_序章_ 時は令和十二年の年明け前。ある会場では、 「「死へのカウントダウン」」が進んでいた___ 「お集まりの皆様!今年も残るところあと数分。年が明けましたら私わたくし共が考えた「「ゲーム」」で忘れられない始まりを迎えましょう!!」 名付けてニューイヤーゲームです!・・・と話しているのは、狼の着ぐるみ。 ではなくて、本物のニホンオオカミだった。だが、会場の誰もその事実に気が付かない。いや、ごく一部の人間は知っているが、言ったところで信用されるはずがない。 他の参加者たちは「すっげぇリアル!」「中の人大変そう・・・」など呑気なことを言っているが、それも仕方がないだろう。そもそも動物が喋るという概念がない。しかし、正体を知っている一部の人間はもどかしくてたまらない。なんせ、今から行われようとしているゲームは「「デスゲーム」」であるということを知っているのだから・・・。 そんな中、会場から逃げ出そうとする人影が2つ。 「くそっ、ゲートが閉まってやがるっ!あんのクッソ狼ぃぃ・・・」 「うっ・・・すん・・・」 一人は保護者らしき男。もう一人はただ泣き続ける12歳程度の少女。 彼らもまた 例のデスゲームに巻き込まれた経験のある数少ない優勝者だ。 __少女の名前は紅月 雅。早い話が この物語の主人公である。 〜登場人物紹介〜 紅月 雅 かつてのゲームが原因で、心を失ってしまった少女。少しだけ闇の魔法が使える。 恐山 蘭 かつて雅と同じタイミングでゲームに参加した事がある。雅と血の繋がりはないが保護者のように優しくしている。雅の養父。炎の魔法が使える。 火水度 闇男 蘭と同じく雅と同じタイミングでゲームに参加したことがある。薬学に精通しており、様々な薬を作れる。 第二章 まずは見せしめから 蘭はクソっと言いながらゲートのそばを離れる。このままではまたあのゲームに参加させられることになる。もはやそれはどうしようもないのだと、狼がカウントダウンを始める。 10 9 8 7 6・・・ 会場にいる何も知らない参加者たちはワクワクした様子でモニターの表示を見ている。どんなゲームが始まるんだろうと。 会場にいる、何もかもを知っている者達は口々に言う。「最悪だ」と。 3! 2! 1! 「ハッピーニューイヤー!は〜い、それではこれよりデスゲームを開催したいと思います〜!ルール説明はじめま〜」 「おい!ちょっとまってくれよ、デスゲームってなんだよ!!せっかくの年明けなのにふざけんなよ!!!」 「おやおや〜?私、言いましたよね?「「忘れられない年明けを迎えましょう」」と。忘れられないでしょう??デスゲームなんてやったら」 異議申し立てをした参加者は怒りに身を任せてステージに乗り上がった。それもそうだ。こんなふざけたやつには、拳一発でもぶちこまなければ気がすまないだろう。 「ふ ざ け る なぁぁぁぁぁ!!!」 パリィィィィィ・・・ン その拳が、狼にあたった途端砕け散った。 「ぇ・・・?何、何が起こったの・・・?」 「き、きえた・・・?何が起こったんだ・・・?」 参加者たちは動揺する。しかし、狼はお構いもなくルール説明を始めるのだった・・・。 第三章 ルール説明と役職について 狼のルール説明によるとこうだ。 ・狼に触れられると、人知を超えたなにかによってガラスが割れるような音と共に消えて脱落してしまう。 ・制限時間は十時間。 ・制限時間まで生き残り続ければ優勝となる。 ・脱落=死 ゲームが終わろうが、還ってくることはない。 ・役職については、個人が持ってるスマホにアプリを入れられており、確認ができる。回数制限がついていなければ何回でも使用可能。また、常時発動しているものは解除不可となる。 ・「「イベント」」というものが行われているときは狼は行動しない。 といったところだ。 「はいっ!なんか質問ある人いる〜?」 「は〜い、参加者同士で殺し合いはできますか〜?」 「もちろん可能ですっ!これを機に、憎いやつをバンバン殺ちゃってください!!」 「うっわぁ、あの人めっちゃやばいこと聞いてる・・・」 「マジカヨ、こえぇぇぇ・・・」 質問をした女性は次々に恐ろしいことを聞いている・・・。 彼女はこれまで何度もこのゲームに参加している、いわゆる常連だ。毎回細かいルールが違うので毎回こうして質問をしている。 ただし、これは自分の身を守るためでは決してない。 彼女は、これまでいくつものゲームでさんざん人を殺してきた、 ___害悪と呼ばれる存在だからだ___ 第四章 害悪 害悪とは、本来助け合うような場面なのに、相手の邪魔をしたり殺し合ったりするはた迷惑な奴らのことをいう。 あるいは___ 「参加者いないかな〜」 ある街道沿いに、高校生ぐらいの女性が歩いていた。 彼女の役職は「「人狼」」。人狼とは同じ役職以外の参加者を皆殺しにするとゲームを終了させることができ、残った人狼全員が優勝するという役職。そのため、彼女はさっさとゲームを終わらせるがために、人間を探して歩いている。 「・・・あ、いたいた。グサッとね」 ばたっ 「これでようやく一人か〜、先が長いな〜」 「・・・人狼だ。間違いない。殺るぞ」 __人狼が、悪役ならば 「いくぞ!!人狼を逃がすな!!」 かならず__ 「まずっ!「「狩人」」!?」 __狩る者がいるのだ。 「「狩人」」。人狼の役職を持つものをすべて殺し尽くすことでゲームを終了でき残った参加者全員が優勝となる。 客観的に見れば、狩人の方を応援したくなるだろう。だが 人を殺している事実に変わりはない___ 第六章 ゲームの危険性 ゲーム開始から三分ほどがたったあと・・・ 「はぁ・・・デスゲームなんて、誰が考えたのよ・・・」 ため息を付く少女が一人。 彼女の名前は夜里 美空よざと みく。中学二年生。彼女は小説を読むのが趣味で、デスゲームを題材としたものも読んだことがあるが、まさかほんとに実在しているなんて・・・。 「はぁ・・・」 彼女はもう一度ため息をつくと、目の前にあるものを凝視した。 「ぇ・・・・・・?」 目の前にあったのは、 ___血まみれの日本刀。 「え、は?待って待ってちょっと待って何?何これ?血?血だよねこれ!?え、ぇ、ど、どどどうしよう、ひ、拾う??待って待ってどうし__」 あまりの衝撃に美空は混乱する。 拾う、という選択肢が出てきたのは最悪のときに自分の身を守れるかもしれない、と踏んだからだ。だが、こんな血まみれの刀など持ちたくもない。 「え〜と。ま、まずは落ち着こう。深呼吸深呼吸・・・よしっ。えと、まずはこの血を拭こうかな、うん。こんなことになるなら武器は必要だし、血が付いてるのは嫌だし、ダイジョブダイジョブ、私がやったわけじゃないし」 ・・・と無理やり自分を正当化し、もってきていたハンカチを使って刀身についている血を拭う。もちろん使ったハンカチはその場に捨てる。気持ち悪い。 いつか誰かが通りがかったときに、なにか勘違いされるかもしれないが木にしないようにする。 「・・・よし、ある程度拭えたかな・・・。あぁ、デスゲームってこっわ」 そして、しばらく歩いていると、 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!助けてぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 第7章 人狼との衝突 突然、男の子の悲鳴が聞こえてきた。距離はそう遠くもなさそうだ。 「え!?何、悲鳴!??た、助けに行かなくっちゃ!!」 シュッ、グシッ グシュッ 「え........?」 そこで行われていたのは、 「〜〜〜!!!」 「ん〜?なんて言ってるのか聞こえないよ〜?」 大学生ほどと思われる女性が一人 血まみれの刃物を持って。 「え、え、え な、何してるんですか・・・?」 「ん?あ〜!見てたんだ〜、んじゃ、ついでに、」 声をかけた途端、笑顔で。 「君の命。もらってくね?」 気づいたときには、もう目の前で。 (殺される.........!!) 美空は必死で目を閉じる。瞼の裏で影が動く。 (こわい 怖い コワイ 恐い !!) 「死にたくない!!」 気づいたら声が外に出ていた。そして、美空に駆け寄る影が2つ。 「死にたくないなら死にものぐるいで抗あらがえよバカタレエエェェ!!!<フレイム>!」 突然、瞼の裏が赤く焼けた。恐る恐る目を開けると、炎がぼうぼうと燃えていた。 ___何が起こったの? 「あっちち、いいきなり何?」 「お前は、人狼だな!俺は「「狩人」」の恐山 蘭!!お前を殺しに来た!!」 「ま、待ってください!なんでいきなり殺すになるんですか!?話し合うとかないんですか!!?」 いきなり乱入してきた男...、恐山 蘭は切羽詰まった表情で美空の問に応じる。 「人狼ってのは簡単に言っちゃうと洗脳されてるんだよ。殺す以外の選択肢は、このゲームにおいて、無い。そんだけ、奴ら・・の知能は馬鹿げてんのさ。ま、説明はあとっ!火水度さんぶちまけて!!」 「おう!いつもどうりにな!!」 火水度と呼ばれたものは、即座にフラスコを取り出した。その取り出したフラスコを、思いっきり「「人狼」」に投げつける。 パリィィィィィン!! 「うおっし、<フレイム>!」 するとどうだろう、ミクがあっという間に燃えて灰になっていく。しかも、その断末魔が奇妙なのだ。 「うあぁぁぁぁぁ!!寒い!!!冷たい!!!!どうなっあ"あ"ぁ"あ"ァ"!!!!!」 寒い。冷たい。どうしたことだろうか・・・? 「?????????」 美空は困惑していた。、まって、燃えてるのに冷たいってどゆこと??? 「ふぅ、危ないとこだったな。大丈夫か?」 「あ、えっと」 「あぁ、俺は恐山 蘭、君は?」 美空はいきなり話しかけられて焦っていた。だって相手は殺人者。今、目の前で、人を業火で、骨も残らずやしてしまった人だ。いくら命の恩人だからといって、応じていいのだろうか? 「おい、蘭。今目の前で起こしたこと振り返ろよ、殺人だぞ?警戒して当然だ」 「あぁ、道理で。ごめん、怖がらせちゃったよな、でも、こうしないと被害が増えるだけなんだ。それに、俺だけじゃ人を殺すことができない。めっちゃ燃えてたのは認めるし、やりすぎなのも認めるけどこうしないとなんにもできねんだ」 蘭は真剣な顔つきに変えた。 「信じてくれ、俺達は、少しでも被害を抑えるために活動している。恐いなら、名乗らなくってもいい。でも一つだけ、」 蘭は美空を勇気づけるように、語気を強くしていった。 「手段をじっくり選んでいたら、死ぬのは自分だ。覚えときな。 最後にそう言い残し、奥にいた少女と一緒に去っていった・・・ 「死ぬのは自分・・・」 美空は、強く刀を握りしめた。 死にたくない___なら____ 「逃げるか、殺りあうしかない、ってこと」 できるだろうか?自分に、人殺しなんて。 いや、その迷いも断ち切らなくては。 死んでしまう。 (そう......、これが、デスゲームなのね・・・)
第五章 コウモリの復習 タッタッタッ 足音が静かに鳴り響く。 「さっきので人狼は二人目か」 闇男が応じた。 「だな、何人いるかは聞かされてないし気ぃつけないと」 前は知らされていたんだがな...と二人が話していると、 「おうおう、やっと見つけたゼ、ニンゲンよォ?」 狼だ。その目は黄色く、不気味に光り輝いている。 「オオカミ......」 蘭は敵意を込めて呟く。闇男は何やら薬品を用意している。オオカミはおどけたように言ってみせた。 「ヒョエー。殺意マシマシジャン!!ま、殺しゃぁしねぇよ、そろそろイベントの時間でなぁアナウンスかけに行くとこなんだここからだとちょっと遠くてなぁ.........。殺してる暇ねぇんだ、通してくれ。.........通せ?」 「.........信用できるかよ、」 蘭は冷たく言い放つ。オオカミは少し急かすように早口で説明する。 「あぁもう、二十分から三十分までイベントやるんだよ、頼むから通してくれよ!っ!?」 ボフン! 「うぅっおぉ!煙多すぎだよゴホッゴホッ」 「わ、わりぃ狼まくんならこれぐらいでもしねえと、って思って......」 「多すぎだわ!つか狼は!?」 .........どうやら、闇男が作った煙玉に紛れてどこかへ逃げたらしい。よくここまでの煙で逃げれるものだ。 「まぁ、助かったってことか・・・」 12時20分 イベントを告げるアナウンスが始まった。 イベント名は 「「コウモリの復習」」