「敵を殺せる年齢の者は全員ここに集合しろ!」 集会が始まる。 バロンハートはたった今狩りで捕まえてきたムクドリを獲物置き場に置き、一族の集会の場所であるハイボウンの下に向かった。 ハイボウンの頂上には既にナイト族の族長、デュークスターが座っており、少し下ったところに副長、フローズンリーフがいた。 ハイボウンの下には更に二匹の戦士が座って、集まってくる猫を眺めていた。 バロンハートはダブルファングの隣に座った。今朝の戦いで、フレーム族の猫を倒した者の一匹だ。 全員が揃ったのを確認した後、デュークスターは集会を始めた。 「今朝の戦い、全員が力戦奮闘したお陰で新たな縄張りを我々は手に入れることができた。みんな、よくやった!」 その声に合わせて一族のほぼ全員が一斉に勝利の声を上げた。 騒ぎが少し収まってからデュークスターは再び話し始めた。 「今回の戦いでダブルファングは合計10匹以上の他部族の戦士を葬ったことになった。そこで他のメンバーが望むのなら、彼を現在空席の『four clovers』の一席に迎え入れようと思う。」 再び歓声が上がった。1ヶ月ぶりに『four clovers』のメンバーが揃うことになる。 デュークスターが言った。 「ダブルファング、お前はこれまでに多大な戦果を上げてきた。その実力を評価し、俺はお前を『four clovers』の一員にする事を認める。フローズンリーフ、ホリーハート、マダースピリット、この猫を一員に加える事に異論は無いか?」 3匹が答えた。 「問題ありません。」 「異論無いわ。」 「僕もありません。」 デュークスターが頷いた。 「只今より、ダブルファングは『four clovers』の一員になった。ナイト族はお前の忠誠心と殺傷能力を讃える。」 デュークスターがハイボウンを降り、ダブルファングの元に向かい、命名式のようにダブルファングの肩に自身の尻尾をのばした。 ダブルファングはおかえしに族長の肩を舐めた。 「ダブルファング!ダブルファング!」 一族から雄猫を讃える大歓声が上がった。 しかしバロンハートは素直に喜べなかった。 こんなの間違っている。大勢の猫を殺して縄張りを奪い、四部族の均衡を乱すなんて戦士のする事じゃない。 バロンハートは前からデュークスター政権のやり方に密かに反発していて、いつも戦いに赴くのは好きではなかったのだ。しかし、それを他の猫に悟られない様、必死に努めてきた。もう自分は死んでもスター族に仲間入りできないのでは、とも思い始めていた。 「どうしたの、大丈夫?」 突然肩を優しく叩かれ、バロンハートはビクッとした。物思いにふけっていたらいつの間にか集会は終わっていて、目の前には心配そうな顔をしたフローズンリーフの顔があった。 「あ、いいえ大丈夫です。」 バロンハートは慌てて首を振った。 フローズンリーフが優しく言った。 「そう、何かあったら、いつでも相談してね。」 雌猫が向こうへ行くとバロンハートは溜息をついて戦士部屋に向かった。こんな生活耐えられない。いつまで戦士の掟を無視する行動を続けなければならないんだ?部族猫になれば誇り高い戦士の掟に従って暮らし、素晴らしい一生が待っていると思ったのに、兄貴のせいでナイト族どころが全ての部族に悪影響を及ぼしてしまう事になってしまった。 あぁスター族様! バロンハートは心の中で叫んだ。 僕はどうしたらいいのでしょうか!?
※このプロジェクト内の音源の使用は厳禁です。 音源…https://www.youtube.com/watch?v=_FhgjDhBAWI ⚪︎キャラクター補足 ・ダブルファング 白黒の雄猫。 ・ホリーハート 黒い雌猫。 ・マダースピリット 白銀の雌猫。 ⚪︎ストーリー補足 ナイト族族長のデュークスターと弟のバロンハートは元々は飼い猫でした。しかし、ある日偶然部族猫と会う機会があり、四部族の存在を知ります。その時ナイト族は過疎化が進んでいた上、族長、副長共に老齢で脆弱な状態でした。デュークスターはそんなナイト族に飼い猫仲間や近所の野良猫を数匹誘い、部族入りを果たし、そこから目覚ましい功績を上げ続け、遂に族長の位を手に入れました。そこからデュークスターは他部族の縄張りへの侵攻を始め、僅か数ヶ月でナイト族設立以来の広大な縄張りを手に入れました。一族の戦士はナイト族を再興し、高い指導力とカリスマ性を持つデュークスターに心から心酔しており、彼に生涯の忠誠を誓っていますが、唯一バロンハートは胸中で権力の事しか考えなくなってしまった兄の事を心配しています。 ⚪︎用語 『four clovers』 デュークスターが立ち上げたスター族非公認の精鋭部隊。デュークスターが最強と認める程高度な戦闘技術と高い忠誠心を持つものだけが入れる。メンバーは副長と戦士三匹の合計四匹で構成されている。 加入条件 ・敵の部族猫を十匹以上殺す ・デュークスター及び現メンバー全員からの加入許可を 得る ・戦士である 以上の条件を満たす者が『four clovers』に入れる。 ただし、例外として現メンバーを倒す事でその空席に入る事ができる「昇格戦」というものも存在する。 現メンバーは フローズンリーフ(副長) ホリーハート(戦士) マダースピリット(戦士) ダブルファング(戦士) の四名。 あの人がモチーフの猫がいたんだけど…気付いた?