本文下にあるよその前に作者のこめんと!!!(いらな 今回は本編以前のお話です リッターとスクリュー、特にリッターですね、を主に書いていけたらなって思ってます 本編は1話8000字とか無理しすぎたので番外編のこれは大体2000字にしようかなと思います 5話構成目標です 頑張るので、応援お願いします!() 本編↓ ――世界一位が引退した。 その知らせは、画面越しに淡々と流れていた。 過剰な演出も、煽るような言葉もない。ただ事実だけが、確定事項として告げられる。 「……へぇ」 一人の少女は、短くそう漏らした。 当時ランキング四十三位。 リッターと呼ばれるその少女は、テレビの前で膝を抱え、興味深そうにニュースを眺めていた。 世界一位、クアッド。 その名は、上位のプレイヤーであればあるほど、現実味をもって重くのしかかる存在だった。 勝てない理由がはっきりしている相手。 努力や工夫といった言葉が、意味を失うほどの才能。 彼がいなくなる。 それは、ひとつの時代が終わったということでもあった。 「私の時代が……」 冗談めかした言葉とは裏腹に、リッターは小さく笑った。 その表情は変わらない。けれど、心の奥では無数の思考が静かに渦を巻いていた。 (空いた、というより、空白かな) 王が去ったあとに残るものは、席ではなく『間』だ。 そこに誰が立つのかは、まだ決まっていない。 「何してるの」 背後から声がかかる。 振り返らずとも、誰のものかわかる声だった。 「またそんなこと考えて。リッターはほんと面白いね」 「……勝手に読まないで」 いつの間にか近くにいたスクリューが、肩越しに画面を覗き込んでいる。 冗談っぽい口調とは違って、その視線は少しだけ真剣だった。 「だって、今すごいこと考えてたでしょ」 「……別に」 リッターは視線を画面に戻す。 ニュースはすでに切り替わり、試合の生中継へと移っていた。 (これからは、チーム戦が面白くなる) 個が突出していた時代が終わり、 四人で戦う意味が、ようやく正面から問われる。 「大会、出るんでしょ」 スクリューの言葉に、リッターは一拍置いてから頷いた。 「即席だけどね」 「即席でも、リッターがいれば強いよ」 その言葉に、リッターは何も返さなかった。 代わりに、ほんのわずかに視線を伏せる。 (当てれば勝てる……それでいいはず) 画面の中では、別のチームが歓声に包まれていた。 勝利の形は、もうひとつではない。 リッターは立ち上がり、テレビを消す。 「行こ。準備する」 「珍しいね、やる気」 スクリューの軽い声を背に、リッターは扉へ向かった。 会場は、バンカラ大会でも使われた場所だった。 即席で集められた四人は、控室でほとんど会話を交わさないまま、試合開始を迎えた。 「ルール、ガチホコ。……負けたらここまでだから、よろしく」 リーダー役らしいブラスター使いが、形式的にそう言う。 返事はまばら。 リッターは、いつも通り後方の高台に立つ。 照準を覗いた瞬間、世界が線になる。 静かに、長く、息を吐く。 (当てればいい) 開幕早々、敵前線が崩れた。 撃ったインクは、空中でわずかに軌道を変え、不自然な角度で着弾する。 避けたはずの相手が、無音のまま倒れた。 「……今の、何?」 味方の短い声。 だが、驚いている暇もなく、ホコは進む。 リッターは撃つ。 撃って、当てる。 遠くの敵、遮蔽物の影、常識的には届かない位置。 気づいた時には、もう遅い。 それが彼女の戦い方だった。 「カンモン突破!」 カンモンは、あっさりと抜けた。 会場がどよめく。 「いける、これ!」 誰かが叫ぶ。 その声に応えるように、リッターはさらに射程を伸ばした。 味方が前に出る。 だが、その背中を、リッターは見ていなかった。 (止める……) だが、そこで歯車が噛み合わなくなる。 前に出た味方が落ち、ホコが止まる。 カバーに入ろうとした瞬間、別方向から攻め込まれる。 リッターは、撃った。 確実に当てたはずだった。 けれど、ゴール前に残った最後の一人を、止めきれない。 「ホコ、進んでる!」 「後ろ見れてない!」 声が重なる。 相手もカンモンを突破した。 そして、最後の攻防。 無音。 インクが曲がる。 一人、二人と倒れる。 (まだ、間に合う!) そう思った瞬間だった。 視界の端で、ホコが跳ねる。 ゴールが、光った。 ノックアウト。 一瞬、何が起きたのかわからなかった。 次に、会場の歓声が遅れて耳に届く。 「……は?」 誰かが、そう呟いた。 リザルト画面。 敗北の文字。 ロビーへ戻る途中、空気は重く沈んでいた。 「……なあ」 ブラスター使いが、リッターを振り返る。 「確かに強いけどさ。全部一人でやろうとしすぎじゃない?」 別の味方も続く。 「前半は完璧だったよ。でも後半、俺らのこと見れてなかったよね?」 「連携、取る気あるの?」 リッターは何も言わない。 否定もしない。 ――当てていた。 ――止めていた。 それでも、守れなかった。 「まあ、即席だしさ」 「次はもっと合わせようぜ」 そう言って話は終わったが、 その言葉は、どこか置き去りだった。 試射場の隅で、スクリューが黙って立っている。 今は、心を読まない。 「……私が悪い」 リッターが、小さくそう言った。 声は低く、淡々としていた。 けれどそれは、初めての自己否定だった。 (射程は足りてた……でも、それだけじゃ勝てない) 王なき時代は、思っていたよりも、ずっと騒がしかった。 ――そして、その中心に、彼女はいなかった。
https://scratch.mit.edu/studios/51248319 色々のってますー設定とか、これ本編じゃないのでそれ読んでない方はまずそちらを!