EPISODE 39:終焉の右腕 「君の見た夢には驚かされたよ…」 クライがそう言う、と言うか、俺の心と繋がっている状態で、心の中で会話している。 「そんなに凄いか?夢なのに」 俺は今、ファルドの部屋の前で護衛中だ。部屋の中はプライベートだからな、流石に入らない。銃にクライが力を宿し、俺は異世界からの脅威と戦う。力を宿している間、俺たちは"繋がっている"。 「なぁ、ユウト〜!俺にも教えてくれよぉ!」 翔真も俺に話しかけてくる。 「ダメだ。お前には理解できない」 「何だとぉ!?俺を舐めるなって!」 翔真が俺の煽りに反論する。 「最近、ヴァルゴを倒してから平和だよな」 だけど、俺は反論を無視して話題を変える。 「そうだな!平和は良いことだ!」 翔真もそう喜んだその時! 「誰を倒したって!?」 あいつの…終焉の化身、ヴァルゴの声が響く。 「何故…ヴァルゴはユウトが倒したはず!」 クライがヴァルゴの突然の再臨に驚く。 「あの時…俺は新たな力に覚醒した」 ヴァルゴは俺とクライが融合したオールマイティに敗北した時のことを思い出す。その力で倒されなかったみたいだな… 「だが…今のお前たちに使う必要はない。俺の友であり同志に任せる」 「随分と自身があるみたいだな。だけど、お前はオールマイティになった俺たちに一度負けてるぜ?」 俺はヴァルゴに事実を突きつける。 「俺がお前らに終焉を齎す日を楽しみにしていると良いさ…!」 だが、ヴァルゴは反応せずに、逆に俺たちを挑発してどこかへワープした。そして、ヴァルゴが居たところには、新たな敵が居た。 「お前が…ヴァルゴの仲間か!」 翔真が敵に問いかける。 「ただの仲間じゃあない。親友だ。人呼んで…"終焉の右腕"」 「終焉の右腕ねぇ…随分とカッコつけてんじゃねぇか…!」 俺は軽口を交えながら奴に向かって銃撃する。 「カッコよさは俺の強さだ」 奴は謎理論で返しながら弾丸を避ける。だが、避けた弾丸は奴の背後から迫る。 「そうそう、名乗ってなかったな。俺の名はデボラだ」 へぇ…デボラねぇ…って感心してる暇はない。奴は名乗りながら弾丸を避けた。 「デボラ…奴のステータスは全てが高水準だ。警戒しよう。だけど、逆に考えたら突出した部分はない。神速で一気に決めよう」 クライがデボラを冷静に分析する。 「そうだな」 俺は剣を取り出し、クライが神速の力を宿す。そして、瞬時に背後に移動。敵を切り裂く…!はずだった。 「"モードチェンジ"」 デボラはそう呟き、エクシードセイバーに匹敵するスピードと反応速度で剣を躱した。 「マジかよ…!」 「俺の能力は"モードチェンジ"、他のステータスを犠牲に、任意のステータスを二つまで最強クラスに強化できる」 デボラは自分の能力を自信満々に語った。 「だったら…!」 俺は戦略を思いついた。戦闘スタイルを連続で切り替え、モードチェンジで対応する隙を与えない。クライは俺の剣に剛力の力を宿し、俺はその剣…ストロングセイバーを振るう。 「今度はパワータイプか」 奴がそう言い、モードチェンジで対応しようとする。だが、その前にクライが力を神速に戻す。俺は神速で奴の背後に移動し、武器をナイフに切り替え、神速のナイフでの超速攻撃を浴びせる! 「結構イケてるじゃないか…だが、俺のカッコ良さには及ばない」 だが、デボラはモードチェンジで"防御力"、"攻撃力"の二つのステータスを強化したようだ。 「ユウト、奴はカウンターをするつもりだ」 クライが分析する。俺はクライの分析を頼りに、デボラと距離を取る。だが…!奴が本当に強化していたのは"リーチ"と"攻撃力"! 「詰めが甘いな…!」 奴はそう言いながら、腕をぶん回す。すると、奴の指先から変なレーザービームみたいなのが出てくる。だが、俺は咄嗟の反応で回避する。 「って言っても…俺がモードチェンジで強化したステータスはお前らには見えないからな。直感で当てるしかないぜ」 「そうさせて貰うよ…!」 俺は剣を取り出し、ナイフの時より速いスピードで走り出す。神速の力と1番相性が良いのは剣だからな。俺は奴に切り掛かる。 「翔真!今だ!」 俺は翔真に合図を出す。奴が俺の攻撃に対応しようとした瞬間に、翔真が一撃で決められるように…!翔真はデボラに向かって拳を振りかぶり、力を溜める。そして、力が溜まった瞬間にパンチを放つ! 「何!?」 デボラは翔真の攻撃の凄さに驚く。だが、奴はそれを回避した。 「拙いね…翔真は回避と相性が悪い」 クライが冷静に分析する。 「俺たちがやるしかないな…」 「そう言えば!ラネンはどこだ!?」 翔真が俺たちに問う。 「ラネンは…今帰社中だ!」 翔真はラネンを頼ろうとしたようだが…残念ながらあいつは居ない。 「行くぞ、クライ!」 「OK!」 クライは俺の意思を汲み取り、武器に宿す力を変更する。その力は…グランド!グランドは光の力で、バランス良くスペックが高い。 「俺は光なんかに負けないぜ?」 デボラがそう言う。ヴァルゴにグランドの力の存在を教えられたか… 「へぇ…試してみるか」 俺は光の力が宿った剣…グランドセイバーを全力で振り下ろし、デボラに大ダメージを与えようとする。 「俺のモードチェンジはなぁ…細かな所まで強化できるんだよ!」 デボラはそう言うと、二つのステータスを強化した。恐らく、光属性耐性と斬撃耐性だろう。だが…2回も同じ手が通じると思うな。俺は剣の側面をデボラに打ち付けるような角度に変更し、クライも光の力ではなく超越の力に変更。 「それも読めてる!」 だが、デボラも俺がモードチェンジに対応し、瞬時に攻撃方法を切り替えることを予測していた。デボラは恐らく、打撃耐性と超越耐性を強化するだろう。 「引っかかったなぁ!!」 だが、超越の力…ビヨンドは敵の能力ごと超越することができる。デボラは俺がビヨンドの力に切り替えて設定した耐性を超越すると予想し、それに対する耐性の超越耐性を強化したんだろう…だが、奴のモードチェンジ自体を超越により無効化すれば奴の攻略は簡単… 「これで終わりだ!」 俺は剣の側面が当たるその刹那…勝利を確信した。だが! 「読みが甘いなぁ!!」 デボラが真に強化していたのは…能力超越への耐性だった。 「ぐっ!」 俺の能力超越攻撃は奴の耐性によりノーダメージで防がれ、逆にキックによるカウンターを喰らってしまった。 「クライ…オールマイティで行こうぜ?こいつの能力はもう理解しただろ?」 俺はクライに対して、そう呟く。 「ユウト。残念だが、今オールマイティは使えない」 クライが衝撃の言葉を告げる。 「オールマイティは俺とユウトが同じ場所に揃っている状況でなければ使えない…!」 そうか…!オールマイティは俺とクライが融合 する。2人が同じ場に居なきゃ融合なんてできない。 「今、俺はユウトの武器に力を宿している。オールマイティを除けば、俺の力は二つ以上同時に使う事ができない。つまり…今、俺はユウトが居る場所にワープする事ができない。場所がワールドコアという事は分かっている。一瞬だけでも…力を解除できたら、ワープが可能だ」 「できる限り…やってみる」 俺はそう呟き、剣を握る手の力を強めた。クライは俺の意思を読み、力を神秘の力に変える。 「翔真!お前も頼む!」 俺は翔真に声をかけ、翔真もそれに応じた。 「お喋りタイムはもう良いか〜い?」 デボラが挑発も交えて言う。 「あぁ、終わりだ。お前のカッコつけもな!」 俺は奴の挑発に挑発で返し、切り掛かる。そして、翔真がコンマ1秒もかからずに、奴の背後に移動する。 「破ぁぁぁ!!」 翔真は叫び、デボラに強烈なパンチを放つ。しかし、デボラは回避する。 「ここだ…!」 だけどな…翔真に気を取られすぎだ!俺は剣を振り下ろし、空間を切り裂く。 「何…!」 「空間の裂け目が戻るまで、そこに裂けた空間にあった部分は動かないぜ」 俺は奴にそう宣言する。これで、クライがワープするまでの時間を稼ぐ。 「クライ、今だ!」 俺がそう言うと、クライは俺の銃に力を宿すことをやめた。これでクライはワープできる。 「よし…」 「俺がそこまで読んでないと思ったか?」 だが、デボラは余裕な様子でそう言う。 「な…」 俺が反応する前には奴の攻撃を受けていた… 「くっ…」 俺は攻撃を認識する間もなく倒れてしまった…
EPISODE 40:俺のフィーバータイム ゼノ社に帰社するための道中、ラネン・ブライトは考えごとをしていた。 (全社員が本社に戻る事を強制されるなんて…) ラネンはエージェントとして所属するゼノ社から、強制帰社命令を受けていた。現在ラネンは世界と世界の間を楽に移動するための乗り物のようなもの…人間で言う電車に乗っていた。ラネンはまず俺たちの世界を出発した。 「6…%(*7#(5%8(5・☆¥8(♪°|#(54\☆…〜2(^8♪☆44(¥1^2(4♪2(3(☆7°」 すると、電車のアナウンスのようだが人間には理解できない言語が流れ始めた。 「*¥(5→¥6"EX GOD5^8(♪☆¥"・(°」 (ようやくEX GODの領域か…) ラネンはアナウンスの内容を完全に理解していた。ラネンは電車に数時間以上乗っていた…無数の世界を渡ったことで時間と変化の概念は無意味なものとなっていたが、ラネンは時間を意識するのをやめなかったため、時間はラネンにまだ残っていた。 (アークが今研究しているものも気になるな…) アークとは、EX GODの領域とやらで生まれ、行き場をなくしたラネンを救い、ゼノ社にスカウトしたラネンの親代わりのような人らしい。 「#(5%8(〜#(5%8(〜」 (ゼノ社に着いたな。降りるか) ラネンはこの電車、ゼノトレインがゼノ社の駅に着いたことを知り、電車を降りた。 「#(5%8(2☆6*5%…%8(♪<…/☆22(・(°2-」 駅から出ると、外ではゼノ社の商品を宣伝する広告が流れ、この領域で人気のアイドルが商品紹介をする声が響いていた。これまた人間の理解と知能を超えた言語で。 (さて、行くか…) ラネンはポケットに入っている社員証を再確認し、この領域でも一際目立ち、君臨するゼノ社に向かって歩き出した… 「おい!ユウト!大丈夫か!?」 翔真が俺を心配してそう言っているようだ。だが、俺は意識を失っている。その言葉は虚しくも俺に届かず、デボラは微笑を浮かべながら聞いている。 「ユウト!ユウト!」 クライも心配している。どうやら、ワープできたみたいだ。 「さて、ターゲットを頂きますか」 デボラは翔真を煽るようにそう言い、翔真を掌から出した衝撃波で吹き飛ばしながら、ファルドの部屋の扉を開ける。 「あ、あなたは誰ですk…」 ファルドの部屋の扉は防音室のようらしい。ファルドは俺たちが戦っていたことに気付いていなかった。ファルドはデボラが何者かを問おうとするが、言葉を言い終える前にデボラはファルドが喋れないようにしていた。 「俺は"終焉の右腕"…こんな事だってできる」 奴はその不思議な力について自慢げに言い、翔真とクライを嘲笑った。 「貴様…!ファルドをどうするつもりだ!」 クライが怒りを露わにしながら言う。 「さぁな。自分で確かめてみたらどうだ?」 デボラはそう言いながら、ワープし始める。 「じゃあな…な、お前!」 だが、デボラは突然動揺する。なぜか?なぜなら、翔真がデボラの腕を掴んでいたからだ。 「くっ!離せ!」 デボラが振り払おうとしても、もう遅かった。ワープは本来デボラと奴に触れているファルドだけのはずだった…しかし、翔真も奴に触れたため、奴を追いかけることができる。 「俺がファルちゃんを守るんだ…!前に…助けてもらったからな!」 翔真は2年ほど前、偵察に来ていたファルドに、転んだとこを助けられたらしい。それで一目惚れって…翔真らしいと言えばらしいな。 「ここはどこだ…!」 翔真が瞬きをし、目を開けると、そこは既にワールドコアではなく別の場所だった。 「翔真の居場所が分からない…俺の力が届かない場所まで行ったのか…?」 クライがそう呟く。デボラと翔真、ファルドはクライでも探知できない場所まで行ったらしい。だが、クライは宇宙が無限に増え続けているこの世界を超え、他の世界まで探知できるほど強大な力を持つ。しかし、そのクライでも探知できないと言うことは、探知を妨害する何かがあると言うことだ。 「着いて来られたら仕方ない。ここは俺とヴァルゴが居た世界。今は既に、何もないがな」 デボラは躊躇わずに居場所を翔真に言った。 「良いのか?俺がユウトたちに伝えるかもだぞ?」 「それは不可能だ。なぜなら…お前はここで俺に倒されるからな!」 デボラのその言葉を合図に翔真とデボラが同時に戦闘体制に移る。翔真は奴に殴りかかるが、デボラは"回避力"と"スピード"を強化し、翔真の攻撃を容易く避ける。だが、翔真は避けた先のデボラにキックを放つ。奴は"防御力"と"体力"を強化、複数の世界すら壊しかねない蹴りを耐える。 「ユウト…!目が覚めたか!」 クライの声が聞こえた。てことは、俺は意識を取り戻した。 「クライ…どうなってる?」 俺はクライに状況説明を頼んだ。 「デボラがファルドをどこか、俺の探知が妨害される別の世界に連れ去った。だけど、翔真が追いかけて行った」 「なるほどな…」 クライの探知も不可能だと言うなら、残る手は一つだろう。 「オールマイティ、だな」 俺とクライの声がハモった。お互いに頷き、俺たちは融合する。その瞬間、俺たちは無限の宇宙を内包するこの世界だけでなく、無限に存在し未だ増え続けている全ての世界と一つになった。この状態、オールマイティなら、一つになっている全ての世界の事を全て知っている。だが、オールマイティの時に得た知識は元に戻ると勝手になくなる。あくまで人間の知能の俺には処理しきれないからな。つまり、オールマイティになっている時だけなら、俺は真の全知全能だ。俺とクライは翔真の居場所を瞬時に探知し、移動する。ワープじゃない…オールマイティならワープする必要すらなく、世界と世界の間を、単純なスピードで時間と空間を超えて移動できる。さっき俺は知識はなくなると言ったが、クライは覚えてる。移動した先の世界がヴァルゴやデボラの拠点なら、今後の戦いの役に立つ事は間違いない。 「翔真!大丈夫か!」 俺は移動し終わった直後に、翔真を瞬時に認識、声をかける。 「おぉ、ユウト!クライ!大丈夫、一旦見ててくれ!ファルちゃんを危険に晒すこいつは…俺がぜってぇぶっ倒す!!」 翔真は覚悟と決心を俺たちに伝え、戦いを再開した。 「破ぁ!」 あいつは、動機がどうであれファルドを守りたいという強い想いを持っている。何かを守りたい、誰かを守りたい、その想いより強いものはない。翔真はデボラに正拳突きを放つが、デボラは容易に回避する。そして、奴は翔真に強烈なカウンターを喰らわせる。あまりの威力に翔真は倒れてしまう。 「翔真!」 俺たちは咄嗟にデボラと翔真の間に立ち塞がる。虚空に手を伸ばし、銃を取り出し、奴に向かって構え、引き金を引く。その弾丸はオールマイティの力が宿ってる…! 「やっぱり、こいつはお前と相性が悪い!俺たちに任せとけ!」 俺は翔真にそう言い、デボラと戦いを始めた。 「俺は…なんで弱いんだ!」 俺がデボラと戦っている間、翔真は目の光を無くし、そう叫び、葛藤していた。だけどな… 「翔真!お前は弱くない!お前には…"想い"がある!」 俺は翔真にそう声をかける。 「そうか…!大切なのは…想い!!」 すると、翔真の目に光が戻った。 「ユウト…!俺、分かったぜ!大切なものが何か、俺がやるべき事が何か!」 そして、翔真が熱を発し始め、溢れ出す強大な力を示すオーラが発生した…!翔真は一歩、また一歩と悠然と歩き出し、その溢れ出るオーラに俺すらも思わず道を開けた。 「翔真…!お前…まさか!」 「あぁ、俺は気付いた。そして覚醒した!この力は…何かを壊すためでも、倒すためでも、自分のためでもない!大切なものを守るための俺の力…!名付けてフィーバーだ!」 翔真は新たな力の名を高らかに宣言し、デボラを睨みつけた。 「ファルちゃん…いや、ファルドは返してもらうぞ…!」 翔真は力強くそう言い、加速した。一瞬で…いや、スピードの概念と時空の概念が無意味になり、時間と空間に囚われない領域に翔真は到達し、デボラの懐に移動した。そして、翔真は比喩なしで全てを凌駕する正拳突きを放つ。 「なっ!」 デボラは咄嗟に防御系のステータスを強化する。だが…それは翔真にとって無意味なものだった。翔真の攻撃力は、ただでさえ元から強かったデボラが防御にステータスを振っても防ぎきれないほど強力すぎた。デボラは大ダメージを受け、一撃で既に瀕死だ。奴は攻撃を受けた衝撃で真っ直ぐぶっ飛び、今俺たちがいる世界の壁をぶっ壊し、他の世界へ、また他の世界へ、宇宙を多数内包する世界があるにも関わらず、ついには表世界のベール…つまりはかつてのクライまで辿り着いた。デボラはベールにぶつかり、戻ってきた。その時…ベールにヒビが入っていた。 「だったら…これでどうだ!」 デボラは攻撃力にステータスを振り、翔真に対抗しようとする。だが、それでも負ける。 「何…!俺がステータスを強化しても…全て負けてる!?」 そう、フィーバーの能力を覚醒させた翔真にとっては、デボラがどれほどステータスを強化しようが、関係ない。なぜなら翔真のステータスは全てにおいて強化されたデボラのステータスを超えているからだ。 「終わりだ…!」 翔真はフィーバーの全てのパワーを拳に集中させる。余剰エネルギーとして熱が放出され、概念が崩れ去る。だが、熱は瞬時に再吸収され、パワーに戻る。 「"モードチェンジ"ぃ…!ステータス極振りだぁぁ!!」 デボラは全てのステータスを防御関連に振り、耐え抜こうとする。だが…! 「破ぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!」 翔真の全力を込めた拳が振り払われる!その拳は一瞬でデボラの防御を無意味なものと変え、意識と戦闘能力を奪い去った。 「ヴァル…ゴ」 デボラは意識を失ったことで倒れた、翔真が本当に勝ったんだ。 『この覚醒は想定外だった』 俺は一体化しているクライが呟いた。翔真の覚醒は真の全知全能である俺たちも知らなかった。つまり…マジもんの奇跡の覚醒だ。 「翔真…デボラは…」 俺は翔真が奴を殺していないかを心配して声をかける。 「大丈夫。生きてるよ」 だが、翔真は俺の考えを読んでいたかのように言葉を遮り、心配無用だと伝えた。 「さて、帰るか」 俺はそう呟き、クライとの一体化は終わった。 「ファルちゃん!大丈夫だったか!?」 翔真がファルドを心配し、声をかける。 「はい、大丈夫です!でも…良い加減ファルちゃんはやめてください!」 ファルドも元気そうだ。 「分かったよぉ…ファルド!」 翔真の独特な"ファルちゃん"呼びがようやく普通の呼び方になった。 「翔真!お前が凄かったから俺が天神ベーカリーで奢ってやる!」 それを聞いたファルドから、普段は見れない満面の笑みが溢れ出す。それを見たクライと翔真も笑ってる。俺が守りたいものはこれだ…