本文↓ 「二回戦突破おめでとー!!」 「あ、ありがとな」 なんか既視感が… 二回戦を終えた俺は家に帰ってきていた。予想外にも試合が長く続き、プレイヤーの……主に俺の疲労を考えて準決勝と決勝は明後日に持ち越されることになったのだ。 明日ではない理由はどうやら会場が別の用途で使われるとかなんとか… とにかく休息がとれそうでよかった。 「お疲れ様です、クアッドさん!」 わかばさんは昼食を運んできた。 俺は試合前と同じくデュアルに手伝うことを止められ座っている。 「20分もよく戦ったよね…というかリッターっていう人の最後の猛攻撃よく耐えたよね!」 デュアルは席に座りながら声を上げた。 わかばさんも席に着いたようだ。 「ごり押しというかなんというか…」 「ごり押し?」 「ま、まあとにかく食べよう」 昼食はミートソースのスパゲッティ。今回は願掛けみたいなのもなくて助かる。 「試合を見ててなおさらクアッドさんのアビリティが気になりました!」 「確かに……なにか特殊なことをしている感じではなかったし…」 これはどうしよう言うべきか…… 正直黙ってる意味もないしな。 「つまり、未来が見えるってこと?」 「そういうことだ」 俺は自分のアビリティについて説明した。他の人には言わないという約束でな。 予知が知られることによるデメリットは実際無いに等しい。なぜなら確定した未来は変えられないから。 「で、それ使って降ってくるインクのパターン覚えて感覚で避けてたんだよ。予知使ってると若干動きが鈍るからいちいち使いながら避けるのは厳しかったしな」 「なんで鈍るの?」 「ゲームしながら勉強したらどっちも集中できないだろ」 「なるほど」 実際リッターはかなり厄介だった。勝てたのは俺のアビリティとリッターの相性が良かったのが大きい。 「師匠のアビリティはなんなんだろうな…師匠の試合ってもう見たのか?」 「はい、師匠さんが勝ち進みました、試合もかなり早く終わりましたし…」 師匠のアビリティは指を鳴らすと発動するものだということしかわかっていない。瞬間移動とか言われてるけど本当にそうなのかも謎だ。 「二人は見てどう思った?師匠のアビリティ」 「ボムいっぱい降らせてたし瞬間移動とかじゃないかも…」 「でも瞬間移動もしてましたよね」 ボムがいっぱい降るか… 「あのボムどこから持ってきてるんだろ」 どうやら今の段階では全く見当がつかないようだ。 色んなものが現れたり消えたり、マジックみたいなアビリティだな。 「ごちそうさまー!」 「ごちそうさま」 皿を片付けてわかばさんのほうを見ると、少ししか食事が進んでいないようだった。 「口にあわなかった?」 「あ…い、いえ、そうではなくて…」 わかばさんはうつむいて言った。 「すみません、食欲ないみたいで……ちょっと外出てきます。ごちそうさまでした」 わかばさんはなにかを聞かれることを恐れるように出掛けていった。 その日の夜10時になってもわかばさんは帰ってこなかった。 「なにかあったのかな…夕飯作ったんだけど……」 「探しにいくか…デュアル、力を貸してくれ」 「わかった」 デュアルのアビリティは一度でも触れたことのある人の位置がわかるというもの。 これでわかばさんのあとを追うのだ。 「えっとここは……ハイカラシティの住宅街……かな…?」 「ハイカラシティ?ここからかなりの距離じゃないか」 どうしてそんなところにいるかはわからないが、なにかに巻き込まれているかもしれない。 俺たちはすぐに駅に向かった。 ハイカラシティについたあと、一直線でわかばさんのいる方へ走った。 「近いよ!多分そこの家だと思う…」 俺は家のインターフォンを鳴らした。 何回か鳴らしてみるが返答はない。 「ここにいるんだよな?」 「そのはずだけど…」 ドアをノックしてみるが反応なし。 「どうするか……」 悩んでいるとドアが開いた。 「………え?」 驚いた表情で出てきたのはわかばさん。 俺が何か言おうとしたのを遮るようにデュアルの大声が響いた。 「わかばちゃーん!!心配したよー!!」 「静かにしろ、12時だぞ…」 わかばさんは唖然としている。 「あ、あの…なんでここが…」 「遅くまで帰ってこないから、デュアルの、位置がわかるアビリティで追いかけてきたんだよ。なにかあったかと思ったけど…」 「あっ、ここはわたしともみじの実家です」 「実家?なんで急にこんなところにきたの?」 わかばさんはうつむいて言った。 「わたしは…ここで暮らすことにします」 「えっ?」 「わたしにはもみじみたいなバトルの才能はないです…それにいつまでもクアッドさんの家に居座るわけにもいきません」 「家にいるのは構わないけど……」 そういう問題ではないのだろう。わかばさん自身もなにか思うところはあったようだ。 わかばさんはうつむいたまま続けた。 「二人は優しいですから、それに甘えてました。でも……」 誰もなにも言わなかった。……言えなかった。 「わかばさん」 なにを言えばいいのかなんてわからない。 「でもそれは同時に…」 予知は正しい未来を映すものじゃない。どんな結果だろうとそのままを映す。 「なんというか…逃げてるように見えちゃうんだ」 わかばさんはハッとしたように口を開こうとしたが、なにも言葉は出てこなかった。 俺は続けた。 「初めて会った試合のあと、言葉が詰まったときがあったよね」 無鉄砲。これを理由に一人で立ち向かっていたわかばさん。 「本当は変わりたかったからじゃない?」 「…そんなことは……」 俺もわかばさんもこれ以上言葉が続かなかった。 そこへ…… 「あ、終電いっちゃったみたい」 「え…?まじ?」 「どうしよ…お金なんか持ってきてないし野宿するしか……」 話しているとわかばさんが一歩前にでた。 「と、泊まっていきます…?」 「いいの!?わかばちゃんありがとー!!」 「だから夜遅いって言ってるだろー!」 「狭いお家ですけど……」 「ううん、そんなことないよ!すごくきれいだね」 中は整っていてきれいだった。観葉植物やそれぞれの家具の色の工夫などおしゃれで雰囲気もいい。 「あ、わかばちゃんお風呂借りていい?」 「いいですよ」 「じゃあお兄ちゃんお先~」 抜け駆けされたか…… 「あの…クアッドさん」 「ん?」 わかばさんは唐突に抱きついてきた。 「えっ…と……」 「離れ離れになるのは寂しいです」 わかばさんは手により一層力を込めた。 なんとなく震えているようでもあった。 「……俺たちからは離れないから」 わかばさんを一人にしておくのはよくないと、なぜかそう思った。 …これが、本心なのだろうか。 「俺に言えないことならデュアルに言っても…」 「いえ……しばらくこのままでいたいだけです」 ……えっ、どんなご褒美? それはなんというか……やばい頭撫でたい。 「お風呂あがったし寝るか…ってもう2時か」 「よし、じゃあ私は一階で寝るから、二人は2階にあったわかばちゃんの部屋で寝てね」 「なんでだよ…」 ふとわかばさんの方を見ると、階段の前で俺を見ている。 「あの、嫌でし…」 「よし行こう」 俺はわかばさんと一緒に2階にあがった。 「二人とも……冗談だったのに…私一人で寝るのか…」 デュアルは頭を抱えて呟いた。 「明日からどうする?俺たちは家に戻るけど」 俺とわかばさんは同じベッドの中に入っていた。 ベッドはわかばさん一人用にしては大きい方で狭くなかった。 「ここに残ります」 わかばさんは顔を布団にうずめていて表情が見えない。 「わかばさんがそう決めたならいいよ」 「……」 思っていたことは言った。 的はずれだったかもしれない。 「あの…」 わかばさんは起き上がってベッドから降りた。 「一度少し……お散歩しませんか…?」 わかばさんと俺は外にでてしばらくなにも言わず歩いていた。 もう真夜中のため人気はまったくなく、ハイカラシティの賑やかな雰囲気とは違った感じがする。 そんな中わかばさんは静かに話し始めた。 「もみじはわたしとは違って、どんなことでも簡単にこなせるんです。バトルを始めたのだって数ヵ月前です」 狭い道の途中でわかばさんは足を止めて振り返った。 「クアッドさんと会った日までは、家でバトルの中継に映るもみじの姿を見ているだけでした」 「でも、その日わかばさんだって…」 「…違う」 わかばさんの声は震えていた。 「わたしは自分のためにバトルを始めたんです。変わりたいとかそういうことじゃないんです…」 「わかばさん」 俺は一歩前にでて言った。 「そういう気持ちがあったのかもしれない。けど、俺には変わろうとしているように見えたよ」 「……でも結局ここに戻ってきました」 「じゃあもう一回行こう」 わかばさんは顔をあげた。 「まだ少しでも思ってるなら」 なんで俺を外に呼んだのかなんとなくわかる。 昔の俺を見てるみたいだ。 「もう…一回……」 絶望してたとき、師匠に……まあやり方はあれだったけど、前を向かせられたな。 「わたしは……」 「じゃあ俺に手伝わせてほしい」 「えっ?」 俺にできることは少ないかもしれない。 でもこういうとき俺は支えてもらった。 「そばで、わかばさんのこと支えていくから、どれだけ倒れそうになっても」 わかばさんは目に浮かんだ涙をぬぐいながら小さく笑った。 「もう…プロポーズみたいになってますよ」 「あ…なんかごめん」 俺たちは互いに笑った。 わかばさんは笑いを止めて俺に向き直った。 「…わかりました。わたし、もう一度頑張ってみます」 「言ったからには俺も手伝うよ」 師匠が俺に声をかけたときは、きっとこういう… 「はい!」 わかばさんの目は決意を宿していた。
2話 https://scratch.mit.edu/projects/1186934808/ 4話 https://scratch.mit.edu/projects/1187232620/ 本文下にあるよ ジャンル 二次創作 ラブコメ ファンタジー(?) よければ感想どうぞ そんなたいそうなこと書いてないけど設定、キャラ詳細、著作権に関してはこちら↓ https://scratch.mit.edu/projects/1186934416/ 考察、裏話はこちら↓ https://scratch.mit.edu/projects/1186934574/ 翌日。 遅くまで起きていたせいか、バトルの疲れか、昨夜は良く眠れた。 というか寝すぎた。昼だ。 わかばさんも同じく昼まで寝過ごしていた。 今は昼食を済ませて三人でリビングでくつろいでいるところだ。 といってもわかばさんの家だから本気でくつろぐわけにはいかないけど。 「二人とも眠そうだけど、良く眠れなかった?」 「ああまあ…ちょっとあってな」 「えっ……お兄ちゃんわかばちゃんは未成年だからね?」 一応俺も未成年だわ。 「あれ、失礼かもしれないけどわかばさんって何歳だっけ?」 「17です、双子なのでもみじも17ですね」 ん…? 同い年…? デュアルの身長が160いかないくらいでわかばさんが大体15センチくらい小さいから…… なんというか…予想外だな。 「き、奇遇だね…俺も17なんだ」 「そんなことはいいから、昨夜はなにがあったの!!」 「だから色々…それより今日でかけないか?」 昨夜の帰り道に俺に教えられることを考えてみた。 得意分野というか取り柄というか、俺にはバトルくらいしか教えられそうにない。だからギアを買ったり、試し撃ち場で練習をしてみようと思った。 「あ、デュアルは留守番で」 「え?なんで?」 「お前がいるとめんどうなんだよ…」 「そっかデートだもんねごめん」 違うけどまあいいか。 デュアルには申し訳ないけど留守番をしておいてもらおう。 わかばさんは、デュアルには自分から話すと言っていたし。 「で、デート…」 「わかばちゃん顔赤いよ?わかりやすすぎ…」 「じゃあ終わり次第駅で合流しよう。終わりそうになったら連絡するから」 「わかった~」 俺とわかばさんは家をでた。 「とりあえず洋服見に行こう」 「はい!デート…」 わかばさんも張り切っている。 ちゃんと応えてあげないとな。 俺たちはフク屋に来ている。 「わかばさんはとりあえず、わかばシューターに慣れてみよう」 初心者に起こりがちなのは、とくにインク切れだ。 インク管理が簡単になるギア、そしてやられた時のデメリットを減らせるギアを選んであげなくては。 「あとでスパイキーさんに変えてもらうし見た目はどれでもいいよ」 「ありがとうございます!」 わかばさんは目を輝かせて洋服を見始めた。 「あ、何着買ってもいいよ」 「いえ!それは申し訳ないので一着にします」 わかばさんは思い付いたように言った。 「それより、クアッドさんに決めてほしいです!」 「俺ファッションとかわからないんだけど…」 わからないというか壊滅的なことになるんだが… 自分の服も今まで半ばデュアルに決めてもらってるからな。 1位だしみんな見るからちゃんとしたもの着ろって言われて… 「む、むずかしいですよね。いきなり…」 性別も違うし好みも……わかばさんの好みってどんなのだ。 思えばわかばさんのこと全然知らないな。年齢も今日知ったわけだし。 「えっと…わたしに着てほしいもの、とか……そんなのないかもしれないですけど…」 「着てほしいもの…?」 「そ、その、これ着たらかわいいだろうな…とか…」 わかばさんは声を小さくして言った。 …そんなこと考えもしなかったな。いや失礼か。 「あ!あ、あの!クアッドさんはどんな女の子が好みですか!」 「…ん?」 「恋愛的な意味でです」 恋愛とかは最近全く触れてないからもう俺には無縁だと思っていたけど… 「性格なら、ちゃんと自分の意見を持って反論してくる人かな?」 「反論…?」 「自分の気持ちを押し殺して、流されるだけじゃなくて、なんというか……まあ、思ったこと言ってくれればいいかな」 前そういう付き合いをしていたやつにはちょっと思ったこと言われすぎてたけどな… 大会にも出てないみたいだし、元気にしているのだろうか。 「…じゃ、じゃあどんな洋服を着ている子が好みですか?」 「洋服の好みか…」 まずい。そういうことに全く無知だということがバレたら俺のイメージが壊れるのでは。 というかそういうのあんまり考えないんだよな… デュアルが昔なんか言ってたやつでいいか。 「あー……パーカーとか…」 「パーカーですね!わかりました!!」 わかばさんは全速力で走っていくつかの色のパーカーを持ってきた。 「どれがいいですかね?」 よし。どーれーにーしーよーうーかーなー… 「これかな」 わかばさんは俺の選んだ……神様の選んだ紺色っぼいフードつきのパーカーを体に当てて確かめている。 「こういう色ははじめてです…いつも白とか灰色系だったので…」 あ、気に入らない色だったかな… 「わたしのサイズあるか確認してきますね!」 わかばさんは店員さんのほうかけていった。 これは……どっちだ。 こういうときは……うん。デュアルに助けを求めよう。 俺は電話をかけた。 「もしもし?あのさわかばさんの洋服なんだけど…」 俺は今までの流れを話した。 「お兄ちゃんが選んだものならよほど変じゃなければいいと思うけど」 「いやだってパーカーだぞ?洋服見にきてパーカー買うって全然聞いたことないんだが」 「そういう趣味だと思われるかもしれないけど、嫌われるとかはないから安心して」 今なんか安心できない要素入ってなかった? そろそろわかばさん帰ってくるかな… 「頭と靴は選んだの?ごちゃごちゃだと流石に嫌だと思われるよ?」 「まだ選んでないからそこは平気だな」 「時間の問題もあるし平気ではないと思うんだけど…」 確かにこのペースでいくととっくに日が暮れてしまう。 考えているところにわかばさんが戻ってきた。 俺は急いで電話を切った。 「お待たせしました!」 「どうだった?」 「はい!ありませんでした!」 あったときのトーンで言うじゃん。 「え、えっと…じゃあ別のものに……」 「いえ、逆に少し大きめのものを……つまり普通のサイズのものを買います」 無理せず変えていいのに… 「あとこの服ちょっと高いかもしれないです」 「え?でも8000円だよ?」 「金銭感覚どうなってるんですか…」 多分常識的な人や本物のお金持ちなら高いって思うんだろう。 だけど俺は若干成金状態だから浪費するところではかなりしてしまうのだ。 「じゃあ、会計しようか」 「はい!!」 本人は嬉しそうだしいいのかな…? 会計を済ませてすぐ他の店に向かおうとしたところ、わかばさんに止められた。 「これ着ていってもいいですか?」 「え、あー……まあいいよ」 時刻はすでに午後4時半前だ。 わかばさんは笑顔で店の奥へと走っていった。 しばらくしてわかばさんが戻ってきた。 「袖まで大きいの忘れてました……少し捲らないと…」 意外と似合ってるのかもしれない。俺は内心安心していた。 「どうですか?」 わかばさんは一回転したりポーズをとったりしている。 「いいと思う。かわいいかわいい」 「こういう色に手をだしてこなかったので違和感はありますけど……クアッドさんがそう言うなら大丈夫ですね!」 俺への謎の信頼。 ともかく急がないと。 「時間ないしそろそろ行こう」 そのあと頭と靴は服に合う色のものを合わせた。 スニーカーみたいなものでなるべく動きやすくし、わかばさんが試したいということでメガネをかけることにした。 そしてスパーキーさんのところでギアも変えてもらった。 「ま、まさか一度服を脱ぐ羽目になるとは……洋服屋往復して時間がかかってしまった…」 「どんなギアをつけたんですか?」 「ああ、インク効率や回復、ジャンプ短縮や安全靴、爆発軽減にスペシャル減少量ダウン、復活短縮、ヒト移動速度あたりかな」 「てんこ盛りですね…」 それぞれの配分はインク系多めの初心者用ビルドにしてある。 「もう7時前か…」 「お腹すきました……」 デュアルに連絡を取って駅で合流することにした。 道中のコンビニで夕食も買った。 「今日は楽しかったです!」 「結構ばたばただったけど、それならよかった」 駅の前でデュアルが待っているのが見えた。 わかばさんがデュアルに駆け寄ると、こちらに気がついて軽く手を振ってきた。 「お兄ちゃん!あと1分で電車来るからそれに乗るよ!」 「いや最後まで時間に追われるのかよ…」 「わかばちゃんメガネ意外と似合ってるね!」 「意外とは余計ですよ~!」 ようやっと家に戻ってきた俺たちは、というかそのうち俺を除く二人は、リビングでずっと喋っている。 「二人とも弁当買ったやつ温めて食べろよ」 「そういえばお腹減ってたんでした」 「私たちも……あれ、そういえばわかばちゃんそのパーカーの下ってちゃんと着てるよね」 「一応行くときに着てたスカート履いてますけど……膝上のせいでパーカー一枚に見えるんですよね」 それちょっと危険では。 不審者がいないとは限らないし… 「わかばちゃんのサイズなかったの?」 「そもそも作ってなかったみたいです…」 「作ってない…?流石にそれはなくない?おかしい気がするんだけ」 「まあまあ!!きっとなにか裏で大きな力が動いたんですよ!!ブカブカパーカーロリいいよねの力が!」 「あ、うん。そ、そういうことにしておこう。うん」 翌朝。 俺は目覚めてすぐシャワーを浴びた。 着替えて部屋に戻り、引き出しを開けてメガネケースを取り出す。 開くとワイヤーグラスが入っていた。 「久しぶりだな…」 これはとある人との思い出の品だ。とある人は俺が引退してからしばらく疎遠となっている。 引退を悲しんでいたし、そのせいで関わらなくなってしまったようなものだ。 俺の引退、そして今回の復帰の選択に後悔は全くない。 そう信じている。 「ぅ…おはようございます…」 え? 「あれ…わたし……めがねめがね…」 いや見えるだろ。 わかばさんは枕元に置いてあったメガネを取ってかけた。 「わ、わかばさん…なんでここに……」 「あっ、昨日クアッドさんが寝たあと布団に潜り込んだんでした」 なんで? てか俺今までわかばさんに気づかなかったの? 「それって…」 わかばさんの視線の先は俺の持っていたワイヤーグラスだった。 「ああ、これ、元々大事な試合のときかけてたんだよ」 「へぇ…」 「2人とも朝食できたよー!」 大声で言いながらデュアルが部屋に飛び入ってきた。 俺たちは朝食を食べに下へ降りて行った。