「…」 何度繰り返しただろう。この施設が終わってしまう未来を防ごうとして何度失敗しただろう。俺は英雄でもないし最強でもない。ただの懲戒部門の職員だ。 「…ごめん、みんな」 また意識が遠のいていく、きっと管理人がまた再挑戦してくれたのだろう…いつも頼ってばかりの俺だが、今回ばかりは俺が鍵らしい、最後に死んだのは俺だからな…なんせ、俺以外の職員の死亡アナウンスを全て聞いてるからな 目が覚める、1日が始まる。きっとみんな忘れている。直前までこの平和が崩れていたことを、俺は独りだ、でもみんなの為に戦わなきゃいけない。 … 12回目、まだだ …… 78回目、また失敗した。 ……… 『よく頑張ったんだね』 …何回目だ?永遠に同じ場所で死んでる…それに、変な声が聞こえる。 『君は正しい、だから一緒に変えよう。この世界を』 ずっと聞いていたいような…身を委ねていたいような…あれ?俺の目的って… 『さあ、私の手を取るんだ』 … 『恐れることはない、君に力をあげるんだよ』 …違う、俺が求めているのはそんなものじゃない 「…俺が欲しいのは…力ではなく、名声でもない…ただみんなが生きている未来だ…気に入らないな、神にでもなったつもりか?」 『……』 あの声が沈黙する。どこまでも気に入らないな 「確かに、俺は弱い。だがそれが未来を諦める理由になろうか?否」 自分の手に握られている規制済みEGOのテロップが少しだけ剥がれる 「仮に弱くとも、臆病であろうと、俺は未来を諦めない」 ピシリと音を立てて、心の中の何かが砕ける。 「ようやく覚悟できた、俺は俺が生み出す失敗からも、混沌からも、逃げ出さない」 「たった今、破滅の歴史が書き変わることになる。」 …何も知らないものがそれを見たならば、ただの悪天候と思ったのだろうか、漂う黒雲が形を持ち、輪郭を持ち、やがて姿を持ち始める。ぼこぼこと湧き立つ表面、ぬらりと光る冒涜的ななにか。伸びる触手の先端から蹄のような物が生える。そして、咆哮する。自分が神だと、敬い、頭を垂れよと。しかし本来頭を垂れさせる側であるはずの神は、今1人の人間に頭を垂れている 「最強にはなれない、英雄にも、ならば最凶となり、神の力を以て。この災禍の繰り返しを止める。」 規制済みのテロップが剥がれ、彼の顔には無数の目と口が、握られている武器は触手を撚り合わせたようなものなのが分かる 「…始めようか、ほんのひと時の、英雄として。」 …業務記録 職員死亡数…1 また規制済みのテロップがなんらかの原因により剥がれ、規制済みへの作業が非常に困難になっている。 次の日へと進みます。
職員イラス(パラレル) 規制済み武器と黄昏防具を『使う』ことの出来る人間