖いもの知らずの魔導士もいた。彼の名前は「モン・ソンジュ」悪魔を召喚しようとする1人の魔導士だ。 「魔法陣も描いた、蝋燭も準備した。…これで準備万端…!」 モンが魔法の杖を持つと、魔法陣は光りながら回り、蝋燭には青い炎が灯った。 「”いこででよまくあ!!!!!!”」 そう唱えると魔法陣は回転速度を更に上げ、魔界へのゲートが開いた。そこから出てきたのは… 「…俺を呼び出すなんて、あんたいい度胸してるなぁ?」 〈1〉 魔界から出てきたのは、一本のツノを生やした紫色の悪魔だった。 「…君の名前を教えて?」 モンがそういうと、悪魔は呆れるように答えた。 「はぁ?あんた、”時期魔王候補”の俺に向かって、なんなのその態度?あんたと俺の、この圧倒的な力の差が理解できないわけ?」 モンは首を横に振り喋り始めた。 「僕は君と仲良くなりたいんだ。君の名前、教えてくれない?」 悪魔はモンの言葉に異様なオーラを感じ、モンに告げた。 「……俺は”デビリス・ヴァイオレット”だ…。…そう!魔界の次期魔王候補で、現在の魔王であるお父様の子息だぞ?身をわきまえるといい召喚者!!!」 「・・・。」 3秒ほどの沈黙が続いた後、モンが口を開いた。 「えっと…魔王っていうと、混沌と破壊の魔王のこと…だよね?」 デビリスは形相を変え、モンに話し始めた。 「混沌と破壊の魔王…?あんなやつ、魔王になんか相応しくねぇ…魔界を統べるのは俺たち悪魔が相応しい…!」 「なんで混沌と破壊の魔王が相応しくないの?」 「あいつは純粋な魔族じゃない、あいつは魂食種っていって、色んな奴の"魂"を喰うんだ。だからあいつは色んな種族のハーフ…いや、最早1/4とじゃ1/16とかそれ以上か‥ってレベルだ。だからあいつは俺たち悪魔の最大の敵であり、蹴落とすべき相手なんだ...!」 「そうなんだ…」 多くの人が信仰の対象としている混沌と破壊の魔王についての衝撃の事実を伝えられ、呆然としていた。 「そういやあんたの名前聞いてなかったな。あんたはなんて言うんだ?」 「僕は”モン・ソンジュ”だよ。」 「モン・ソンジュか…ならモンだな!ふっふっふ...あんたには俺の僕として過ごすんだな!わかったか?モン!」 「...それって、僕の友達になってくれるってこと?」 モンはキラキラとした目でデビリスに聞いた。 「いや!そんな...友達...とかじゃ.....ねぇし.....」 デビリスは顔を赤くしながら言った。 そんなこんなで、悪魔と魔導士は、ひょんなことから出会い、"友達"として接していくようになった。 それから2人は共に、いろいろなことをした。魔法の研究やポーションの研究、魔法を使った大会に参加するなど、豊かな生活をしていった。 〈2〉 ______30年後 モンは人間だから、当然悪魔より寿命は短い。モンは「魔癌」という不治の病により命を落とした。 デビリスは、生活していく中でモンにつけられたあだ名「デービィ」として生活をしていった。 デービィは現世せの生活を楽しみを知り、魔界から擬似的に脱出をした。 独りでずっと魔法の研究をしていく日々、そんなデービィがポツリと独り言を言った。 「あれから3年…か...。モンはもう...この世にはいないんだよね...。」 デービィは目から一滴、また一滴と、水粒が落ちた。 「あれ...?おかしいな...こんなのとっくにわかってたはずなのに...なんで...こんなに悲しいんだろう...?」 モンは帰ってこない、そう思いながらもデービィは心のどこかで、"戻ってきてほしい"そう思っていた。しかし、現実は甘くない。モンが消えてしまった事実はこの世から無くならない。そんなデービィに一つの声が聞こえてきた。 「もし、過去に戻れたらどうしますか?」 デービィは咄嗟に戦闘体制に入り、その声の元である、水色の体をした女性の方を向いた。 「あんた誰だ…?俺になんか用でもあんのか?」 デービィは、警戒しながらも話しかけた。女性はフフッと笑い尋ねた。 「あなた、大切な人を失って悲しんでいるのでしょう?その人を想い、自分が苦しくなっているのでしょう?悲しいわよね、わかりますよ、痛いほど...ね。」 「………それがどうした?」 「それなら、もし、その人が助けられるとしたら?」 デービィはその言葉に心が揺さぶられた。モンがもし戻ってきたら、モンがまだ生きているなら、どれほど楽しいか、幸せか。考えなくてもわかる。それはデービィにとってとても幸せで、充実した毎日になると、デービィは、その誘いについて、 ________興味を持ってしまった。 〈3〉 「…それが本当なら、どうすればモンが戻ってくる?」 女性は不敵な笑みを浮かべ、語った。 「その方法は簡単です、そう!過去に戻るのです!」 「過去……?あんた馬鹿か?過去に戻れるわけ…」 「本当に馬鹿なのはどちらでしょう。」 女性は急に低い声で言った。 「あなた、人の話を聞けないのですね?私はそれができるからこそあなたに声を掛けたのです。」 「本当…なんだな?」 「えぇ…もちろん」 デービィは覚悟して言い放った。 「過去に…戻らせてくれ…」 女性はその言葉に頷き、デービィに説明し始めた。 「では、今から開く裂け目の中に入ってきてください。それは”時空の裂け目”私が作り出した”亜空間”に繋がる扉のようなものです。そこからなら、あなたが居た全ての時間軸に転移することができます。」 「……わかった。」 デービィと女性は裂け目の中に消えていった。 〈4〉 気がつくとそこは、大きな時計塔と地形の破片が浮遊している、なんとも不思議な空間だった。 「ここから…ほんとに行けるんだな…?」 女性は何回も、 「えぇそうです…えぇそうですとも…」 と繰り返し言い続けた。 「そうだ、申し遅れました。私は時の"賢者"この亜空間の創造主ですよ。」 「時の賢者...?あの時の魔女じゃなくてか?」 賢者はこうキョトンとして、デービィに聞いた。 「時の魔女...存じ上げませんねぇ?」 「あれだよ、なんか今各所で時空の裂け目っていうものを生み出している...って......」 「あぁ、それは..."私のことでしょうか?"」 デービィは思わず、「...は?」と言ってしまった。 「私はそんな危ない存在ではないですよ?あなたのように、過去に戻りたいと望む人に対して、手を差し伸べているだけなのですから...」 「けど....」 賢者はそんなデービィの言葉を完全に無視し、着々と準備を始めた。 「さぁ、このスイッチを差し上げます。」 「これ...は?」 賢者は時計塔の方を向きながら説明し始めた。 「それはループスイッチというものです。時計塔の力を利用しているんですよ!これを押せば、あなたが体験した時間軸に戻る...いや、行くことができます。あなたの記憶も今のままになるはずです。ただし...」 賢者はもう一度デービィの方を向き、不敵な笑みを浮かべながら話した。 「使用回数は5回です。慎重に使ってくださいね?」 「.....わかった。」 「それでは、行ってらっしゃいませ...」 デービィはスイッチを押し、過去へと戻った。 〈5〉 デービィの目が覚めると、そこは、いつも二人で魔法やポーションの研究をしている研究室だった。 「デービィ?ぼーっとしてどうしたの?」 「モ.....ン....?」 デービィはかつての親友である彼の姿を見て、涙が溢れてきた。 「わぁっ!デービィ!?どうしてそんな泣いてるの?何かやなことでもあった?あわわ....」 困り果てた表情をした親友を前に、デービィはハッとした。 「ご、ごめん...ちょっとなんだかうれしくて...」 「ん?まぁよくわかんないけど良かったね!ほら!早く回復薬の研究しないと!」 二人はそれからもずっと幸せに暮らしていきましたとさ。めでたしめでたし。 〈6〉 モンはまた、魔癌により命を落とした。同じ歴史をたどったことにデービィは酷く罪悪感を覚え、またスイッチを押した。そうしていくうちに、人生をもう4回もやり直している。その中でデービィは魔癌の治療方法や、魔癌に効く薬などを研究したが、そう易々と成功するならば不治の病となっていない。デービィはそうしていううちに、心を閉ざしていくようになってしまった。 「ねぇデービィ?そっちに火薬ある?」 「・・・。」 「おーい、デービィ?」 「・・・ある。」 「そっか、じゃぁ持ってきてくれない?」 「・・・・うん。」 モンは、デービィの様子の変化に気付き、デービィに聞いた。 「ねぇデービィ?なにか嫌なことでもあった?」 「・・・・・・ない。」 「僕にできることならなんでもする!なにかちからになれないかなぁ...?」 「・・・なれないよ...なれなかったもん...。」 「...え?どういうこと...?」 デービィは、秘密を打ち明けた。これが6回目の人生なこと、モンが魔癌によって亡くなってしまうこと、時の賢者のこと。全て正直に話した。 「そunaんdあ、あああ、」 「え...?モン...?」 「つらkkkkkあったたね、ねねねね、えええ」 「いや...モン....どうしたの.....?」 異常なモンの言動にデービィは恐怖を覚えた。そして、モンの体が段々と崩れてきた。まるで"バグ"のように...。すると突然デービィの頭の中に誰かが話しかけてきた。 「もう遊びは終わりよ?それはもう、"契約違反"」 デービィが目を覚ますと、そこは亜空間だった。 「時の....賢...者.....?」 「・・・あなた、本当に馬鹿なのね。」 「へ...?」 デービィはわけのわからない状況に頭を悩ませながら会話を続けた。 「私のことは他の人に話してはならない。そう暗示をかけたのだけども....悪魔にはそんなに効果がなかったようね。」 デービィは宙に浮かばせられた。何もないのに、誰かにつかまれている感覚だ。 「放....せ....!!!!」 そんなデービィの言葉には耳を傾けず、賢者は魔力を練り始めた。 「どうせなら全時空のあなたを消し去りたかったけど、もうあれこれ言ってられないわ」 賢者は魔力を最高潮まで貯めて解き放った。 「さよなら、デービィ""ディストーション・オブ・ディケイ""」 デービィは亜空間で、跡形もなく消えてしまった。 -END-