遠藤未来(えんどうみらい) ____________________________ ...僕の名前は遠藤未来。教師をやっている。僕はいつも弱気で、生徒たちをまとめることが不得意だ。 ちょっとした問題児が学校にいるのは必然だけど...でも、その問題児に言うことを聞かせるのってほんと大変でさぁ....ほんとやになっちゃうんだよね,,, でも、生徒と僕が授業中に笑い合ったり、休み時間、体育館に生徒とバスケやったりするのは、とても楽しいことで..って、話が勝手に進みすぎてしまった。すまない。 .....実は、僕にはとある悩みがあるんだよね。 ...それは、ある夏休みの出来事だった。 僕は、夏休みに生徒たちの補講をしていた。 その日は気温が30℃以上で、とても蒸し暑い日だった。 僕が受け持っているクラスは明るくて、元気でみんな思いやりがある、最高のクラスだった。 しかし、問題児もいる。 その問題児の子の名前は「中谷悠(なかやゆう)」くんって言うんだけど、その子は授業中歩き回ってたり、給食中にペラペラとしゃべって、ちょっとマナーが足りない子..なんだよね。 僕も注意したいんだけど..上手く伝えられなくて..僕自身が引き気味な性格で... それで、なんで補講の話からこんな話をしたかっていうと、その子も補講を受けていたんだよね。 で、その日のあの出来事は、あの子がいなければ、僕は今頃、この世にいなかっただろう....って話だから、まず先に言わせてもらった。 では、その話をしようか。 餅草「...今日の2時から補講か...」 田中「嫌ですね〜、でも、その分給料がアップするらしいですよ?」 森島「ちょっと、田中さん?そんなこと言わないでください。子供が好きだから教師になったんじゃないんですか...?」 その日は、他の教師仲間がだべっていた。 僕は6年の担任を受け持っていて、この3人も6年の担任をしていた。 餅草さんは少しめんどくさがりやの30代の男性だが、生徒のことを気遣っていて、優しい一面もある。 田中さんは面は優しくて運動が得意な女性だが、裏でも自分の利益になることしか考えていない中年のおばさんだ。 森島さんは今年で41歳の男性。きっちりしている性格だが、お茶目な一面もあって生徒と意気投合しているらしい。 そして僕。僕は引き気味な性格で、一年前に先生になったばっかりだ。今はこの3人にかなり気を遣ってもらっている。..あと、僕は去年、5年生の担任をしてて、他3人もしていた。それで、全員生徒と一緒に上がってきたんだよね。 そして、今日は六年の補講の日。僕たち全員が職員室に集まった。 僕「.....大変だけど、生徒の笑顔が見れるなら、僕はそれで嬉しいですよ」 僕は小さい声でそう言った。 すると田中さんが 「..君のような若い頃はそう思ったよ〜笑でも、実際の教師界は結構アレなんだよ?気をつけてね笑」 ,,,,,一応今年で2年目だが....やっぱ知らないこと多いな。もっと知りたい..けど、闇までは知りたくないな。 餅草「...おいおい、若手にそんなこと言うな。噂が立つぞ。そしてもっと気遣ってほしい」 田中「はいはい、真面目ですね〜」 森島「遠藤さん、今日の補講、頑張りましょう。」 森島さんだけなんか優しいな...まあ、頑張るかぁ... 僕「はい!森島さんたちも頑張ってください!」 餅草「.......それと気をつけろよ」 ..?気を、つける? 僕「すみません、どういうこt」 田中「はいはいもういいから〜行くよ〜、」 僕は田中さんに押し切られてしまい、6年3組のクラスへと連れて行かれた。 ....あれ?もう人がいる。誰だろう? ...中谷くんじゃん....あの子、意外に早いな……いや、もしかしたらただ一番になりたかっただけ...? 中谷「あ、先生?いたんだ!でも残念、俺が一番〜!」 僕「別に君と対抗してないもんね〜!」 やっぱり..てか、意外と軽いけど口答えしちゃった..ま、いっか笑 僕「あと3人くらい来るから、それまで先生とゲームでもしてる?」 始まるまでまだ時間は15分くらいある。遊ぶ時間はあるから..ちょっとくらいいよね。 中谷「お、いいやん!じゃ、先生やろ〜」 僕「こらこら、先生にはもっと敬意を表さないと」 中谷「でも先生だってこどもっぽいじゃん!」 僕「ウッ..w、ま、まあとにかく!ゲームゲーム〜!トランプでババ抜きしよう!」 ...その後、僕たちは存分に楽しみ、補講のことをすっかり忘れてしまった。 僕「...ジョーカー...どっちだ...?」 中谷「..フッフッフ..さあ、どっちでしょう?」 ..うーん、中谷くんの目線的には右のトランプだけど、引っ掛けの可能性もある...もしかしたら、左?でも少し左の方が下がってるな...やっぱり、右をとろう(( 僕「...よっしゃ〜〜!!あがりッッ!」 中谷「くそお!..残念だなぁ。ま、補講に来てるから別にいいんだけどね。」 生徒「..先生?()」 ..完全に補講のことを忘れていた。僕は慌てて歩行の準備と、トランプの片付けをし、講義した。 僕「..ここの式は『X~~となるけれど、この場合の方程式は...」 中谷「先生〜そこはこうで...」 ..実は中谷くんは頭がいいんだ。なのに、わざと補講になってる。補講になるのは大体テストが平均65点以下の人だ。中谷くんの頭の良さだったらやれば90点以上は取れる。なのに、なぜ補講を受けるために、テストの点数をわざと下げようと、問題を間違えるんだろう.. 僕「じゃあ、今日の補講は終わり!みんなお疲れ様!」 約1時間の補講を終わらせ、僕は職員室に戻った。 田中「..お疲れ様です〜」 森島「お疲れ様です」 餅草「..お疲れ」 僕「皆さんお疲れ様です!今日の補講どうでしたか?「 ...返答なし。 あれ? おかしいな。 ..聞こえなかっただけか。 「田中さん、次回僕、家族の事情で1〜3時間目、出られないんですけど..」 田中さんはサッと職員玄関へ去っていく。無視..したわけじゃないよね? 僕..「あの、森島さん、」 森島「すみません今日は用事が」 森島さんまで帰っていってしまった。その時に、田中さんと何か話していたが、聞き取ることはできなかった。 ..急に無視することなんてあるか?もしかして僕が職員室に戻る前、何か話していた? 餅草「..おい、遠藤」 僕「えっ?!....餅草さん。どうしたんですか?」 ....よかった〜、餅草さんは無視してこなかった.. 餅草「..耐えきれよ..」 僕「え?」 そう言い残し、餅草さんは僕の肩をポンポンと叩き、去っていった。 ..耐え切る、なにを?そう疑問に思いながら、この不思議な1時間半は去った。 僕を家につき、コーヒーを入れ、少し息を抜いた。 「はぁ、きょうのみんななんだったんたろ..もしかして、集団いじめ?!」 ..ありえないか、そう思い、来週もまた補講の授業をした。 僕「みなさんこんにち..」 田中「ねえねえ森島さん?今日ちょっと一杯やってかない?最近ストレス溜まりまくってて〜!」 森島「...いいですね。行きましょう」 ..やっぱり無視されてる なんでだろう。 不思議と鳥肌がたった。 僕「あの」 僕は2人に近寄った。 その瞬間デスクに置いてあったペン立てを投げつけられた。 田中「..行きましょ、森島さん」 ..まさか、本当に、いじめってヤツ?これ 森島さんまで無視するなんて、きっちりした性格だけど、優しいと思ってたのに。 ..まあいいや、補講やって早く帰ろ。 中谷「あ、先生また遅いよ。何やってたの?」 僕「いや、ちょっと」 中谷「..あーね。わかったよ」 それから僕は少し早めに補講を終わらせた。 ..どうせ無視されるなら、僕も話しかけないどこ。 田中「遠藤くん?さっきのペン立てどこ?」 僕「.....」 田中「ねえどこかって聞いてるよね?耳ないの?」 すると田中さんは僕の髪を掴んで、顔を覗き込んだ。 僕「.うぁ....し、しりま、せんって....あのあと僕はもうかえ..ったんですから..」 すると田中さんは雑に僕の髪を振り払い、こう呟いた。 田中「..あっそ。役に立たないやつだな」 僕「..!!」 パワーハラスメント。たまにニュースとかで見る言葉だ。僕は僕自身がその標的になるとは微塵も思っていなかったから、気にしてなかったけど、もしかして、今の田中さんの行動はそれかもしれない。 僕「..あの、今の行動、まだ続けるならちょっと警察に相談しますよ」 森島「そんなことできるありませんよ」 僕「..もり、しまさん?」 ..まさかここに森島さんもいたなんて..まずい。 森島「私は田中さんからあなたの噂を聞きつけました。昔、あなた万引きをしたんだって?..そんなんでよく教師になれましたね。...期待ある若手だと思っていたのに。」 ...なんだよ、その噂..!!僕は万引きなんてしていないのに‼︎ 僕「あの!!森島さんそんな噂信じないでください‼︎!決してやってません!!」 田中「....呆れるわね。」 そして、僕の耳元で田中さんがつぶやいた。 田中「あなたのこと、前から嫌いだったのよ。あなたがどんどん昇進していくせいで、私の給料、地位は下がっていく。なら、あなたから下がってもらわないとね。」 僕「..!!」 そして、森島さんが 「...この学校には防犯カメラが一台もありません。あなたのような性格では、裁判の時もどうせ押し切られて負けるのがオチです。そもそもこれはパワハラなどではありませんしね」 僕「..くそ、餅草さんは..!!」 田中「あら、餅草さんなら今日は欠席よ。何やら風邪ですって?..残念ねえ」 僕「…は」 この状況じゃ、僕はここにはいられなくなる。 田中「.........残念だったわね。期待の新星が、一気に落ちるだなんて」 そして、森島さんが僕を職員室から追い出した。 そして、ドア越しから、森島さんが何か言った。 「.....これが、悪いこととは思わないでください。悪いのは、あなたなんですからね」 ......僕は、帰ろうと思った。でも、あしが、からだが、いうことを「きいてくれないんだ」 ..はあ。今考えて、いろいろおかしくないか?あの森島さんが田中さんの一言を完全に信じ切るような人だったのか?..おかしい。..もしかして、森島さんは、前々から僕のことを嫌いに,,,,,,?..そんなわけないよね。 そして、餅草さんが言っていた言葉...気をつけろよ、?どういうことだよ...みんな、何を考えているんだ... ..もしかして、これは計画されていたこと?わざとこの話を出して、僕をここから追い出そうと...そして、餅草さんは反対していた? なら、僕に気をつけろ、じゃなくて、今日あることをしっかりと言ってくれていれば... もしかして、それも田中さんに何かをユスらていた..?..そんな考えても答えはどうせわからないか。 ..僕は、放心状態のまま、学校をふらふらと歩いた。 ...元々気弱な性格で、何度も「あのこと」を考えた。 …今日実行してしまおうか? そう思い、僕は階段を駆け上がり、屋上の扉を開けた。 _________死んでしまおう。
そて、屋上に足を踏み入れた。 僕「...ふ〜...4時なのに、まだ涼しくて、天気もいいな、夏だから、当然だけど」 僕は、無力感を感じていながらも、最後のこの天気を見ていようと思った。 ここの学校の屋上には落下防止のフェンスがない。屋上に行く機会が滅多にないからだ。あるとすれば、清掃員が掃除をするときくらい。子どもも入ることは禁止されている。 僕「...はぁ、嫌になったゃうなあ。こういうことあると」 ...そして、僕は屋上の、本来フェンスがつけられるところに足を一歩ずつ、ゆっくりと入れた。 ..ちょっとでもバランスを崩したら落ちてしまいそうだ。 そして、片足を空中に_____ 中谷「あれ、先生、どしたの?」 急に中谷くんの声が..と思い、周りを見渡したが、どこにもいない。空耳か。 中谷「....おーい、先生ここここ。」 僕がもう一度当たりを見回すと、中谷くんが、僕が立っているところの右あたりに、寝そべっていた。 僕「...中谷くん?!そんなところで寝ていたら、ここから落ちてしまうじゃないか!早く戻りなさ__」 中谷「先生こそ何言ってんの?」 僕「え.」 中谷「それはこっちのセリフだよ。先生。何があったかは知らないけど、今日の先生は明らかにおかしいよ」 僕「....なんでもないよ。ちょっと外に空気を吸おうと思って、ほら、早く家に帰りなさい」 中谷「.....そう言って、僕を追い払ってここから落ちる気?」 考えていたことを的中されてしまい、思わず心臓がドキッとなった。 その後も、僕は呆然としたまま、何も言葉を発せない。 中谷「…‥知ってるよ。僕。先生、先生になって間もないんでしょ?僕ね、だから先生が心配で、わざと問題行動を起こしたり、補講を受けてたりしたんだよ」 僕「..意味がわからない。心配なら迷惑をかけないために問題など起こさないだろう?しかも、君1人が補講を受けたら、人数が1人増えて、僕が勉強をもっと教えるハメになる。そしたら、僕の疲労はどんどん蓄積されるんだよ?」 少しキツイ口調で言ってしまったか、とハッとしたが、中谷くんは落ち着いた顔で続ける。 中谷「わかってないな、先生は。だからこそ、僕はそうしたんだよ。誰かが問題行動を起こしたら、どう対処してくれるのかな、とか。補講とか、放課後からも授業を教えることになって、先生、大丈夫なのかな。とか、だから、それを慣れさせるために、僕はわざとそうしたんだ」 僕「..........は?..じゃ、じゃあ、僕が今まで中谷くんに指導してきたのって、意味なかったの?」 中谷「..意味なくなんかないよ。むしろ先生の成長に繋がったじゃん。それで万々歳じゃないか」 ...何もかも見透かされたような言動。僕を試していたと言っているのと同じことを言われた。この子、いったいなんなんだ。まだ小6の子どもだろ。そこまで人の心を理解するなんて____ 中谷「子どもを甘く見ると痛い目見るよ。先生。,,,,いろんな意味で、ね。」 僕「色んな意味で..?」 僕は呆気に取られ、死のうと思っていたことすら忘れてしまった。 中谷「児童のことは大切に守ります。それが、この学校の先生のめあてなんでしょ?なら..守ってよね」 そして、中谷くんは、ピンと背を伸ばし、足を空中に落とし______ 僕「中谷くんッッ!!!」 僕は、急いで中谷くんの腕を引っ張り上げ、屋上にあげた。あまりの出来事で、何も整理がつかなかった。 そして、中谷くんはイタズラ好きのこの顔のように、に〜っと笑った。 僕「ハッ....ハッ...!...中谷くん....!!どうして!!」 僕の言葉を遮るように、中谷くんは言った。 中谷「..最後の課題、よくクリアしたね。先生」 ...........えっ。 もしかして これも、 僕を試してた? やり場のない怒りと、安心感が込み上げてきた。 僕「..中谷、くん..っ」 僕は、生徒が目の前にいるのに、その場で泣き出してしまった。 中谷「..でも、僕がどうして屋上にいたか、先生は聞かないんだね」 僕「..?」 中谷「何の理由もなく、こんな危ない屋上に入るわけないじゃん」 .....どういうことだ。 さっきまで安心していたのに、一気に不安が押してくる。 中谷「....本当はさ、先生と同じ理由だったんだ。」 僕「...は?」 僕はやっと、なぜ屋上に入ったか思い出した。 中谷「...僕も、______死にたかったんだよね。」 僕「......中谷、くん?」 中谷「...でもさ、でも..いざここに来ると、やっぱ無理だね。俺、臆病者なんだよね。こう見えて。」 ..中谷くんは、苦笑いで言った。 中谷「...決断できなくて、でも、死にたくて。だから、いつ落ちてもいいように、ここで寝そべってたんだ_____そんな時に、先生が来たんだ」 僕「.,!」 本当は僕が救われたさと思った。中谷くんがいなければ、今頃僕はこの世にはいなかった。 ____でも、救っていたのは僕の方? 中谷「でも、ふと思いついたんだ。ここで生徒が目の前で落ちたら、先生はどんなことするのかなーって。責任問題にもなるし、学校全体の不評が広がるし。___でも、一か八か、先生を試しちゃった!」 僕は、呆気に取られて、何も言えなかった。 数秒間をおいて、僕は唇を動かした。 僕「____ほんと、イカれてる子だよ____」 END おまけ 餅草「,,.あいつら、いなくなってよかったな」 僕「まあ、そうですね..」 餅草「本当に止めれなくてすまなかった。遠藤。」 そう、田中さんと森島さんは、退任していた。あの後餅草さんが僕に連絡してきて、この事態を収束してくれた。 僕「本当に、中谷君には感謝ですよ」 餅草「でも、このことがバレたら退職どころじゃないからな。秘密だぞ。」 僕「ですね.....中谷くんも、言わないでくれるらしいし。」 そして、僕はやっと、居場所を見つけることができた。