log2: relief 目を開けると、そこはトリエルの部屋だった。 「もしあなたがこの世界を救いたいと思うなら、想像もできない苦痛を強いられることになる」 彼女は先ほどのセリフを繰り返す。 コアを出る前に、トリエルにこう尋ねた。 「機械につながれたモンスターを救うにはどうすればいい?」 すると以外にも彼女は真剣に考え始めた。 「あなたは、モンスターがどうなれば、救いだと思う?」 予想外の返答だった。だが、よく考えてみればそうなるのも無理はない。機械につなげられて眠ったままならば、幸せな虚構の中でそれが偽物だと気づかずに消えることができる。かといって機械から解放すると、本当の感情を取り戻すことができるが、逃げられない悲惨な現実を突きつけられる。本当の救いはどちらかと聞かれると、明確にどちらとは言えないのも理解できる。 「もし、あなたが解放を望むなら」 そういってトリエルは奥の引き出しからメモを取り出す。 「ウォーターフェルのここにある機械を持ってきてほしい。機械とは言っても手で持てる重さだから心配しないで。」 地図を受け取り、再びセーブをして部屋を出る。 例の場所にたどり着くと、相変わらず巨大な機械が鎮座していた。今回は足音を立てないようにそっとメタトンの前を通り過ぎる。目的地はウォーターフェル。そのためには少なくともホットランドを抜けなければならない。ホテルの1階につくと、やはり壁紙がところどころ剥がれていた。モンスターは誰一人としていなかったが、保存食系統の食べ物が少し残っていたので頂いた。ホテルを出て、ホットランドに向かう。もしかしたらと思い船がある場所に行くと船頭の姿はなかったが、船がそのまま残っていた。それを使いウォーターフェルへ向かう。 ウォーターフェルにつくと、荒廃した景色とは真逆の、ケーブルが地面の2割ほどを占めていた。おそらくエネルギーや電気を通しているのだろうが、ここだけ露出している割合が高い。地面が凸凹しているのを見ると、地盤が固くて手を出せなかったか、あるいは時間がなかったかとある程度の予想がつく。そのケーブルに吸い寄せられるように道なりに進むと、ウォーターフェルのドリームスケープを発見した。ここは確かカタツムリレースが開催されていた場所だ。だが目的地はここではないので引き返す。すると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「アンタ、こんなところで何してんだ?」 とっさに振り向くと、サンズだった。しかし、本編とは打って変わって、顔には小さなひびが入り、大きめの服をパーカの上から肩にかけて羽織っていた。青紫色の石のネックレスがひときわ目を引いたがそれどころではない。 「アンタみたいなのが来ていいところじゃないぜ。消えな。」 その言葉を聞いた瞬間私は後ろに飛びのいたが、すでにそこには回り込んだサンズが手を伸ばして待っていた。 「あばよ、ガキンチョ。」 再び、私のソウルは砕け散った。 まさか、ドリームスケープの部屋にサンズがいたとは。もっとよく確認しておくべきだったかと後悔しながら、トリエルの部屋で目を覚ます。念のため、トリエルにこう聞いた。 「研究チームはドリームスケープを壊されたくないよね?だったら何か対策はしてあるの?」 すると彼女は微妙な顔をして言った。 「そこが一番の問題よ。やつらは機械を壊されたくないがために様々なトラップと警備システムを使っているわ。中には、倫理的にあり得ないものまで...」 最後のは、おそらくメタトンのことだろう。まさか彼の死がトリガーになっているなんて誰が思うだろうか。 「警備システムって、例えばあのロボットとか?」 と聞くと、 「そうね、あと、私が知る限りでは監視カメラ、研究者本人による巡回なんかもあるわね。ただ、巡回に関して言えば、ドリームスケープが完成した時点でサンズとアルフィー以外の研究者たちも全員機械につながれたから実質これはないに等しいわ。」 ここにきて、とんでもなく有益な情報を得られた。監視カメラ、完全に盲点だった。あと何より厄介なのは研究者本人による巡回である。彼女はサンズのチートじみた移動性能を知らないがために軽視しているが、これが最も脅威となりうる。もしかしたら2度目の死はこれによるものなのかもしれない。解決できていない疑問もいくつかあるが、なんにせよ、この身を削って実験してみないことには何もわからないだろう。 私は覚悟を決めて、再びウォーターフェルを目指すべく足を踏み出した。
第2話 前より短め