ごめんなさい深夜テンションで書いてたので結構矛盾あって多少書き直しました! 再共有です 本文↓ 電車内で俺は、気づかれないようにわかばさんを追っていた。 幸い席の空きが少ししかない程度まで混んでいたため、帽子を目深に被れば人の中にに紛れやすい。 わかばさんはスマホをいじっていたが段々うとうとと今にも寝そうな状態になってきた。 やはり早起きで無理をしていたのだろう。 そんなわかばさんの隣に男が座った。 わかばさんはその音でびっくりして目を覚まし、伸びをしてしばらくまたスマホをいじっていた。 だが再び眠くなってきたのか下を向いて眠ってしまった。 そこに突然、男がわかばさんの方へ手を伸ばした。 男の手が太もものあたりに触れると、わかばさんはまたも驚いて目を覚ました。 しかし男は気にせず手をスカートの方へ寄せた。 「えっ……あ…」 周囲の乗客が気づく様子はない。大体がヘッドホン、読書、睡眠など集中していて無理もないだろう。 わかばさんは怯えてなにもできずにいる。 「はぁ…」 俺はため息をついて立ち上がり、男の手を掴んだ。 「何してんだよ」 「えっ?あ、いや俺は……」 「はいはい。次の駅で駅員に渡すから大人しくしとけ」 「……くそ!」 男は頭に来たのか単純な動きで殴りかかってきた。 俺は横に避けて男を軽く蹴り飛ばした。 その一撃だけで男は伸びてしまった。 乗客は突然のことに驚いている。 「あ、あの…」 「あっ」 尾行ばれたよな……参ったな… 「助けてくれてありがとうございます……お礼をしたいので、今度……あ、わたしはわかばです!」 「……え?」 あれ?もしやこれ変装のおかげでバレてないのでは。 ならまあこのまま何もなかったことにする方がいいか。 「あ、ああ。俺は……あー……、名乗れないんだ。好きに呼んでくれ」 「名乗れない……では、ナナシさんでもいいですか…?」 安直すぎるだろ。まあそこもかわいいんだけど。 「いいよ。ところで俺はハイカラスクエアで降りるけど、わかばさんは?」 「あ、はい!わたしもそこで降りるんですよね…奇遇ですね!」 「じゃあそこまで暇だし、話でもしないか」 「もちろんです!あっ、連絡先渡しておきますね」 わかばさんは電話番号を書いた紙を渡してきた。 普通LI◯Eとかイ◯スタとか交換するんじゃないのかこういう時…… なんにせよとりあえず怪しまれずに済んだ。 それから俺たちはたわいない会話を交わし、いつの間にかハイカラスクエアへ着いていた。 時刻は8時半。 電車を降りて駅を出ると、わかばさんは去り際に手を振ってくれた。 「わたし、妹と待ち合わせをしているので、これで!ありがとうございました!」 「ああ。2人で楽しく遊んでな」 「はい!」 そのままわかばさんは走って行った。 「さて、追いかけるか……」 「あ、クアッドくん」 後を追おうとすると、後ろから声をかけられた。 「スパッタリーさん、こんなところで会うなんて」 「今日は1人?」 「まあ…色々ありまして。スパッタリーさんこそ1人ですか?」 「そうなんだよね……あ、じゃあちょっと寄りたいところあるんだけど、いい?」 「いえ、今急いでいるので別の機会で……」 スパッタリーさんは残念そうな表情になった。 「そっか、なら仕方ないね。引き止めてごめんね」 「大丈夫ですよ。ではまた……」 「あっ、ちょっと待って。最近聞く神隠しの噂知ってる?」 「神隠し…?」 俺は足を止めて聞き返した。 「うん。なんでも、ハイカラスクエアで一昨日あたりから起こってるんだって。人が消えるとか……」 「……」 わかばさんに何かあるかもしれない。 「なにが正体かはわからないけど、クアッドくんも気をつけてね」 「ありがとうございます」 俺は礼を言って急いでわかばさんの後を追いかけた。 「そういえばスパッタリーさんよく俺ってわかったな……わかばさん鈍すぎじゃ…」 路地の角を曲がると人とぶつかった。 「あっすみませ……」 「な、ナナシさん!?」 そこにはわかばさんが立っていた。 距離感を間違えたのか、近づき過ぎてしまったようだ。 「また会いましたね!ナナシさんはここで何を…?」 「わかばーどうしたのー?」 奥からもう1人走ってきた。もみじだ。 もみじは俺を見るなり首を傾げた。 「…誰?」 「あ、もみじ。この人がさっき話してたナナシさんだよ」 「ああ…………ん?でもよく見たらなんかクア…」 「あ、あー……もみじ、さん?ちょっと話したいことがあるから来てもらってもいいかな?」 「はい…?」 俺はもみじさんを引き連れてわかばさんから離れた。 「尾行?」 「そう。本気で楽しんで欲しいから俺のことはバラさないで欲しいんだ」 「なんで尾行なんかしてるんですか?わかばは浮気なんかするような人じゃないですよ」 「まあ…………ほ、ほら、最近物騒だからな!電車の時だって実際…」 デュアルに話したとはいえ、やはり兄弟間の問題に巻き込ませるわけにはいかない。 「あ、なるほど!クアッドさんわかばがいなくて寂しいんだ〜」 「え?あ、まあそういうこと…」 よくわからないがなんか納得してくれて助かった。 「そういうことなら、黙っておいてあげます!ナナシさん?でいいんですよね?」 「ああ」 「せっかくだし、もみじたちと同行します?」 「えっ?いや、思い切り遊んで欲しいから正体を隠すわけで……」 「あ、そっか」 もみじとは初めてまともに会話したけど……双子揃って抜けてるところがあるんだな… 「遅かったじゃん、何してたの?」 「なんでもないよ〜」 「じゃあ俺はこの辺で失礼します」 「そういえばナナシさんはどうしてこんなところに?」 「えっ?あ、いや……迷っちゃってさ」 もみじが微笑をこぼした。 確かにこういう時嘘つくの下手だけど。 「そうだったんですね!」 もみじは笑いを堪え切れず吹いた。 わかばさんよく気づかないよな。 「もみじ…?」 「わかばさんこそ、どうしてこんな路地に?」 「あ、この路地目的地への近道なんです」 「目的地?」 わかばさんはスマホを操作して俺に見せた。 「ここです!今話題のスイーツのお店!」 スイーツのお店が路地を通って行ける場所にある……だと。 ……まあ細かいことを気にしても仕方ないか。 「へえ…確かに美味しそうだね」 「はい!もみじと少し前から行きたいって思ってたんですよね〜」 「食べすぎると太るよ」 「もみじは余計なこと言わないの!」 「食べすぎないようにね〜?もみじは食べても太らない体質〜」 「もうー!」 こうして2人を見ていると、本当に仲が戻ってよかったと思う。 わかばさんも最近もみじさんに引けを取らない強さになってきているようだし、これは世界一位の座を狙ってきたら強敵だな。 「あ、ナナシさんもお店来ますか?」 「いいの?」 「もみじ、いい?」 「いいよ〜」 「もみじも良いみたいですし!」 どんどん本来の計画から逸れている気はするが…… 「わかった。じゃあついていくよ」 「よし!早速出発しましょう!」 わかばさんの案内で俺たちは店へ向かった。 店は空いていてすぐに座ることができた。 スイーツがたくさんあるカフェのようで雰囲気もいい。 デュアルが見たら羨ましがるだろうな。 「あ、わかばとクア……じゃないや、ナナシさん、もみじが頼んでくるので、何が良いですか?」 「わたしはオールドファッションと……ベイクドチーズケーキと…ホットココア……ミルクいっぱいもってきて!」 「もみじさんありがとう。俺はホットカフェラテで」 「了解〜じゃ行ってくるね」 もみじさんはそう言って歩いて行った。 俺はカフェラテの分のお金をもみじさんの席に置いた。 するとわかばさんは言った。 「ナナシさんはどうしてハイカラスクエアに?」 「えっ?まあ……元々バンカラ街に住んでてさ、観光だよ」 「わたしもバンカラ街に住んでるんですよね!前はハイカラシティでしたけど…」 わかばさんは思いついたように言った。 「この後もみじとバトルに行くんですけど、ナナシさんはどうですか?」 「バトルか……」 ブキ、クアッドホッパーホワイトしか持ってきてないんだが。 バレるよな。 まあ最悪ブキ屋で借りる手もあるが…… 「俺は観戦だけで遠慮しておくよ」 「じゃあ応援してくださいね!」 「頼んできたよ〜」 もみじさんが注文したものを持ち帰ってきた。 もみじさんはフルーツパフェを頼んだようだ。 「代金はそこに置いておいたから」 「あ、ありがとうございます」 「もみじ!!早く!!」 「わかったわかった〜」 わかばさんはドーナッツを手に取り一口食べた。 その直後頬が落ちるような笑みを浮かべて幸せそうな表情になった。 「ナナシさんも、どうぞ」 「ありがとう」 「スイーツいらなかったんですか?」 「今持ち合わせが少なくてね」 「なら少しあげます!」 わかばさんはそう言って食べかけのドーナッツを俺にわた…… 食べかけの? 俺はもみじさんの方を見た。 (え、俺ってバレてないよな) (バレてないですね) わかばさんって会ったばかりの見ず知らずの男に間接キス要求してくるタイプなのか…… 「いや、遠慮しておくよ。ありがとう」 「そうですか?美味しいのに……」 わかばさんはドーナッツを食べ終わるとケーキに手を伸ばした。 「わかば〜太るよ〜」 「う、運動すれば大丈夫だし……」 わかばさんはそう言ってケーキを美味しそうに食べ進めた。 もみじさんもパフェを美味しそうに食べている。 「この後バトルって聞いたけど、形式は?」 「あ、1対1です」 もみじさんが口にクリームを頬張りながら言った。 「えっ?2人が戦うの?」 「決着をつけないといけませんからね!」 「望むところ!」 てっきりチームで戦うものだとばっかり…… なんでわかばさんはさっき俺を誘ったんだよ。 「ナナシさんも入れて1対1対1もやりたかったんですけど……」 いやトリカラバトルか。 「ナナシさんはどっちが勝つと思います?」 「えっ?うーん……」 2人が顔を寄せてくる。 「じゃ、じゃあ間をとって俺!なんちゃっ」 「やってしまった……」 と、言うわけで、2人の逆鱗に触れたようで急遽1対2をすることになってしまった。 ブキはブキ屋から急いでスプラシューターを借りてきた。慣れてはいないが一応公式試合でもあるためあまり目立ちたくない。 適当にやって負ければなんとかなるか…… ステージはユノハナ大渓谷。ルールはチーム全員が倒されれば負け。復活はできない。 試合開始の合図が鳴った。と同時に空からすごいスピードでなにかが飛んできた。 「先手必勝ー!!」 わかばさんともみじさんだ。 左右から挟み撃ちにしてくる。 俺は後ろへ飛び退いて避けた。 すぐさま次の攻撃を警戒したが、そんなものはなかった。 「痛ああ!!」 「ちょっともみじ!前くらいちゃんと見てよ!」 「わかばがぶつかってきたんでしょ!」 どうやら連携がうまく取れておらず衝突したらしい。 俺は言い争っているところへインクショットを放った。 「天翔!」 流石の反応速度だ。2人とも動じずかわした。 「もみじ!わたしが切り込むから、隙を付くように攻撃を合わせて!」 「えー……難しいやつじゃん〜」 「もうー!いいからー!!」 言葉通りわかばさんは急降下して攻撃を仕掛けてきた。 回避をしながら反撃を試みるも上手くかわされる。 そこに背後や頭上からもみじが鋭い攻撃をしてくる。 連携がものになってきた。 しかしなかなか決定打がでない。 「もみじ、一旦下がろう」 「了解〜」 2人は数歩離れた場所まで退き呼吸を整えた。 「わかば結構被弾してない?」 「ナナシさんが想像以上に強くて……」
9話 https://scratch.mit.edu/projects/1190302746/ 11話 本文下にあるよ ジャンル 二次創作 ラブコメ ファンタジー(?) よければ感想どうぞ そんなたいそうなこと書いてないけど設定、キャラ詳細、著作権に関してはこちら↓ https://scratch.mit.edu/projects/1186934416/ 考察、裏話はこちら↓ https://scratch.mit.edu/projects/1186934574/ まあ、単純な身体能力に限れば、2人が相手だったとしても凌駕できる。 そこに複数のアビリティという未知のものが加わっていたため強敵となっていた。 だが9つが判明し対処も少しずつできるようになってきた今、ワンパターンのやり方では俺は然り、師匠にも通用しない。 「じゃあ、最終手段、だね」 「あんまり多用すると、最終手段じゃなくなっちゃうけど」 「でもこのままじゃ埒が開かないから」 2人は手を重ねた。 「今回はもみじに任せて」 「うん、わかった」 直後強い光が当たりを覆った。 「さて……」 前回は意識も理性もほとんどなかったからな。 どの程度か…… その時にはすでに俺の目の前で低い姿勢のおちばが攻撃を仕掛けていた。 俺は被弾しながらもなんとか後退してかわしたが、息を吐く暇を与えず追い打ちをかけてくる。 反撃をするも意図も容易く避けられてしまう。 いや、狙いがブレる可能性を上げているのだろう。 おちばは一度下がって攻撃をやめた。 「絶対バレない奇襲のつもりだったんですけど、やっぱり強いですね」 「まあな」 「けど……これで終わらせます」 瞬きする間におちばの姿は消えていた。 背後に気配を感じ振り返ったが誰もいない。 「トドメです」 頭上から声がした。 その時だった。 「あ、いた。お兄ちゃーん!!!」 観客席から一際大きな声が響いた。 「デュアル!?」 「こんなとこで何やってるの!!尾行するんじゃないのー!!」 なんで全部バラすかな。 「あ、えーっと……」 「この状態だとわかばの意識はないから大丈夫ですよ」 おちばが前に出た。 「まあ……とにかく試合は一旦やめだな……」 「ということは……私邪魔してた!?」 「そういうことだ」 ブキを返した俺は、わかばさんたちをロビー外で待機させてデュアルに事情を説明した。 「それで、お前はなんで今更来たんだよ……」 「お兄ちゃんが起こしてくれなかったから寝坊しただけ!」 俺起こしたけどな? 「とにかく……あんまり変なことはしないでくれよ…」 「私は常に大真面目なんだけど」 どこがだよ。 そこへわかばさんが走ってきた。 「ナナシさん!今丁度夕日が出てて綺麗なんですよ!」 「でもこの辺高い建物しかないし見えなくないか?」 「高い建物があるならもっと高い場所に行けばいいんです!」 わかばさんはロビーの外へ出ると上空へ飛んでいった。 「ここですよー!」 そしてロビーの頂上でもみじさんと一緒に手を振っている。 「デュアル、いけるか?」 「まあこのくらいの高さなら…」 俺たちはロビーの壁をつたって頂上まで辿り着いた。 「確かに見晴らしがいいな」 「暇だからわかばと飛んでたんですけど、それで見つけたんです」 暇だから飛ぶと言うパワーワードよな…… 「綺麗ですね…」 丁度左右に同じくらいの高さの建物があり、その真ん中に夕日が見えている。 シンメトリーでとても美しい。 「クアッドさんと見れたら…」 …見れてるよ。 「そうだ!写真撮って送ってあげましょう!」 俺は急いでスマホの通知を切った。 デュアルがその姿を見て笑っている。 「そういえばデュアルさんはどうしてここに?」 「え?あ、ああー……観光だよ!」 兄妹だな。うん。 帰りの電車に4人で乗って、バンカラ街へと向かう途中。 すっかり日は暮れて外は真っ暗だった。 乗客は俺たち以外にいない。 というか、帰ったら先回りして家に帰らないとな…… 「今日は楽しかったです!」 「俺も楽しかったよ。次戦う時は、負けないからな」 俺はわかばさんの頭を撫でた。 「今度は1対1で勝ちますからね!覚悟しておいてください!」 「はあ……結局スイーツ食べられなかった……」 「また来ましょうよ……」 何をしに来たのかわからないデュアルはずっと暗い表情をしている。 まあやったことといえば……試合の妨害… 「きっとクアッドさんが美味しいもの作って待ってますよ!」 いやもみじわかってんのにハードル上げるなよ。先回りして帰るだけでも大変なのに… 「そうだね!今日一日中いたもんね!」 デュアルは飯抜きにしよう。うん。 「そういえば、クアッドさんから返信が無いんですよね…」 「あ、夕日のやつ?呑気にその辺で寝てるんじゃ無い?」 昼まで寝てたのはお前だろ。 「あー……寝てるとか言ってたら眠くなってきた……着いたら起こして…」 他力本願極めてるのかよ。 「ま、まあ今日は一日中動いたしな。疲れてるなら着いたら起こすからみんな寝ていいよ」 「ほんとですか!じゃあお言葉に甘えて…」 「起こさないドッキリとか無しですからね〜」 この双子も遠慮を知らないな。 しばらくして三人の寝息が聞こえてきた頃、俺も眠気に襲われた。 「俺も少し寝るか……」 アラームをセットして、俺も仮眠を取ることにした。 *** アラームの音が遠くから聞こえる。 その音はだんだん近づいているようだ。 「……うっ…」 頭を打ったような痛みがして、俺は起き上がった。 寝過ごしていないか確認するためゆっくり目を開けてスマホを見ると、時刻表示が文字化けしている。 「なんだこれ……」 目をこすりながら辺りを見回すと、そこは電車の中ではなかった。 「……は?」 ハイカラスクエアの広場の真ん中だったのだ。 しかし一面色のない、真っ白な世界。 そしてところどころ元々は存在していないものもある。 「そうだ……3人は…」 隣を見るとわかばさんが倒れている。 「わかばさん…!」 「うー…ん…」 意識を失っているだけでひとまず無事のようだ。 だが他の2人が見当たらない。 それにここはどこだ。電車からなんでこんな場所に飛ばされて…… 考えているとロビーの方から何かの気配を感じた。 「なんだ…」 咄嗟にブキを取り出して構える。 よく見るとロビーの中から黒い……おそらくインクが溢れ出てくる。 その奥から真っ黒なインクを纏った魚の骨のようなものが数体現れた。 「……友好的…には見えないな」 案の定魚たちは黒いインクを撒き散らしながら襲いかかってきた。 俺はわかばさんを背負って飛び下がった。 インクショットで攻撃してみると一体の魚は弾けた。 どうやらインクで倒すことができるようだ。 そこへ一際体の大きな魚がやってきて体当たりを仕掛けてきた。 横へ回避し攻撃を叩き込んだがなかなか倒せない。 魚が激突した地面は砕けている。当たったらまず大怪我では済まない。 それにその魚を盾にし他の魚もじわじわと距離と詰めてくる。 なかなか倒せずにいると大きな魚が急に凶暴化した。 スピードが増し威力も上がっている。 「ジリ貧か…」 わかばさんを背負った状態では危なくてスライドもできない。アビリティを使ったとしてインク攻撃はほとんどしてこないため位置がわからなくなるだけだ。 「うっ……」 「わかばさん?」 「あ……ナナシさん…ここは?」 わかばさんの方を見て目を逸らした一瞬を逃さず、魚たちは的確に攻撃をしてきた。 ギリギリのところで回避したが1匹の小さな魚に右腕を噛まれた。 「くっそ…」 振り解いて後退したが右腕は黒いインクと血が混ざりもはや動かすことはできない。 「あ……」 「わかばさん立てる…?」 話してる余裕はない。片腕使えないと言うことは威力、機動力は半減。 わかばさんは俺の背から降りた。 「ご、ごめんなさ…」 「わかばさんは隠れておいて。なんとかしてみるから……」 正直手立てはもうないが…… 「わたしは…足手纏いじゃないです」 わかばさんは一歩前に出た。 「すみません、少しの間……ナナシさんにも効果が働きますが…」 魚たちが襲いかかる瞬間、わかばさんはつぶやいた。 「魯鈍」 気がつくと俺は、立ったまま意識を失ったような状態になっていた。 わかばさんが右腕の手当てをしてくれている。 「あっ、目が覚めましたか……」 「ああ……何が起こって…」 「私の10つあるうちの1つのアビリティです。魯鈍と言って、一定時間認知している自分以外の思考を無差別に破壊するものです」 チートじゃん。 「……けどその…反動があって、少しの間五感の一つが無くなるんです」 怖すぎだろ。 「視覚が消えていたらまずかったです……多分今は味覚か嗅覚が消えてます」 わかばさんは俺の腕にハンカチを巻きつけ縛った。 「私が気を失ってる間、守ってくれたんですよね。ありがとうございます」 「俺も手当て、ありがとう」 俺は落ちているブキを拾い上げた。 「そういえば、ナナシさんもクアッドホッパーを使うんですね……」 「あ、いやそのことなんだけど……」 俺が言いかけた時、近くにあった見慣れないロッカーの戸が一つ開いた。 「…なんだ?」 「あっ、さっき見た時は開かなかったんですけど……」 中を覗くとボロボロの紙が入っていた。 だいぶ昔のものなのだろうか… 何かが書いてある。俺は手にとって読んでみた。 「英語か…?S……Side…?」 わかばさんも背伸びをして紙を見た。 「Side Orderじゃないですかね?」 「order……注文…いや、この場合秩序か」 「つまり……?」 「秩序の世界…ってことだな」