リミックス禁止、自作発言禁止 第12話「デルタ・フェリィ」 勇者たちが灯明港にもどると、景色は一変していた。 街の活気は消え、商人などは誰もいない。 周りを見渡すと海風に髪をなびかせながら、広場の中央に女性が静かに立っていた。 その瞳は冷たいほどに澄んでいて、揺らぎがない。 右腕は機械になっており、砲口がわずかに赤く光を帯びている。 フェリィ「私はデルタ・フェリィ…勇者よ、待っていたぞ」 ケイ「……街の人たちをどうした!」 声が震える。信じたくない予感が混ざった声。 フェリィ「……落ち着け、勇者。住民は全員、隣町へ避難させた。私の任務は、お前たちの排除だけだ。」 ケイ「……避難、させた?」 フェリィ「ああ。無関係な命を巻き込むのは非効率だし、後味も悪い。私は戦うために来た。虐殺をしに来たわけじゃない。」 義手が低く唸る。 砲口が勇者たちへと向きを変え、金属の駆動音が空気を震わせた。 焦げるような熱が広場を包み込む。 夢「くるぞッ!」 閃光が走る。 放たれた光弾がケイの真横をかすめ、背後の建物を粉砕した。 ドォォォォォン.....! 爆炎が立ち上がり、破片が降り注ぐ。 とびねこ「な、なんて威力だ……!」 フェリィは一歩も動かず、砲口から立ち上る煙を払い落とす。 フェリィ「今のは警告だ。次は……手加減しない。」 その声は冷静だった。 フェリィ「武器を構えろ、勇者。」 再び砲身が赤く輝く。 海風が止み、空気が張りつめる。 戦いの幕が、静かに上がった。 フェリィ「目標の勇者を確認...狙い撃つ!」 眩しい光線が一直線に走り地面を割りながら爆ぜた。 熱風が吹き荒れる。ケイたちは戦闘態勢に入る。 夢「速いっ...!」 とびねこ「今の、完全に狙い撃ちだった...!」 フェリィは動じない。 右腕の砲口を冷静に下げ、左手で青い光の弾を大砲に込める。 次の瞬間、青色の弾が連射された。 素早い弾はケイたちを追い立てるように飛ぶ。 狙いは正確...だが、致命傷は外していた。 ケイ「...外してる?」 とびねこ「いや、精度が高すぎる....狙ってわざと外してる...!」 フェリィは淡々と動きながら、目を細める。 その視線はまるで敵を見るのではなく、相手の動きを観察するだけのようだった。 フェリィ(勇者と剣士の反応速度は想定以上...防御行動の癖があるな...魔法使いは後衛固定。支援系か...) ケイがフェリィに斬りかかる。 フェリィは一歩踏み込み、ケイめがけて蹴り上げた。 ガキンッ...! 金属音と共にケイの剣が弾かれ、地面に火花が散る。 フェリィ「今の蹴りを防ぐとは...剣技は中級相当だな....」 フェリィは体をひねり、ケイの背後に回る。 砲口が一瞬赤く輝く。 KK「ケイ、下がれ!」 爆音と共にチャージ式のビームが地面を貫き、爆炎が花のように咲いた。 フェリィは煙の向こうで息を整え、腕の砲口の煙を振り払う。 フェリィ「分析完了....十分だ。」 KK「なに...?」 ケイ「どこへ行く...!」 フェリィ「これ以上は任務外だ。撤収する。」 その言葉と同時に彼女の右手の大砲は収束し、人の手の形に変わった。 フェリィ「さらばだ...またいつか。」 次の瞬間、フェリィの姿は煙の中に消えた。 残されたのは焦げた地面と、熱風だけ。 夢「...いったい何者なの?」 とびねこ「あの強さで本気ではなかったのか...」 ネオ「隠れることしかできなかった...」 ケイは拳を握りしめた。 その瞳の奥で、フェリィの赤い光がまだちらついていた。 ここは、魔王の力によって作られた闇の城。 黒き霧が永遠に渦巻き、玉座の間には全くの光が入らない。 フェリィが片膝をついて報告を終えると、その静寂を切り裂くように、低く響く声が響いた。 ゼルフィアス「…たしかに見届けた。よくやったフェリィよ...」 その声は穏やかでありながら、言葉ひとつで空間に闇を生み出すほどの力を持っていた。 ゼルフィアス「フェリィよ...また偵察を頼んだぞ...」 フェリィは黙って顔を伏せた。 フェリィ「わかりました。魔王ゼルフィアス様。」 フェリィは闇に開いた空間に消えた。 ゼルフィアス「アルカディア...ブリュナ...」 名を口にした瞬間、空気が一変する。 闇がざわめき、床に描かれた魔法陣が淡く赤黒く光を放つ。 ゼルフィアス「我に忠誠を誓いながら、己の力を誇り、我の期待を裏切った。愚かにも、自分の力で世界を動かせると思い込み、その結末が、あの無様な敗北だ。」 ゼルフィアスの声には怒りよりも失望があった。 その失望こそが、何よりも恐ろしい。 ゼルフィアス「アルカディアは力を欲し、ブリュナは美を求めた。だが、力も美も我の意思なくして存在することは許されぬ。彼らのその真理を忘れた。」 重苦しい沈黙が訪れる。 ゼルフィアスが手をわずかに動かすと、空間が裂け、五つの影が現れた。 雷鳴(らいめい)のサルヴァト。 毒蛇(どくへび)のメリュシア。 土盾(どとん)のオルデュス。 疾風(しっぷう)のフェリクス。 そして、闇影(あんえい)のノクティス。 彼らはすぐにひざまずき、誰ひとり、ゼルフィアスの顔を直視しようとはしなかった。 ゼルフィアス「お前たちは、あの二人のようになるな。うぬぼれ、己を見失ったものに生きる道はない。我の目の届かぬ場所で、己の名を汚すな。」 その声が玉座の間を満たすたび、空気が重く沈んでいく。 ノクティスが息をつめながら答える。 ノクティス「お、お言葉のままに...ゼルフィアス様...」 ゼルフィアス「我を恐れよ。そして、我を信じろ。恐怖こそが忠誠の証、信仰こそが存在の価値。お前たちの存在は我の怒りを鎮めるためにある。」 黒い霧が広がり、その中から闇の腕が五人の背後に表れた。 ゼルフィアス「もし...次に我の期待を裏切れば...」 冷たい爪先がそれぞれの首筋すれすれに止まる。 五人の喉を締め付けるような圧が空間に広がった。 ゼルフィアス「その魂ごと、闇に返してやろう。」 空気が止まり、ただ、玉座の闇が笑った。 ゼルフィアス「行け。勇者どもの希望を粉々に砕き、世界に絶望を刻め。我の闇はすでに世界の根にしみこんでいる。」 五人の影が一斉に掻き消える。 最後に残るのは、闇の玉座に座る魔王ゼルフィアス、ただ1人。 赤い瞳がわずかに細くなり、口元がかすかに笑った。 ゼルフィアス「忌々しい勇者ども...いつまで続くか楽しみにしておくぞ...この創られたゲームの世界において、我に勝てることなど無いのだ!」 闇が鼓動のように波打つ。 魔王の城が闇を得て、喜ぶように震えた。 ーーーーーーーーー第12話終わりーーーーーーーーー
感想欲しいよぉ〜コメントしてって〜 スタジオ https://scratch.mit.edu/studios/50912575/ 魔物辞典 「魔王ゼルフィアス」 闇の城に住む魔王。 この世界をゲームと知っており、自分闇でこの世界を覆いつくそうとしている。 「暗黒七人衆:雷鳴のサルヴァト」 雷をまとった片手剣をもっている。 まるで雷のような速さで動き、相手を翻弄する。 楽しく戦うことをモットーとしている。 「暗黒七人衆:毒蛇のメリュシア」 下半身が蛇の女性。 毒を生み出し、操ることができる。 「暗黒七人衆:土盾のオルデュス」 暗黒七人衆のなかで一番背が高く体も大きい。 大地を割るほどの衝撃を放つことができる。 「暗黒七人衆:疾風のフェリクス」 風を操ることができる。 足の素早さに自信があるようでサルヴァトとよく競争をしているらしい。 「暗黒七人衆:闇影のノクティス」 闇の力を操ることができる剣士。 二つの剣に闇をまとわし、光を断ち切るほどの斬撃を生み出すことができる。 キャラクター紹介 「デルタ・フェリィ」 https://scratch.mit.edu/projects/1221337806/ 元々は部隊に所属していた女性。 実力はあったがとある問題を起こし部隊を抜けた。 行く場所がなくなったが、彼女の強さを見込んだ魔王が勇者の偵察と始末を頼んだという。