「録音」 それは、僕が一人で留守番をしていた夜のこと。 両親は共働きで、その日は帰りが遅くなると言っていた。 家は静かで、聞こえるのは時計の「カチ、カチ」という音だけ。 暇だった僕は、スマホのボイスレコーダーで遊ぶことにした。 「あとで自分の声聞くの、ちょっと恥ずいよな」なんて思いながら、 「……テスト。これ、ちゃんと録れてるかな」 そう言って録音ボタンを押し、すぐ止めた。 再生してみる。 「……テスト。これ、ちゃんと録れてるかな」 自分の声だけ。 当たり前だ。 その後も何本か、独り言を録っては消してを繰り返した。 ……最後に、ふざけてこう言った。 「もしこの家に誰かいるなら、返事してよ」 沈黙。 「なにやってんだ俺」と思って、すぐ録音を止めた。 念のため再生する。 「もしこの家に誰かいるなら、返事してよ」 ――少し、間が空く。 そして。 「……いるよ」 低くて、かすれた自分じゃない声。 一瞬、理解できなかった。 でも、すぐに背中が冷たくなった。 だって、その声がした瞬間―― 二階の足音が、止まったから。 その家には、 僕一人のはずだった。
↑使い方に書いてあるヨ…