ふと醜い老人は思考を巡らす 求めたものを全て捨ててしまった老人は 求めるものを全て幸せに導かんとする少年を思い出す あの少年は会った時から掴みようのない、どこか遠いところにいるような人だった いつも明るく、どこか危うげに感じられた 自分も昔は、あのように輝けたときがあったのだろうか、あったとしても、その輝きは自分の手で消してしまっているのだろう。 けど、あの少年は違うのだとどこか感じられた。きっと何年たっても輝きは鈍ることなく、煌々と輝き続けるだろう。そして、光に呑まれ彼自身すら見失ってしまうように見えた。彼がそれを理解しているのかは分からないが、それでも暗闇の中で大切な者を守るために、まるで自身を燃やすように輝き続けようとするのだろうか。 彼が光の中で輝くとき、私はただ光に導かれ、漂うことしかできないだろう。その姿はまるで街灯をつきと間違え、醜く群がる蛾のようだろう。 それならばいっそのこと燃えて、たった数刻でも彼の周りを照らし暗闇の中から導けるだろうか。 しかし、もうあの少年は遠くへ行き過ぎたのだろう。私達が手を伸ばそうと、少年は見向きもせず、私達のために暗闇をかけてゆく。 その慈悲とすら呼べる心は淡く私たちの身を焦がす。 もしまた会えたなら もし手を差し伸べられるなら もし手を取 孤独の少年であってはならない 彼は幸せにならなければ報われない そのためなら、この汚れ切りすり減った魂ですら喜んで捧げよう 残された道へ導くように そう醜い老人は心に決め、再び淡い夢を見た