【小説版】 片目の勇者 #7 Nonfiction - spiral 1 悲惨な物語は今も尚、続いている。 何故「知らなかった」のか。十人が十人そう言わざるを得ない真実は、確かに存在していた。 「知には代償が付き纏う」 彼が一番良く知っている 「この話は、悲劇のほんの一部分に過ぎない。信じるかどうかも、ロンダ。お前次第だ」 彼は淡々と、静かに語り始めた。 * 何気ない日常。起こること全てが、人々の暮らしを彩っている。 雑踏が耳に馴染む音楽を奏で、店の賑わいが人を呼ぶ街は、夜も眠らない。 その傍らで子供は学び、成人すれば働き、老後は心穏やかに過ごす。 何も知らない人々は、そんな毎日が偶然の上に成り立っていることを知らない。 そして、この幸せがいつまでも続くと思っていた。その時は、突然訪れるというのに。 色に溢れた世界の中で、異質な程に黒い雲が太陽を隠すのだ。 そこにあるのは、天災。身勝手な人類に対する神の怒り。罪への裁き。 天の意思の如く、光を反射しない黒い手が地上へと向けられる。 薄暗い朧の中に、人々は何を見るだろうか?何を望むだろうか? 答えは生まれることはない。誰も罰から逃げることはできず、体を抉られ、千切られ、奪われる。 大半を占めるのは、即死。または、失血死、ショック死。生き残れる可能性は決して高くない。 凡そ一年に一度訪れるカタストロフは前兆もなく、場所も規模も予知できず、相見えたとしてもの裁きを止めることはできない。全てが事後対応に成らざるを得ないという事でもある。 だが、それでも奪われた部分が急所を外れていた場合、もしくは神の恩恵を受けた伝説の医 師団、【光の医術師】の治療を受けた場合は生き残る可能性が残る。 それでもただで生きることは許されない。この物語は終わらない。一生身を蝕む魔の手なのだから。 生き残った人々は例外なく、ある特定の空間を見る。夢というには些か現実味を帯びすぎて いるが、現実というにはあまりにもファンタジーの世界のような。そこは、裁きを受けた者に選択の機会を与える場でもある。 選べ。二つの選択肢がある。 1つは、私達の仲間となり、半永久的な人生と何もかもを超越する力を手に入れること。 もう1つは、呪いが深く根付いた体で短い時間を人間として生きること。 どちらの道も、地獄だ。魔の手になれば人の血肉を欲するようになり、人間のままでいれば多種多様な呪いが体を壊していく。 いずれにせよ、魔の手や雲に関する記憶は全て相手の能力によって抹消され、空白の過去を持ちながら第2の人生を歩むことになるのだ。 …ただ、この事実全てをか弱い人間が知ったとして、何かを変えることは出来るのだろうか? 知らない方が幸せなことも、世の中にはあるのではないか? 憎しみに満ちた人生と、楽観的に無責任に生きる人生とでは、どちらを選ぶのが正解なのだろうか? この数十年、何度空に問いかけたのか。 問は増え続けるのみ。 何故自分だけが苦しい思いをしなければならない? 何故知ってしまった? 自分は今、善か?悪か? 返ってくる物は何も無く、回数を重ねるにつれて段々と後悔していくのだ。 ああ 人間になんて生まれるべきじゃなかった
抗えない螺旋 【解説?】 誤字ありましたすいませんんん 6.5話の小説版で、2に続きます 片目の勇者の世界線の、核心に関わる設定のお話! これが全てかどうかはさておき、頭に入れてアニメも見てくださると嬉しい-_-b 【小説版公式スタジオ】 https://scratch.mit.edu/studios/51114310/ 前回 https://scratch.mit.edu/projects/1260840250/ 次回 お楽しみに 【アニメ6.5話】 https://scratch.mit.edu/projects/607743755/ アニメでは表現しきれなかった情景、表情、心情、詳しい設定などが垣間見えるのが文字の良さだと思っています! 2月の受験まで、お付き合いくださいね