新キャラ多め ↓本文↓ 「この作戦でもみじさんを誘き出す。みんな、流れは頭に入ったか?」 俺の家で一夜を過ごした俺たちは、もみじさんを誘い出す作戦を立てた。 なぜかはわからないが家に突撃することはしてこないので、十分に時間はあった。 だが逆に言えばいつ来てもおかしくない。であればこちらから仕掛ける方が有利だ。 作戦はこうだ。 まず俺が囮になり外に出る。そうすればケルビンの予知で行動予測をされているのでもみじさんは必ずやってくる。 そこを逆に叩く。 ケルビンの予知で作戦まで見破られている可能性も考慮して、頼れる助っ人を呼んでおいた。 「あとはあいつ待ちか……」 その時インターホンが鳴った。おそらくその助っ人だ。 デュアルが出迎えて連れてきた。 「久しぶりだな、クアッド」 「きてくれてありがとう、スイーパー」 こいつはスイーパー。高身長高学歴高収入みたいな顔したメガネ……ではなく、俺の親友。 あらゆる確率を知ることのできるアビリティを持っている。 「早速だが、俺たちの作戦がもみじさんに通用する確率は……」 「…大体17%ってところだ」 ……十分とは言えないな。 「ただ、ヴァリアブルさんが本気を出せれば、約98%まで上がるな」 「98%…」 「師匠の本気…?師匠は本気を出していないんですか?」 「……」 師匠は少し俯いた。 「私が本気を出すと、もみじが死にかねない。私にも手加減がわからないんだ」 「なら、僕が付き添います。確率計測があれば、死ぬかどうかは……」 「それだけじゃない。私にとってもあまり好きな行為とは言えないんだよ」 「師匠……」 「あの…すみません……師匠の本気って……」 そうか、わかばさんは知らないんだな。 「師匠のアビリティは時間操作。指を鳴らすと世界や全生物の時間を操ることができる」 「つ、強すぎますね……」 「だが停止することはできない。厳密にはものすごく、限りなく遅くしているんだ。だからその間に人を2回殴れば解除した時2回分の衝撃がほぼ同時に加わる」 「あ……」 わかばさんも理解したようだ。 アビリティを使って人を殴り続ければ解除した時にとてつもない威力を与えることができる。 昨日俺を背後から襲ったもみじさんが吹き飛んだのはそう言う仕組みだ。 「どれくらいで気絶するかの手加減が難しいんだ」 「やってて気持ちのいいことでもないですしね……」 「それよりスイーパー、ケルビンに作戦まで予知をされている確率は…」 「今のところ0だ。だがお前が外に出るということはほぼ100%予知されている」 助かった。なんとかなりそうだ。 それにしても師匠が奇襲を仕掛けるのに17%しか成功しないってもみじさんは一体…… 「ヴァリアブルさん、あなたの気持ちは理解します。ですがもしものことがあっては困ります」 「わかっている。本気を出すのは今回だけだ」 師匠はスイーパーに向き合った。 「しかしまあ、小さい女の子に手を出す羽目になるとはな……」 「……あっ、俺がもみじの首を手刀で叩いて気絶させればいいんじゃ」 「え?クアッドあれできるのか?」 まあ、わかばさんと路地で当たり屋に遭遇した時ノリでやったらできたしな。 「本来は少しのずれで後遺症が残ることになったり気絶しなかったりするが、今回はスイーパーがいる」 「全く人使いの荒い……成功確率は91%だ」 「わかばさん、どう思う」 「え…っと……」 下手をしたら半身不随。もしくは気絶しておらず反撃をもらうことになる。 「大丈夫です、クアッドさんならきっと成功します」 「わかった。これでいこう。スクリューは遠くからまた何か見えないか探ってくれ。デュアルはケルビンが近くに来ないか警戒を頼む」 「了解」 上手くいくといいがな…… その日の夜、俺は家を出てコンビニに向かって歩き出した。 そのあとをバレないように師匠たちが追いかけてきてくれている。 しばらく歩いて、コンビニの近くの路地へ入った。 すると。 「こんな夜更けに1人出歩くなんて」 「……もみじさんか」 「ご名答……驚いていないみたいだけど、あえてもみじを誘ったの?」 「……」 「ふーん、答えないんだ。まあ、どうでもいいけど。それより今日はあなたを狙ってきたんじゃないから、安心していいよ」 もみじさんは俺に近づきながら言った。 確かに危害を加えようとする気は感じられない。 「今日はこれを渡しに来たの」 もみじさんが差し出したのは手紙だった。 俺は受け取って中を読んでみた。 「……つまり、4対4のガチマッチをして勝った方が敗者に命令できると?」 「そうそう!だってこのままだとつまらない。もみじが全員蹂躙して終わっちゃうでしょ?」 暗くてよくわからなかったが、近くで見てはっきりした。 もみじさんの目は普通じゃない。やはり何かに操られている。 「…………思ったよりいい男……」 「……は?」 「わかばともみじは双子だよ?タイプの男の人だって同じ……」 …なんだ。なにか違和感を感じる。 「わかばじゃなくてもみじと付き合おうよ。ね?いいでしょ?」 これはまさか…… その時指を鳴らす音が聞こえ、もみじさんの動きが止まった。 そして頭上から師匠とスイーパーが現れた。 「クアッド、早々に引こう。デュアルがケルビンが近づいていると言っていた」 「わかりました」 俺はもみじさんの首を手刀で叩いた。 そして2人と目を合わせ頷いた。 師匠が再び指を鳴らすともみじさんは意識を失ったようにその場に倒れ込んだ。 「……よし、上手く行ったみたいだな」 スイーパーが倒れたもみじさんを抱えた。 「走るぞ」 「…ケルビンがクアッドの家にまでくる可能性は97%ですね」 「仕方ねえ、もう一度か」 師匠は指を鳴らし俺たち以外の時間を操作した。 「と言ってもそこ以外に行く宛は……」 師匠の家はケルビンに知られている恐れがある。 「あの、わたしともみじの家でよければ、案内します!」 わかばさんは師匠へ言った。 「よし、じゃあわかば頼んだ」 「はい!」 時間を操作する対象が複雑化するにつれ、師匠の体力の消耗が激しくなっていく。 俺たちは全速力で走り出した。 師匠は指を鳴らし、その場に座り込んだ。 「はあ……ついたな……」 「どうぞ」 わかばさんは扉を開け俺たちを中に入れてくれた。 俺たちは中へ入り扉を閉めた。 スイーパーはもみじさんをソファの上に寝かせた。 「デュアル、ケルビンは」 「大丈夫、気づかれてないよ」 全員安堵の表情を浮かべた。 なんとか乗り切ったようだ。 だがここからが本題だ。 「そういえば、さっき貰ってた手紙にはなんて書いてあったんだ?」 「4対4のガチマッチをしようと。おそらくもみじとケルビンとあと2人vs俺たち4人になると思いますが」 「スクリュー、何か見えたか?」 「いや、新しいものはなにも……」 「うっ……」 その時もみじさんが意識を取り戻した。 「…ここは……もみじは……」 「師匠、もう一度いけますか?」 「すまん、私1人ならいけるが……」 「待ってください」 わかばさんが前に出た。 そしてもみじさんの方へ歩いていく。 「わかばさん…?」 「……やっぱり」 「わかば……あれ?もみじはなんで家に…」 「洗脳が解けてます」 あの時の違和感は解けかけていた洗脳か。 「わかば…?洗脳って……それにこの人たちは……」 どうやら洗脳されていた間の記憶がないらしい。 「わかばさん、君の口から説明してあげてほしい」 「……わかりました」 わかばさんは今まで起きていたことを話した。 もみじさんはどうやら随分前から洗脳を受けていたらしい。 話を聞くにつれもみじさんも段々と表情が曇っていった。 「……なるほど。どうやら取り返しのつかないことをしちゃったみたいですね」 「謝罪ならいらないよ。俺は生きてる。それだけだ」 「……そうですか。でも、罪は消せません。自首しようと思います」 「それはだめだ」 「!?」 突然背後から声がしたが、振り返っても誰もいない。 「今のは……」 「封緘」 「まさか!」 もみじさんの背後には見知らぬ男が立っていた。 「洗脳のアビリティを持っているのはお前か!」 「いかにも。ただアビリティに関しては少し相違点がある」 その男は気味の悪い笑みを浮かべた。 「我がアビリティは下僕化。洗脳ではない。生物を命令を聞く人形に変えるものだ」 「人形……なら、お前はもみじさんを完全に操れていないんだな。もみじさんは会話をしたぞ」 不機嫌そうな表情になった男はもみじさんに命令を下した。 「皆殺しにしろ」 「…………断る」 もみじさんは振り返って男の顔面を蹴飛ばした。 男は絵に描いたような吹き飛び方で地面に倒れ込んだ。 「な……なぜ……」 「あなたの名前は知ってる。ラント。あなたのアビリティは今封じているの」 「……一時撤退か」 男がそう呟くと、一瞬にしてその姿は消えた。 「あ……忘れてた。今のはもう1人……カーボンの瞬間移動です」 「瞬間移動……」 「はい。カーボンのアビリティは場所のイメージと対象の許可さえあればいつどこでも瞬間移動できるというものです」 「ラントに関しては……」 「ラントは触れた生物を命令を聞くだけの人形にすることができます。一度に1人だけですが強力です」 一瞬背後に気配を感じたのは瞬間移動によるものだったのだろうか。 「……っ…?」 もみじさんは急に頭をおさえた。 「もみじ…?」 「っこれ…………わかば……にげ…」 「クアッド、もみじの頭の中で別の声が聞こえる」 スクリューには常にアビリティでもみじさんの思考を読んでもらっていた。 「別の声?」 「さっきのラントってやつの声で…うっ……」 スクリューも頭をおさえて痛そうにした。 「思考を読んでいるだけの僕にも干渉してくるレベルだよ。もみじももう…」 「まさか一度触れたら継続発動なのか……」 もみじはおそらく撤退を見てアビリティ制限を解除した。 継続発動ならそれによって発動されてもおかしくない。 「クアッド」 その時師匠が俺へ歩み寄ってきた。 「最終手段だ。もみじの時間を一時的に操作する」 「師匠……体力は持つんですか」 「…………さあな。スイーパーにでも聞いてくれ」 師匠はそう言って指を鳴らした。 もみじさんの動きは一瞬止まったように思えたが、少しずつ動きが見える。 「すまん、やはり持たないようで、100分の1の速度にするのが限界だ」 「師匠……」 「おそらく持ってあと1時間……もみじが操られ私のアビリティを封じられる前に、ケルビンたちをなんとかしてくれ」 「……わかりました。スクリュー、デュアル、師匠のそばにいてあげてくれ」 2人は目を合わせて頷いた。
5話 https://scratch.mit.edu/projects/1187232666/ 7話 https://scratch.mit.edu/projects/1190302613/ 本文下にあるよ ジャンル 二次創作 ラブコメ ファンタジー(?) よければ感想どうぞ そんなたいそうなこと書いてないけど設定、キャラ詳細、著作権に関してはこちら↓ https://scratch.mit.edu/projects/1186934416/ 考察、裏話はこちら↓ https://scratch.mit.edu/projects/1186934574/ 2人は目を合わせて頷いた。 「それとお兄ちゃん、ケルビンはロビー前にいる」 まさか本気で4対4をやろうというのか…? 「スイーパー、ケルビンの魂胆は」 「手紙の通り4対4をやろうとしていることは間違いない。そして裏があるわけではない。おそらく慢心からきたものだ」 スイーパーがそういうなら本当に間違い無いのだろう。 ならもみじさんを一旦……いや、バトルだとしてももみじさんに勝てる算段が…… 「3対3をするのはどうだ」 「それは確率に基づいて、か?」 「それもあるが、考えつく最善の方法がそれだと思う」 「ケルビンが受け入れる確率は」 「安心しろ。確実だ」 なら大丈夫か。 「よし。それで行こう。3人は俺とスイーパーと……」 できれば師匠が良かったが、状況が状況だから無理そうだし…… すると、わかばさんが前に出て言った。 「あ、あの、わたしじゃだめですか……」 「それは……」 「身の程をわきまえたほうがいいよ」 スクリューが言った。 「わ、わかってます、わたしはバトルの経験だって少ない。足手纏いにしかならないって……」 「なら今回はやめておくといいよ。君じゃ戦力になるどころか、下げる恐れすらあるからね」 「スクリュー、言い過ぎだ」 スクリューの言っていることは確かに正しい。 だが今は身内争いをしている場合では無い。 「役に立ちたいとかじゃない。わたしは、クアッドさんの隣に立ちたくて……」 「世界一位の隣なんて、烏滸がましいにも程があるね。隣に立つのであればそこまで登っていける力と、立っている場所を守り抜く技術が必要。今の君は何一つ持っていないよ」 スクリューは一瞬わかばさんに目線を向けた。 わかばさんは下を向いている。 「僕が行った方が、心を読んで知れることもあるし戦力にもなる。幾分かマシな結果にはなるけど」 「ああ。だが……」 「師匠は私がついておくから大丈夫、お兄ちゃん、スクリューさん、行ってきて」 まあ、これが今できる最強のパーティではあるか…… 「2人とも準備は万端だな」 「ああ」 「よし、なら行こう」 俺たちはロビーに向かった。 時間を操作する対象を一つのみに絞ったおかげで、師匠の体力消耗は尋常では無い速度で行われていた。 さらに範囲を間違えないようある程度の集中も必要となる。 精神と体力をすり減らす行為だ。 「3人とも、そろそろロビー前につくかな……」 「……」 わかばさんはただ立ち尽くしていた。 「わかばちゃん、大丈夫だよ。ちゃんと役に立ててるから……」 「そう……でしょうか……」 デュアルはわかばさんを抱きしめたが、依然として下を向いたままだ。 「わかば、スクリューのこと、一つ教えてやるよ」 「師匠、話して大丈夫なんですか?」 「少しならな。スクリューは心が読めるから、会話をするときに悪い癖があるんだよ。どんなに回りくどく言っても、わかってくれると無意識に考える癖だ。」 師匠は額の汗を拭って続けた。 「長い間付き合いのある私には、ありゃ、『今は僕の方が上だけど、いずれクアッドの隣に立てるよう、今はできることを頑張れ』に聞こえたがな」 「師匠それなんか美化してないですか」 「そんなことはねえよ。デュアルもなんとなくわかってるだろ」 「わたしが……」 わかばさんはそれだけ言って黙った。 そしてなにか決意したように頷き、前を向いた。 それを見て師匠は笑った。 「あ、それから補足だ。さっきクアッドはお前になにも言わなかったが、それはあいつの不器用だな」 「不器用……?」 「お兄ちゃんって、告白した時もそうだけど、状況と言ってることが噛み合ってない時があるでしょ?人との関わり方が下手だから、こういう落ち込んでる時何を言えばいいかわからないの」 「それでも……抱きしめてはくれます」 師匠は軽く笑って言った。 「ま、クアッドが戻ってきたら、少しわがままになって見ろ。適度にねだる方がかわいく見えるぞ」 「そのためには、ここから3人を応援しなきゃね」 「はい!」 「いや、私も今頑張ってるんだが?」 「……久しぶりだな。弟」 「黙れ。お前に俺たちの兄弟を名乗る資格がどこにある」 「クアッド、落ち着いて」 ロビー前につくとケルビン、ラント、そしてカーボンと見られる3人が立っていた。 「それより貴様ら、我の下僕はどうした」 「もみじさんなら、今動けないようにしてある」 「ヴァリアブル……か」 カーボンが口を開いた。 「理解……した。3対3……だな」 「話が早くて助かりますね」 スイーパーは指でメガネをクイっと押し上げ小声で言った。 「僕たちの勝率は39%。気を抜くと負ける」 「ああ」 「スイーパーとスクリュー、だったか」 「……既に名前は割れてるみたいだね」 「お前たちのバトル履歴を漁ったがほとんど出てこなかった。まさか素人じゃあるまいな?」 ケルビンは不敵な笑みを浮かべている。 「どうせ俺たちが勝つんだ。予知を使うまでもない」 「ごたくはこれくらいにして、とっとと始めよう」 「……それもそうだ」 ステージはタチウオパーキングで、ルールはガチエリア。 ハイカラシティでの対戦なため、ステージはバンカラ街に無いものも選ばれる。 この試合ではケルビンとラントはアビリティがないようなものだ。 俺はクアッドホッパーホワイト、スクリューはスクリュースロッシャー、スイーパーはジェットスイーパーCOBRを使う。 そしてケルビンはケルビン525、ラントはハイドラント圧、カーボンはカーボンローラーデコを使っている。 試合が始まった。今回は夜中で観客はいないが公式試合となっている。 「クアッド、スクリュー、僕が指示を出す。スクリューは敵に意図を悟られないようできるだけアビリティで聞いてくれ」 「了解」 スイーパーは確率を知るアビリティと本人の優れた判断力、冷静さなどのスペックにより司令塔の役割において真価を発揮する。 一方でスクリューはその指示を敵に悟られることなく聞くことができる。 中央手前の高台まできてスイーパーは止まり、スクリューは右に、俺は左へ降りて行った。 ガチエリアを塗りながら警戒をする。 「よお」 「…お前か」 相対したのはケルビン。中央にあるガチエリアはスイーパーとラントで塗り合いになっている。 スクリューは右でカーボンと戦っているようだ。 「これで、邪魔されずに思い切りぶつけられるだろ」 「わざわざやられにきてくれて手間が省けた」 俺は予知で相手の攻撃を見切りながら距離を詰めた。 お互いにスライドで間合いを保つ。 「まさかお前も予知系統のアビリティか?それもどうやら近い未来を見ることができるのか」 「さあな」 俺はそう言って一気に間合いを詰めた。 突然のことにケルビンは驚いた表情をしたが、シールドですぐに立て直した。 「どうした世界一位。手こずっているじゃないか」 俺はショクワンダーを発動させシールドに突進しそのままケルビンとゼロ距離まで近づいた。 ケルビンのインクショットを見切り避けると、スライドをし反撃を叩き込む。 インクショットは命中しケルビンはリスポーン地点へ戻された。 一度状況を確認しようとしたところ、目の前に突然カーボンが現れた。 俺は冷静にかわして反撃を狙ったが次の瞬間にはいなくなっていた。 「……単体だとまだ師匠の劣化ではあるな」 だがカーボンのアビリティの怖さは集団の位置を移動させることができる点。 「クアッド!スクリューのほうはカーボンと互角だ!ラントを狙え!」 「了解!」 ラントに狙いを定めようとしたとき、ケルビンが背後に現れた。 「全く……復活も早いのかよ」 「それだけじゃないぜ」 ケルビンがそう言った直後、高台にいたラントはエリアの中心に瞬間移動していた。 そしてバリアを貼り高台へ戻る。 これではスイーパーは一時的にインクを塗れない。 エリアを塗る必要がなくなったラントの狙いは俺へ向いた。 「……なるほどな」 「乗り切って見せろ」 ケルビンはシールドを貼りながらスライドをし攻撃をしてくる。 隙を埋めるようにラントの援護射撃。 「すまんクアッド、もう少しだ!耐えてくれ!」 エリアカウントも着々と進んでしまっている。 「耐える?お前ら……」 俺は壁からイカロールで飛びシールドを超えた。 「世界一位を舐めてるだろ」 そしてスライドをしながらケルビンを倒しラントの目の前まで近づいた。 ラントはチャージしたインクショットを放ったが全て回避する。 さらに真上からカーボンが現れローラーを振り下ろしたがそれも想定済み。 反応する隙を与えず2人をまとめて撃破した。 「世界一位はお前らが思うほど軽いもんじゃないんだよ」 その間にスイーパーがエリアを塗っていたらしく、カウントはリードしている。 スクリューとスイーパーが合流し敵を待ち構える。 だが。 「……来ないな」 「クアッドが強すぎて逃げたんじゃないの?」 「そんなわけが……」 「待たせたな」 頭上からケルビンの声が聞こえた。 3人は高台にいるようだ。 「クアッド。確かにお前は強い。アビリティを使わずとも俺たちではお前には不足なのだろう」 「当たり前だ。お前らみたいなのと一緒にされては困る」 「だから俺たちはお前と互角、いやそれ以上の、もみじという駒を用意していた……だがヴァリアブルがそれを必死で止めていたようだな」 「……まさか」 「…!クアッド、逃げて!ケルビンが考えているのは……」 その時俺たちの耳元で囁くように声が聞こえた。 「封緘」 それは敗北の合図を表すと同時に、地獄の始まりを意味していた。