【小説版】 片目の勇者 #3 定食屋で ゾリーさんに拾われてから1週間が経った。 「この店初めて来ますよ。先輩はよく来るんですか?」 「ああ、行き付けでね」 「こら、そんなに口元汚して…」 「ははは、そりゃ大変だったな」 活気が溢れる店内。絶えずどこかから食器のぶつかる音がし、客の会話には花が咲き、食欲をそそる匂いが充満している。 「びっくりだなぁ…」 定食を片手に、店内を見回す。 「ゾリーさんの定食屋さんがこんなに繁盛しているなんて。」 お昼時の今はひとつのピークのようで、店内に空いている席はない。 「おーい、こっちに運んでくれ」 「は、はーい!今すぐ」 匿ってもらう代わりに、俺はゾリーさんが街中で営むこの定食屋の手伝いをすることになった。繁盛していたが、驚くことに従業員は募集していなかったみたいだ。つまり、今までゾリーさん一人で店を回していたらしい。俺はもちろん接客をすることになったが、それだけでも目が回る忙しさだというのに… あっという間に、営業終了時間になった。建物の二階に上り、ゾリーさんを探す。 「あの…」 ベットに横になっている 「ん、なんだ」 大きく息を吸って 「仕事多すぎ!!疲れる!!休みほとんどない!!朝から座ってないよ、俺?!!?」 少しの沈黙。の後、ゾリーさんは笑い転げ出す。 「ハハ、ハハハッッ、お、おまえ、かお、あー、目が!目が、すごい、ハハハッッ」 …見てて気持ちのいいくらいの笑いっぷり。いじける俺を見て、それでも笑いが中々収まらないようだった。 「まあ落ち着けって!」 「わかりましたよぉ…」 指で涙を拭いながら、まだニヤつく顔で。 「そんなに疲れたんなら、気晴らしに街にでも行ってきたらどうだ?」 さっき少しは給料出しただろ、と言いながらベットを下りる。 「何か好きなものでも買ってこい。な」 わしゃわしゃと頭を撫でられるのがくすぐったい。 確かに、仕事の手伝いが忙しいため、街にはまだしっかりと行ったことがない。 「じゃあ…行ってきますね!」 持ち物はポケットの給料くらいで大丈夫だろう。まだ行ったことのない場所に行けるのが楽しみで、足取り軽く家を出たのであった。 * ぱたぱたと階段を下る音がし、店の扉に付いた鈴が鳴る。もう出ていったようだ。 「…やっぱり、ロンダに伝えるべきか?」 そう呟いても、答えてくれる人はいない。いや、最初からそんなもの求めていないのかもしれない。そうだ、決まりきったことだ。 「まだ、【魔の手】達のことは伝えるべきではない…」 そう、それはただの怯えかもしれない。躊躇かもしれない。遅かれ早かれ、俺はあいつに全てを伝えてしまう気がする。 「知るとは、罪だ」 この言葉が反響する__ 「…また、いつか。その時が来れば。」
ネタ回を文字にするのムズいっす 【小説版公式スタジオ】 https://scratch.mit.edu/studios/51114310/ 前回 https://scratch.mit.edu/projects/1248319027/ 次回 https://scratch.mit.edu/projects/1253057467/ 【アニメ3話】 https://scratch.mit.edu/projects/597152384 アニメでは表現しきれなかった情景、表情、心情、詳しい設定などが垣間見えるのが文字の良さだと思っています! 2月の受験まで、お付き合いくださいね