多党化が生み出す政治の不安定さが露見している気がします。各党はそれぞれ異なる理念・政策を掲げて支持を集めます。そうして議席を選挙で配分し、政治の運営をやっていくわけですが、安定した政権運営を行うためにはできるだけ多くの議席が必要で、結果として連立なり協力なりを行うわけです。昨今のように多党化が進むと意見の相違も多くなるので、協力の際には一方が折れる必要が生じる場面も多いです。しかし、政党は自分の政策を他党に同調して捻じ曲げることをあまり好みません。政党はそれぞれの支持基盤や掲げる理念に基づき政策を立案しているため、他党との協議の中で政策を修正し妥協することに慎重になります。特に支持層からの信頼を維持するためには、自党の主張を明確に示し続ける必要があるため、他党との妥協が政党内で批判を招くケースも少なくありません。結果として各党は一致点を見出せず、必要な政策が必要なときに実施できなくなってしまいます。政治は停滞してしまいます。 そもそも政党とは特定の思想を持った人の意見を"代表"するものであってその全てを包括できるものではないですし、政治とはこうした国民各個人の利害の対立を、一方の権利を制限しながらも解決していこうとするものです。対立して互いに妥協し合いながらも一致点を見出さなけばならないのは、多党化があろうとなかろうと同じことですが、多党化はより一層政治の停滞を促しています。なぜなら、各党は自分のカラーを全面に押し出さないと存続できないからです。「看板政策」があって、見栄えのいい対立構図を作ってドラマ仕立てにしなければ存在意義を国民にわかってもらえない...そういう状況なのです。各党は「折り合う」ことを忘れ、政策を自らのそのまま呑んでもらうまで絶対に引かないですから、安定した国家運営などできるはずもありません。もとい民主主義は安定を好まないと言ってしまえばそれまでですが、自民党55年体制崩壊以降の政局の不安定化はまさしくその本質の一端を表していると思います。実際、自民党の単独与党体制が崩壊して以降、連立政権が常態化し、政権の枠組みや政策合意において調整の難しさが際立つようになりました。短期間での首相交代や政党の離合集散も頻発し、こうした現象は多党化のもたらす政治的流動性と、それに伴う不安定性の一例として捉えることができるでしょう。