あるところに、小さなドラゴンが一匹いました。 彼は強くなりたいと願っていました。 それは誰かを傷つけるためではなく、 いつか人間と並んで生きるためでした。 ある日、人間たちが山にやって来ました。 「最近、人を襲う魔物がいるらしい」 その話題の中心にいたのが、このドラゴンでした。 ドラゴンは知っていました。 この世界を支配しているのは人間だということを。 だから倒せば、認められると思ったのです。 ドラゴンは勇敢に立ち向かい、人間を退けました。 ですがその瞬間から、自分が“敵”として見られていることには気づきませんでした。 やがて、勇者が現れました。 勇者は剣を抜かず、薬を投げつけました。 それは自我を失わせる呪いの薬でした。 「お前には家族がいるんだろ?」 その言葉とともに、ドラゴンは理性を失い、 自分の家族を含め、多くを破壊してしまいました。 勇者は王に言いました。 「私があのドラゴンを討伐しましょう」 ドラゴンが暴れるほど、勇者の報酬は増えるからです。 後に、旅人がドラゴンと出会います。 ドラゴンは静かに語りました。 「私は村を……いや、この王国を守っていた」 この山には呪いがあり、 それを沈めていたのは、代々ここに住むドラゴンたちでした。 その役目は一万年前から続いていましたが、 誰も覚えていませんでした。 そもそもドラゴンが強くなろうとした理由は、 呪いを完全に沈め、 人間と共に暮らすためだったのです。 そして、その呪いは ドラゴンには効きません。 人間の力を持つ者にだけ、かかるものでした。 今、その力を持っているのは 勇者でした。