「私は…志那の主よ」 「は?」 志那の部屋に入るやいなや、意味不明なことを言い出した少女。 少女は幼くも美しいその顔を黄色に見せながら、自己紹介を始める。 「楔結緒…楔志那の主であり、アビリティ『服従』を持っている… ここまで言えば。」 そこまで言ったところで一拍おき、黄色に語りかける。 「わかるでしょ?…私のお人形さん」 「…はい」 「ふふ、いい子ね… じゃあ、これから言うことをしてくれないかしら」 ーーー 「これが…俺?」 志那は、とてもこの姿を自分とは思えなかった。 ぱっちりとした二重から覗かせるのは美しい碧色の目、長く艶やかな白髪を纏った体には傷ひとつなく、その綺麗な肌に触れるとぷにぷにとした感触が気持ちいい。 服は今の自分にあったサイズになっているため、本当に世界ごと変化してしまったのだろう。 ーもしも志那が女だったら。 「ご主人様はそう言ってたよな」 この世界は、「もしも志那が女だったら」という想像を反映した並行世界。正史の人間が今、並行世界を追体験しているのである。 このことは結緒と彼女が服従させた二人以外は知らず、「志那が女であること」が当たり前と認識している。 如何にしてこの世界を呼び出したのか。勘のいい読者はすでにお気づきであろうが、これを起こしたのはこれまでで唯一能力が明らかになっていない…そう。 「黄色の能力…“呼応”にこんなことができるとは…そういえば黄色は」 「…ばぁ」 黄色が志那の後ろにスッと現れ、後ろから抱きつく。 「はぁ…俺だって中身は男なんだからさぁ…少しは遠慮しないか?」 いきなり、しかも女子に抱きつかれたにも拘らず平然としていられるのは、黄色とはこれくらいのスキンシップは何度もしてきているからである。 「むぅ…」 いきなり頬を膨らませる黄色。その頬が少し前から赤くなっていたことに志那は気づいていない。 「どうした」 「志那…やっぱりあんたやっぱり馬鹿だよねぇ」 「舐めるなよ。お前よりは頭いいし大きい」 「なんで身長の話が出るのか分からないけど…志那は私よりちっちゃいよね」 どういう意味だ、と首を傾げる志那。黄色は160cmに対して今の志那は165cm。志那の方が少し背が高いはず。 「やっぱりまだ心は男オンリーなのかなぁ」 そうい言いつつ、風で服がはだけた志那の胸を確認し始める。 流石の志那もその視線には気づいたようで、顔を赤くして服を整えた。 「変態っ!」 「あ、今の女の子っぽいね」 「うるさい!さっさと行くよ!」 「う〜ん…やっぱり今の志那は〜…一人称私の方が似合ってるよ」 「一人称なんてそんなすぐに変わんねえよ…それより」 いきなりまじまじと黄色の顔を見つめだす。 「さっき胸を見られたお返し。やっぱり黄色って可愛いよね…って思って」 「…揶揄ってる?//」 「あっ、恥ずかしがってる」 とても志那とは思えない言動だが、これも女になった影響なのだろうか。 「私だって黄色が可愛いのは認めてるよ。男の時は恥ずかしくて言えなかったけど」 「女の子同士でしか言えないこと、あるよ…ん?」 「どうした?」 「…いや、なんでもない」 黄色が感じた違和感…その正体は何か。 そして、「志那が女である世界」で、彼女らはどんな人生を贈るのだろうか。
あとがき ↓ ↓ ↓ こんにちは、しょこらこと@user3829です。 なんか黄色の能力、どっかの大統領のスタンド能力みたいですね。 こいつらやっぱり尊いと思うんですよ。もっとやってほしい。 ってことで次回は黄色プレゼンツ・女の子の生活を楽しむ会です。 そう言えば朱色はどこに行ったんでしょうか? …実は、朱色はこの世界には呼ばれていません。なぜかっていう話はメタくなるので控えますが、まあちょっと都合が悪くなるので“呼応”を使った際に黄色が一旦並行世界から除外しました。 そんなことして黄色が精神的にどうにかならないかという話も出てくるかもしれませんが、そこは結緒の“服従”によって抑えられてしまいました。結緒の株が少し下がったかもしれませんね。 楔家についての話をします。 楔は「二つのものを固く繋ぎ合わせるもの」という意味があり、これが志那や結緒の能力に影響しています。 二人とも本質的には対象を「使役」することができますよね。使役対象と使い手を結ぶ鎖は外部からは破壊できないほどの強い力を秘めています。それを操れる彼らは、かなりの才能があるのかもしれません。 では。 < タグ Tags > #novel #all #異世界 #拡散希望 2025年5月8日 [last:last]所属