log:4 hope さて。私は今ウォーターフェルの船の前で悩みに悩んでいた。どれだけ方法を考えようとリスクが高すぎるものばかりだ。途方に暮れていると、物陰から一匹の鼠が顔を出した。...鼠なんていたっけ。こちらに興味を示しているようで、じっとこちらを見ている。よく見てみると、口元には紫色の結晶の破片のようなものがついているのが見て取れる。 「こいつ、まさかあそこのチーズのところのやつじゃ...」 確か原作では結晶化してしまったがために食べられなくなっていたはずだが、口についているのを見る限り何があったか食べられるようになったらしい。そして私はある解決策を思いついた。これがいれば考えていたプランの一つが達成できそうだ。丁度二人は修理に行っているから多少行動する分にはバレる可能性は低いだろう。私は急いで移動し、チーズ結晶をそばの石ころで砕き、小さい破片をドリームスケープの場所に向かって投げ入れた。するとそれに気づいた鼠がすかさずそこに飛んで行く。勢いあまって装置に激突しようかというところで、私は急いで船を出した。川の流れに逆らうことはなく、そのままホットランドのほうへ流されてゆく。ここで急ごうと船を漕いで余計な物音を立てて気づかれようものなら本末転倒もいいところだ。 『ドリームスケープ2号機侵入を確認』 アルフィーの機器から警告音が鳴り響く。 「今度はウォーターフェルかよ...」 「監視カメラ映像を見る限りそれらしきものは何も映ってないけど...」 「ちょうど修理も終わったことだし行ったほうがいいだろうな」 まばたきをする間に、ウォーターフェルに着いていた。少し歩くとドリームスケープの部屋に着いた。 「パッと見た感じなんもいなさそうだが」 「ちゅう」 「またコイツか...」 確かこの前も、ここに迷い込んできていたっけ。ずっと前にも確かあった。だがその時と決定的に違うのは結晶チーズを消化できるようになり活発化したことだろうか。どういう原理かはまったくもってわからない。サンズはその結晶を少し削ってポケットにしまった。 「サンズ、それ持って帰って何するの?」 「あぁー、きれいだから眺めてるだけだ。もうちょっと余裕があるならこれについて研究してみたいもんだな」 そうして一連の確認が終わった彼らは再び研究所に戻っていった。 サンズたちとおそらくある程度離れただろうというところで、私は先ほどゲットした電子機器を改めてみてみた。手持ちサイズというには一回り大きい気もする。中央には画面があり、横には大小いくつかのボタンと小さい画面がついていた。電源は入らなかった。長く放置されてその間に消費されてしまったのだろうか。そんなことを考えているうちにホットランドに到着し、急いでコアに向かう。幸い、彼らが研究所に戻る前にコアにたどり着くことができた。 部屋に戻ると、トリエルが驚いた顔でこちらに向かってくる。 「帰ってきてくれてうれしいわ、その手に持っているのは...」 「言われてた機械ってこれで合ってる?」 トリエルは目を輝かせてうなずいた。どうやら合っているようだ。すると彼女は急いで奥の棚からケーブルを持ってきた。 「充電が無くなっているからいったん充電しなきゃね」 すぐそばの壁から出ている漏電したケーブルにつなぐと、充電ランプと思われるものがオレンジ色に光り出した。 「これ電圧とかそういうのって大丈夫なのか...?」 「大丈夫よ、ある程度は丈夫に作ってあるし最悪壊れても修理はできるから。」 「そんなんでいいのか...」 数十分後。充電が完了したようで、トリエルが電子機器を持って戻ってきた。 「これは、私たちが独自に開発した機械、名前はドリームシーカーって言うのよ。」 電源が付いた機械を彼女に見せてもらう。緑色に光る画面には、所狭しと様々な情報が載っている。が、そのほとんどがエラーを吐いている。 「今は全部情報が無いからエラーになっているけど、ドリームスケープにつなぐことによって内部情報にアクセスできるのよ」 「それでどうするんだ?」 「モンスターたちはみんな夢を見てる。幸せな世界で楽しく生きているわ。だけどそれは虚構の世界。それを彼らに伝えたうえで説得して現実に戻さなきゃいけない。でも彼らは現実の存在を忘れている。」 「じゃあどうやって説得すればいいの?」 彼女たちの調べによると、ドリームスケープは対象の意識に干渉し、「楽しい」、「幸せ」といったポジティブな感情を常に強制的に植え付けることによって成り立っているようだ。つまり、現実での楽しかった出来事を思い出させれば彼らは本当の幸せを思い出すかもしれないという。この世界には人間が来たことはないらしいが、元の世界の知識があればたぶん行けるだろう。少なくとも、ドリームスケープを一時停止させれば彼らは思考停止状態から解除されるとのことなので説得に関しては大丈夫だろう。 「でもそんなことしたらサンズとかにバレないの?あの二人常に監視してるみたいだし。特に機械周辺はかなりの警戒度だったよ?ぶっちゃけ何回も死んだよ?」 するとトリエルは得意げにこういった。 「そこも大丈夫。私たちのチームにあるとき妙な人物が現れて、電子系のことは大体彼がやってくれたのよ。アルフィーのこともよく知っているようだったわ。で、その人がいろいろ考えて付けた機能がデータ偽装ってわけ。」 「その人物ってどんな見た目だった?」 嫌な予感がして私はトリエルに聞いた。 「そうね...思い出せるような思い出せないような...すごく優秀な科学者だったんだけどどんな人かって言われると思い出せないわね。」 単純に忘れているだけか?それにしては認識がはっきりしているような。そんな気がする。妙な人物で優秀な科学者と言えば例によってガスターしかいないわけだが。記憶改変なんてできたか...? いや、あいつならできる。そういうことにしておこう。今はその人物の正体は重要じゃないな。 「話がそれちゃったわね。それで、データ偽装をするにはある程度元のデータを取らなきゃいけないのよ。だから一か所攻略するって言っても数日かかることになるわね。」 「やっぱりあの二人をどうにかして引きはがさないとダメだな。」 「そうね。そのためのリサーチもちょっとはしてあるのよ?例えばホットランドの...コアから出て右のほう行って左に曲がった突き当りくらいのところにでかいケーブルがあるのよね。main-Dって書いてあったから少なくともあと3本はありそうなものだけど。まあ、これはドリームスケープ開発前のことだからもしかしたら変わっているかもね。」 「なるほど?そのケーブルを切ったりすれば主要システムのどっかしらが落ちるからその隙にいろいろやるってことね?」 「そういうこと。」 ようやく攻略の糸口が見えてきた。あとは試行回数の暴力でどうとでもなる。と思いたい。 「ケーブル切るのにそのさびたカッターじゃ大変でしょ」 「なんか他にいいものがあるの?」 「ないわ」 ないのか。 「でもさび落としくらいならあるわよ。結構工具とかその辺に落ちてるのよねここ。」 さび落としあるのかここ。 私はきれいになったカッターと充電済みのドリームシーカーを受け取り、いったんセーブしてコアの外に出るのだった。
久しぶりの小説です ちょっと長め