【小説版】 片目の勇者 #2 ここは? ゆっくりと、重いまぶたを開く。 「ここは…?」 数回瞬きを繰り返して、やっと我に返った。 柔らかな朝の日差しが差し込む窓際の、緑のベットの上。 何故ここにいるんだ…? 「目が覚めたか」 低く、落ち着いた声が聞こえてくる。 上体を起こすと、こちらに歩いてくる人影が見えた。 「安心しろ。ここは俺の家だ。」 優しく笑顔で語りかける彼は、透き通るような緑だった。中年なのだろうか。若々しさよりも、えもいわれぬオーラが感じられる人物だ。 「もう体調は大丈夫なのか?」 「え、えっと…大丈夫です。ありがとうございます。」 怪訝な顔で見つめられる。 「お前、道端で倒れていたんだぞ。」 「え…?」 そうだ、そうだったんだ。ゆっくりでもいい。思い出さなければ。 雲の合間を縫うように、か細い記憶の糸を辿る。 「確か、道を歩いていたら急に頭が痛くなって、それで…そこから先は、なんとも」 きっと、この人に助けてもらったんだ。この人は、名前も知らない俺を助けて、介抱までしてくれて… 「ま、仕方ないだろ!」 にっと微笑み、そう明るく言った。 「気絶してたしな。無理もない」 更にベッドのそばに近寄り、顔を覗き込んでくる。 「ん、んー…?やっぱり、お前ここらじゃ見かけない顔だよな。どこから来たんだ?」 「えっと」 あれ おかしいな 全く思い出せない 糸が途中で、ぶつりと途切れているようだ。まるで、俺の人生が途中からしか存在しないみたいに。固い壁が、俺の過去を見えなくしていた。 だらだらと冷や汗をかく俺を見て、彼が心配そうな顔をする。 「大丈夫か」 何も分からない。悔しかった。俺はどこから来たのか、なんであそこに居たのか、頭痛の原因は何なのか… そうだ 「確か、何かから逃げてきたような気が」 ぐわん 「っ、!」 まただ、歩いてた時と、同じ頭痛… 「…おい、大丈夫か?」 「っあ、あの、思い出そうとしても思い出せなくて…頭が何故か痛くなって…」 自分のことすら思い出せないこと、そしてその激しい頭痛への恐怖で、最早半泣きと言う他なかった。 「ごめんな、無理させて。大丈夫だ」 そんな俺を笑い飛ばさず、真剣な表情で語りかけてくれる。頭を撫でてくれたその手つきには、優しさが滲んでいるように感じた。 「そういえば、まだ名乗っていなかったな。」 少し屈んで、目線を合わせる 「俺はゾリーだ。この町で色んな仕事をして暮らしている。お前の名前は?」 ゾリー、さん 「俺は…」 ロンダです
ゾリーの優しさが伝われば幸いです 【小説版公式スタジオ】 https://scratch.mit.edu/studios/51114310/ 前回https://scratch.mit.edu/projects/1246344176/ 次回 https://scratch.mit.edu/projects/1253019881/ 【アニメ2話】 https://scratch.mit.edu/projects/596266987 小説版#2です。(アニメ最新話以降の更新はお楽しみに♡) アニメでは表現しきれなかった情景、表情、心情、詳しい設定などが垣間見えるのが文字の良さだと思っています! 2月の受験まで、お付き合いくださいね