↓本文↓ 今回結構適当…許して() スクリューが出ていって数日。 バンカラ大会まで残り4ヶ月。わかばさんはそこに参加するために試射場で練習を重ねていた。 「バンカラ大会だけど、もみじちゃんも出るみたいだね」 「もみじが……」 もみじさんはあれから裁判にて、執行猶予5年懲役3年ということで釈放された。バンカラ大会への参加はもちろん大丈夫だ。 そして操られていたことも公になっており、本人の誠実さも合間って批判の声は多少は緩和されている。 現在はわかばさんともみじさんの家にいるようだ。 「目指せ優勝、だね」 「……クアッドさんはどうするんでしょう」 「クアッドは出ないそうだ。今の所はな」 口を挟んだのはスイーパーだった。 両手にドリンクを持っている。 スイーパーはデュアルとわかばさんにそれを渡して続けた。 「出ない選手を考えると、今のところ70位に入ることができれば参加権を得られる」 「70位……」 わかばさんは現在ランキング外。まあそもそもまだ個人戦を経験していない。 バンカラ大会の参加権は1ヶ月前のランキングで決まるため、制限時間は残り3ヶ月。 「あと3ヶ月で70位……ですね」 「ああ。それこそもみじさんのようなランキングの上がり方をしなければいけない。そこで……」 スイーパーはメガネをクイっと上げた。 「今から僕と戦ってもらう」 「!」 「す、スイーパーさんそれはまだ早いんじゃ…」 スイーパーはランキング外だ。だがそれはスクリューと同じくバトルをしていないから。 おおよその俺の見立てでは、2人ともランカーには余裕で入る実力だ。 「安心しろ。僕の真価はチーム戦であり、個人戦はそこまでだ」 「でもわかばちゃんはまだ実践経験が……」 「やります」 わかばさんは一歩前へ出た。 「壁は先に超えておきたいので」 「いい心意気だ。試合は明日午後2時。申し訳ないが僕は午前中は用事がある」 「わかりました」 一方その頃スクリューは―― 「やれやれ、相手にならないね」 スクリューは1日でランキング2000位まで上げていた。 もみじさんと同じくらいの速度だ。 「今日は終わろうかな」 一息つこうとロビー2階のバーへ向かうと、そこにはスパッタリーさんの姿があった。 「あ、スクリューちゃん、久しぶり」 「久しぶりですねスパッタリーさん、今日はどうしてロビーに?」 「心読みながら聞くこと?私もバンカラ大会に向けて少し戦っておこうと思って」 スクリューはスパッタリーさんの隣へ座った。 スパッタリーさんはコーヒーを一口飲み言った。 「それともう一つ、警告。昨夜私命を狙われてね。なんとか逃げてきたけど……」 「肩の怪我はそのせいですか。狙われる、とは誰に?」 「……やっぱバレてるんだ。昨夜は情報屋との取引中に急襲を受けたの。二人組だった。確実に急所を狙ってきたし、かなり厄介なのに目をつけられちゃったみたい」 「まさかケルビンたちを後ろから操っていた奴ら……」 「さあね。今その情報屋に探ってもらってるけど、なにか掴めるかどうか……」 スパッタリーさんはコーヒーを飲み干した。 「とにかく、1人にならない方がいいよ。私が狙われたってことは他の誰かも狙われるかもしれない」 「そうしたいところだけど、僕には僕の、わかばたちにはわかばたちのやることがあるんですよ。クアッドも」 「クアッドくん?まさか今別行動?」 「結構前に出ていったっきり、連絡もないしどこで何をしてるのかもわからない……まあ、いざとなればデュアルがなんとかしてくれます」 「……念の為ヴァリアブルに話しておくよ。勘がいいからね」 スクリューは何か言いたげだったが何も言わなかった。 「今日はそれだけ。ヴァリアブルには私から伝えるから安心して」 「わかりました。じゃあまた」 2人はそうしてロビーを去った。 翌日。ついにやってきたわかばさんとスイーパーの戦い。 公式試合ではなく試射場で軽く戦うだけ。勝利条件は相手を倒すこと。 デュアルが見守る中試合は始まろうとしていた。 「準備は?」 「いつでも大丈夫です」 「僕の勝率は88%か……成長したようだ」 スイーパーは小さく笑った。 「試合開始と行こう」 「はい!」 わかばさんはブキを構えて叫んだ。 「天翔」 「…なるほど、やはり成長速度が尋常じゃない」 空中を舞うわかばさんに対してスイーパーは遠距離から狙い撃つ。 わかばさんは弾道をよく見てかわし続ける。 現在わかばさんが使えるアビリティは天翔のみ。 イメージのしやすいこのアビリティを最初に覚えたのだ。 だが昨日安定してできるようになったばかりで慣れていない。 「わかばさんのブキでは近づかなければ攻撃は当たらないよ」 「なら……近づくまでです!」 わかばさんはボムを掲げ、爆発と同時に全力で真上へ移動した。 爆発に遮られ一瞬姿を失ったスイーパーは少し戸惑いを見せた。 その隙を逃さず真上からアビリティを解き思い切り突撃する。 わかばさんの存在に気づいたスイーパーは迎撃を試みた。 「っ…!」 わかばさんは何発か被弾したが勢いを変えず至近距離まで迫る。 スイーパーは数歩後退して体制を整えた。 だがまだ射程圏内。わかばさんは狙いを定めて撃った。 スイーパーは全て見切り避けるとすかさず反撃をする。 わかばさんはグレートバリアを展開し一時的に難をしのいだ。 しかし一瞬にして破壊されてしまった。 「……このままじゃ…」 息を吐く間も無くスイーパーは攻撃を仕掛けてきた。 わかばさんは避けるので精一杯。 「思い出せわかば……クアッドさんは…こういう時……」 ――音速程度見逃すはずがない―― 「よく考えたら普通におかしいですよね」 ――師匠と同じく、直感を使ってみたんですよ―― 「直感とかやったことないし……」 ――世界一位はお前らが思うほど軽いものじゃないんだよ―― 「だ、だめだ……クアッドさん全部才能とアビリティで片付けてる……参考にならない……」 わかばさんは頭を抱えた。 「……打開策が見つからない時の答えは意外とシンプルかもしれないぞ」 「し、シンプル…?」 首を傾げたがスイーパーはブキを構えた。 わかばさんは我に返ったかのように警戒をし直した。 「落ち着いて……まずは冷静に…」 (呼吸を整えて、集中する。敵の攻撃は全て最低限の動きで避ける。目線、呼吸、力の入れ方…) わかばさんは大きく息ついた。 「大丈夫、わかったよ」 「今の数秒でなにか変わった……やはりわかばさん、君は……」 「スイーパーさん、ごめんなさい。もうわたしにあなたの攻撃は届かない」 スイーパーは驚いた表情を見せた。 「面白い…」 わかばさんはアビリティを使わず走ってスイーパーへ突撃した。 「走るわかばさんに当てられれば僕の勝ち、当てられなければ僕の負けか」 スイーパーは狙いを定めてインクショットを立て続けに放つ。 わかばさんはどこを狙ってくるかを冷静に見極めその部分だけ動かし、減速せず迫ってくる。 後退気味のスイーパーはクイックボムを投げたが、またしても避けられ効果をなさない。 ついにわかばさんはスイーパーに触れられる距離まで近づいた。 しかし。 「この時を待ってたよ」 スイーパーは高く飛び上がりウルトラチャクチの構えだ。 「……いいえ、隙だらけです」 わかばさんはスイーパーと同じ高さまで飛び上がっていた。 拳を振り下ろそうとするスイーパーめがけてインクショットを放つ。 スイーパーは避けきれずやられてしまった。 残った二つの拳が地面に叩きつけられるがその時にはわかばさんは爆発範囲外。 完全勝利だろう。 「……あ…」 「わかばちゃーん!」 デュアルは駆け寄って後ろから抱きついた。 「あ、あの、わたし……」 「うん、勝ったよ!スイーパーさんに!」 わかばさんは嬉しそうな笑みを浮かべた。 「完敗だな」 復活したスイーパーが戻ってきた。 「それにしても、バトル中に成長する、か」 「スイーパーさんの助言のおかげです」 「シンプルと言ったが、平たく言えばごり押しだ」 「ごり押し……あっ」 ――平たく言えばごり押しだな―― 「なんだ……やっぱりあの人も力になってくれてたんだ…」 「デュアル」 その時突然師匠が現れた。 「師匠!?あ、わかばちゃんがスイーパーさんに…」 「すまん、話は後だ。スパッタリーから言われた。クアッドの位置を探ってくれ。あの時と……もみじに刺される直前と同じ嫌な予感がする」 「えっ…?いいですけど………………あれ?おかしいな…」 「…まさか位置が掴めないのか」 「今までこんなことはなかったのに……」 「全員、今すぐ協力できる人は協力してくれ。クアッドを探す」 デュアルは驚いた声を上げた。 「ま、待って師匠、なんで……」 「お前のアビリティで掴めないということは、なにかに妨害を受けているか、もしくは……」 全員息を呑んだ。 「死んだ可能性が高い」 数分前―― 「お前らか。ケルビンの言っていた二人組は」 「おやおやクアッドさん、あなたのほうから来てくれるとは」 「デンタル、こいつ確か殺していいんだよな」 「まあ待ちなさいな。折角来てくださったのです」 こいつらのどちらかがおそらく記憶操作系統のアビリティ持ちだ。 片方はデンタルと言ったな……もう片方の名前くらいは探っておきたい。できればそれぞれのアビリティまで… 「世界一位さん、あなたは何か勘違いをしているようですね」 「なに?」 「よもや我々からなにか引き出そうとしているのでは?」 デンタルは不気味な笑みを浮かべた。 「私はデンタル。アビリティは自分の寿命を犠牲に対象の記憶をある程度好きにいじれるというものです。発動条件は視認している、かつ半径5m以内にいること」 「…!」 「無駄です。やりなさいホット」 「あいよ」 ホットと呼ばれた男が手を掲げると、俺の意識はぷつりと途絶えた。 「流石失神のアビリティですね」 「10秒しか持たねえんだ。早くやっちまえよ」 「ご安心を。もう書き換えています」 「んで、なんて書き換えるんだよ」 「まず全ての記憶の消去、そして破壊衝動と強い怨恨のみを植え付け、我々2人の命令を厳守するようにします」 「そこまで変えてお前は持つのか」 「体力的に、無理ですね。それと寿命は20年分ほど消えます」 ホットはため息をついた。 「わーったよ。起きるのはいつだ」 「バンカラ大会あたりでしょうかね……その頃には暴走の限りを尽くす世界一位とそれを操る私が戻ってきます。それまで拠点を移して我々を探りまわっている奴らからどうにか逃げ切ってください」 デンタルは笑顔を浮かべそのまま倒れた。 「……仕方ねえ、移動すっか」 数分後にはそこは何もなかったかのようにただの路地と化していた。
グロ系は配慮して表現を死ぬほどぼかしてるので安心してください 7話 https://scratch.mit.edu/projects/1190302613/ 9話 https://scratch.mit.edu/projects/1190302746/ 本文下にあるよ ジャンル 二次創作 ラブコメ ファンタジー(?) よければ感想どうぞ そんなたいそうなこと書いてないけど設定、キャラ詳細、著作権に関してはこちら↓ https://scratch.mit.edu/projects/1186934416/ 考察、裏話はこちら↓ https://scratch.mit.edu/projects/1186934574/ 「すまん、アビリティで数日探し回ったがだめだった」 「お兄ちゃん……電話にも出ないし……」 「クアッドさんなら大丈夫ですよ……」 わかばさんは弱々しい声で言った。 「世界一位ですよ……つまり上はいないんです……もみじだってクアッドさんには勝てなかった…」 「わかばちゃん…」 「だから大丈夫です。きっと」 わかばさんは俯いていた。 「見つからないのであれば仕方ない。僕らは僕らにできることをするしかない」 「確かに、スイーパーの言う通りではある。だが……」 全員悔しいようだ。 「…ぐだぐだしていても何も変わんねえな」 師匠は前を向いた。 「さっき、スパッタリーから連絡があった。二人組の何者かに襲われたそうだ」 「じゃ、じゃあお兄ちゃんも……」 「かもしれない。ここからは2人以上で動いてくれ。おそらく事件に関わった奴らを狙っている」 しかし、それから2人が動くことはなかった。 そしてバンカラ大会まで残り1ヶ月となった―― 「ランカー昇格おめでとー!!」 「あ、ありがとうございます!」 デュアルたちは今スイーツ食べ放題のお店に来ている。 わかばさんは無事61位まで上がった。アビリティに関しては元々判明している6つは使えるようになった。 だがもみじと違い一つずつしか使うことができない。 「無事ランカーにもなったし、今日はパーティ!師匠の奢りだからいっぱい食べてね!」 「え?ちょっと待てデュアル私は……」 「それじゃ行こう!」 デュアルはわかばさんの手を引いてとっとと行ってしまった。 「全くあいつは……」 「僕からも出しましょうか」 「いいよ。ここは最年長に奢らせてくれ」 「……あと1ヶ月、ですね。ヴァリアブルさんの目から見て、わかばさんはもみじさんに勝てそうですか」 「ま、とりあえず残り二つのアビリティをもみじに教えてもらって、あとは本人の運次第だろ」 「それもそうですね」 スイーパーはメガネをクイっと上げた。 「お前こそ、アビリティで見てみねえのか」 「ええ。じゃないと面白味が薄れますからね」 「それよか、二人組の動きが怪しいな。もみじのときみたくバンカラ大会を狙ってこなきゃいいんだが」 「アビリティによる僕の見立てでは、そこで2人が動く確率はほぼ100に近いです」 「やっぱか。ま、そのために私が今回の大会に参加せず、わかばともみじのそばにいるんだけどな」 「クアッドは一体何をやってるんですかね…」 「お、デンタル起きたか」 「どれくらい経ちましたか……」 「あれから3ヶ月、バンカラ大会まではあと1ヶ月ある」 「……思いの外早く復帰できましたね」 デンタルは立ち上がって言った。 「ホット、作戦を説明します。時間はバンカラ大会……目標は…」 デンタルは不敵な笑みを浮かべた。 「わかばともみじ、そしてそれに関わっている者たちです」 さらに1ヶ月が過ぎバンカラ大会当日。 わかばさんは予選を無事通過していた。 「いたいた、わかば!」 「もみじ!」 2人は駆け寄ってハグを交わした。 「予選、通過したみたいだね」 「みんながわたしに色々教えてくれたから……わたしもここまでこれたんだよ。もちろんもみじもね」 「あと、クアッドさんも出てるみたいだよ。さっき一瞬で予選終わらせてた」 「えっ…?クアッドさんが?」 わかばさんは困惑したような表情になった。 「なんで?何かあったの?」 「今までクアッドさん、音信不通で会ってなかったんだ……デュアルさんのアビリティにも場所が映らないし」 「ふーん…?クアッドさんとは準決勝で戦うから、試合後にでも聞いてみるね?じゃあ、また明日の本戦で!」 「あ、うん……また…」 わかばさんの表情は浮かないままだった。 「クアッドさん…どうしちゃったんだろう……?」 そして翌日、ついに本戦。 わかばさんの一回戦の対戦相手はジム。 この試合はなかなか長引いたが、新しく覚えた聖域アビリティのおかげでなんとかなった。 聖域は発動中周囲に近づいたものを触れたように感知することができるもの。 ジムの透明化とは相性が悪かったようだ。 もみじさんのほうはスムーズに進み2回戦を突破したところ。 そしてわかばさんの2回戦目、スクリューとの試合が始まろうとしていた。 「スクリューさんか……」 スクリューの戦い方はほとんど知っている人がいない。俺と師匠、デュアルくらいだ。 試合開始の合図が出た。 ステージはデカライン高架下。 敵陣に攻め込みにくいものの中央は割とひらけている。だが木があり一部分は見通しが悪くなっているステージだ。 「よぉし…天翔」 わかばさんは一気に敵陣へ向かった。空を飛べば攻め込みにくいというのも関係ない。 後退する場所が増えるという点ではなるべくラインを上げておくのは重要だ。 地上のスクリューを見つけ地面に降り立つ。 「とりあえず聖域…かな」 「……」 スクリューは無言で攻撃を仕掛けてきた。 スクリュースロッシャーは範囲が広く避けにくい。 わかばさんは攻撃を冷静に回避しボムを投げつけた。 だが。 「この辺かな」 「…!?」 わかばさんの移動先にスクリューの攻撃。 わかばさんは正面から攻撃を受けて後退を余儀なくされた。 「まあそこら辺だよね…」 一歩下がった地点にタンサンボムが投げられた。 「天翔っ!」 わかばさんはギリギリのところで飛び上がってかわした。 スクリューの戦い方は読心による行動予測。 経験の浅いわかばさんには厄介な相手だ。 「わかば、ほら、攻撃しないと僕は倒せないよ」 「封緘」 「待ってた」 スクリューは突然走ってわかばさんの至近距離まで近づいた。 驚いたわかばさんはブキを構えたがスクリューの攻撃が頬をかすめ回避を優先した。 「ほら、解除したら心を読まれるけど、解除しないとアビリティで逃げられないよ?どうするの?」 スクリューの戦い方はもう一つある。 精神的プレッシャーを与えることによる相手のミスを待つ戦略。 「……どうすれば…」 考えている間にもスクリューはサブを絡め、範囲の広いメインで攻撃してくる。 考える暇はもはやない。 「読心を使わなくてもわかるよ。こういうとき、人は苦しいから、逃げたくなる。助かりたいと思う。だからアビリティを……解くんだよね」 「て、天翔…」 「無駄だよ」 頭上からはスクリューが事前に撃っておいたインクショットが降ってきている。 背後にはタンサンボム。 「もう少し、経験を積んでからおいで」 (このままじゃ――) その時だった。 「…!」 スクリューはわかばさんを抱えて飛び下がった。 わかばさんがいたところに数本のナイフが刺さった。 「はあ……全く、バンカラ大会はどうして毎回こう事件が起こるんだろうね」 「な、ナイフ…?」 「僕に心の声が聞こえなかった。一体誰だ。姿を現して……」 「スクリューさん!!」 観客席のデュアルが突然叫んだ。 スイーパーも珍しく動揺している。 「逃げてー!!」 「…?」 読心の効果範囲外なため2人の思考はスクリューに伝わらない。 「スクリュー……」 スクリューはハッとして振り返った。 「……クアッド?どうして君が……いや、それより観客席に戻って。今試合中…」 俺はスクリューを抱きしめた。 「……へっ?」 俺の手にはスクリューの腹部に刺さったナイフが握られていた。 「く、クアッ……なん…で……」 スクリューはその場に倒れ込んだ。 「……クアッドさん?」 わかばさんは呆然としている。 俺はわかばさんに歩み寄った。 「お、おかしいです……違う…だって…」 そしてナイフを振りかざした。 「あなたは…わたしの……」 その瞬間、俺は顔面に殴られたような衝撃を受け吹き飛んだ。 「わかば、逃げるぞ」 「師匠…!あ……」 師匠は肩に酷い怪我を負っている。それに加えて負傷して気絶したもみじさんも抱えている。 「怪我を……」 「気にすんな。かすり傷だ……」 師匠が指を鳴らそうとしたとき、突然意識を失ったように倒れた。 「えっ…?」 「デンタル、これでいいか」 「はい。クアッドさん、トドメを差してあげてください」 言われるがままに俺は師匠に複数のナイフを放った。 しかしそれは師匠に届く前に撃ち落とされた。 「起きたか。厄介な。デンタル、俺のアビリティはあと5分使えないぞ」 現れたのはデンタルとホット。 撃ち落としたのはもみじさんだ。だが師匠と同じく怪我を負っている。 「もみじ!」 わかばさんはもみじさんに急いで駆け寄った。 「わかば……ごめん、もみじちょっともう疲れて…」 もみじさんはわかばさんにもたれるようにしてなんとか立っている。 わかばさんはそれを見てなにか決心したような表情をした。 「もみじ、あれを使おう」 「あれって……まさか」 「わたしはクアッドさんを止めたい。協力して欲しいの」 「……わかった」 もみじさんはゆっくりと自分の足で立ち上がった。 デンタルはそれを見て笑い、言い放った。 「刮目せよ。これから始まるのは……戦いでもなんでもない。世界一位による、一方的な虐殺…………いや、蹂躙だ」