我、かの地に至る。 かの地には、病に侵されども立ち上がる民が居た。 我は言う。「何故立つか。そのまま眠れば楽なのだ」 民は苦しんで言う。「されど、希望を忘れたくないが故」 我は希望を知った。 我、かの地に居た。 かの地には、涙を流す民が居た。 我は言う。「何故泣くか。不安なぞ無いであろう」 民は泣いて言う。「妻を失いたるが故」 我は悲痛を知った。 我、かの民を知る。 かの地には、苦痛を与える民が居た。 我は言う。「何故苦痛を与えるか。その民に罪は無い」 民は酔って言う。「五月蠅い」 我は怠惰を知った。 我、かの民に至る。 かの民は、苦痛与えし民を刺している。 我は言う。「何故刺す。そなたが耐えれば良いのだ。」 民は静かに言う。「耐えれぬ事もある」 我は絶望を知った。 我、事実に至る。 希望を以てしても、決して悲痛に勝てぬ事。 悲痛を以てして、怠惰となる事。 怠惰を以てして、絶望となる事。 何故、これは事実足り得てしまうのか。