雨傘 夢寝(あまかさむね) ___________________________ ....僕の名前は雨傘夢寝....アイマスクがトレードマークなんだ...僕は、特別な過去なんてないけど...あるとしたら、これかな..... これは、僕が8歳の頃の話だった。 僕が算数の少人数の一番下のCクラスにいるときに、とてもつまらなく、眠くて、授業の50分間をほとんど寝ることに使ってしまったんだ。 その時に、僕はとてもいい夢を見て、もっと深寝入りしてしまった。その夢とは、沖縄の涼しくて海の「ザザーン」というとても気持ちいい音が流れるビーチで、ハンモックに揺られながら、お昼寝する夢だった。 僕「.....もうちょっと....ねむたぃ...海の音..気持ちぃぃ..」 僕は、そんな寝言をかなり大きな声で言ってしまい、周りから笑われた。そして、その笑い声で僕は咄嗟に顔を上げた。 でも、その時によだれがたれてしまって、もっと笑われた。女子にはめちゃくちゃ嫌な目で見られたんだ.... そして、先生が激怒した。 先生「ちょっ、雨傘くん?!授業中ですよ?!寝ているなら廊下に立っていなさい!」 そして、僕は泣きながら廊下に立った。 僕「はぁ....もうねむいって....」 そして、すべての授業が終わった後、僕はトボトボと家に帰った。 母「あら、おかえりなさい。...何やら今日は嫌なことがあったみたいね。言ってみなさい」 僕「あのさあ.......今日さ、ちょーっとお眠りしただけなのに、先生に怒られて、廊下に立たされたんだよ?最悪だよ......」 母「..それは..夢寝が悪いんじゃないの?」 母は、苦笑いしてそう言った。 僕「ふん、じゃあいいよ!もうみんなばっかし僕を責めて!なんなんだよ!」 母「まあまあ、ごめんなさい。そうだ。最近ここの近くに眼鏡・アイマスク・ピアスとか体に身につける系専門のショップが入ったらしいわよ。アイマスク買いたいって言ってたわよね?行ってみたら?」 僕「そ、そ、そんなお店、1人で行けないよ〜」 母「あら?いつも友達のいちかちゃんとお祭りとかにいってるのにどうしてかしら?」 僕は、あたふたして、最後の言い訳のような声で言った。 僕「だって、そう言うとこ、大人がたくさんいるし、なんかカードとかで支払ってて、恥ずかしいじゃん....!」 母は、その言葉を聞くと、大笑いし、僕の肩をポンポンと叩いた。 母「現金で1500円渡すから、おつかいとして行ってみたら?いい経験になるわよ」 僕は、母に押し切られ、渋々と家を出た。 僕「はぁ、もうやだ..グスッヒッグ....」 僕は泣きながらそのショップへと向かった。 道のりはそんなに遠くないし、外見も良くて、そんなにイカれてる店ではなさそうだ。良かった... 僕「よし、入るか...」 入った瞬間、僕はこのショップに魅力を感じた。色とりどりのメガネに、可愛い帽子、しかも、僕の大好きなアイマスクがたくさんあるんだ! 僕「..すごいなぁ...!!何色にしよっかな?」 薄緑、ピンク、優しめの水色、しかも、赤色や黄色まで... でもやっぱり僕は.. 僕「薄緑、かな!」 僕はその色のアイマスクを手に取り、少し触り心地を確認してみた。 さらさらしているし、柔らかいけど、ちゃんと頭にフィットしそうだ。これを買おう...! 僕は、レジに並んだ。 周りの大人たちは背が高いし、なにやらファッションに興味があるらしい。いかつい帽子や、かわいい帽子を買おうとしている人や、ピアスを買おうとしているちょっとヤバめの高校生とかもいるけど、店員さんはいい雰囲気だ。 店員「ではお会計2008円になります!」 客「....カードで。」 店員「了解です!」 ピッ、ピッと店員が機械をいじっていた。 店員「では、こちらにカードを差し込んでください!」 客「...」 ピー。何やらおかしな音が鳴る。 店員「あ、すみません!そのカードは有効期限が切れてまして....」 客「チッ..」 客は舌打ちをして、現金で払ってサッ、と帰っていった。 ..感じの悪い客だったなぁ... 店員「はい!こちらへどうぞ!」 僕「あれ?僕の番?!..お、お願いします!」 僕は慌てて店員さんにアイマスクを渡した。 店員さんは素早く作業をする。 僕「...えっと..これでお願いします..」 僕が1000円を差し出すと、店員さんがちょっと困ったように言った。 店員「あ、ごめんなさい、これ、1508円するものなんだよね...」 えっ。僕が持ってきたのは1500円。足りない... どうしよう。後ろには客がたくさん溜まってる。 僕は少しずつ、じわじわと焦りだす。 僕「えっ、えっと!ごめんなさい...!!今日、1500円しか持ってきてなくて,,,,,」 ..僕は泣きそうになって、話した。 店員「..困ったな....じゃあ、買わないで欲しかった...」 この言葉に、僕は心臓を突き刺された。 ...ど、どうしよう。 ???「.......支払い、クレジットで。」 店員「えっ...と、まだ番はこの子で」 ???「そうじゃない。こいつの分を払うんだよ。」 店員「えっ?」 ???「..いいから」 店員「はっ、はい!」 店員は焦りながら機械をパッパと打つ。 僕「えっと..」 客?「.......さ、早く行くぞ。」 僕「は、はい」 僕は慌ててその男の後ろをついていく。 袋にアイマスクを入れてもらって、それを渡された。 僕「あ、ありがとうございます」 そして、その男はそそくさと帰っていった。
僕「あの人、どこかでみたことが.....」 でも、僕はそれ以来、アイマスクを自分のトレードマークにするようになった。 友達からも「アイマスクボーイ」とか言われるようになったし、なんか変な気もするけど良しとしよう。 _____数年後 僕「...今日も大学か..」 アイマスクを持っていき、僕は玄関を出る。 僕「行ってきます」 力強いけど、どこか頼りない声で、僕はそう言った。 END