第四話「絶痛絶苦」 「黒い…人…」 薄暗い倉庫が不気味に冷える。耳が凍り付いて落ちそうなほどに痛い。黒いローブを被った五人の大人たちは私たちの前で立ち止まっていた。 「やっぱりネズミは付き物だったわね。だからこんなガバガバの施錠なんてやめておきなさいと言ったの。」 そう言って教徒の一人がフードを脱ぐ。銀髪を後ろで束ねた女性。前からでも見えるほど大きな青い蝶の髪飾りをしている。この極寒の地球で生きている人間にしては、随分と華奢だった。 「あら、ごめんなさい。だけど、私たちの許可なしに倉庫に侵入したこと、備品を勝手に盗もうとしたこと。攻撃の理由なら充分にあるわ。」 その女性は、どこにしまっていたか分からないナタを取り出し、私たちに突きつける。こんな状況に対して、女性は少し笑顔なように思えた。 その瞬間につららさんは私の袖を引っ張り、引きずるようにしてその場を離れようとする。私は体勢を立て直し、少し乱暴な足取りでつららさんに続いた。 「あいつが持ってたのはナタ、なら距離さえ取れば手を出すことさえできないはず。」 後ろを見れば真顔でこちらを見つめる銀髪の女性がいた。 出口から光が漏れるようだった。つららさんが非常口と書かれた扉に手をかけ、ドアノブをガチャリと回す。 「あっ」 背中に重い衝撃が走った。思わず膝から崩れ落ち、痛みに悶えてうずくまる。ただ背中が熱い、熱い、熱い。 袖を引くつららさんの手が止まり、ゆっくりとこちらを振り向く。その顔が少し青ざめたように見えた。 ああ、そうか……銃だ。傷口から蒸気が上へ上へと立ち昇る。だらしなく垂れる血液は、ぼたぼたと音を立てて地面に落ちた。 ゆっくりと視界が暗転していく。