夜半くんAI二次創作小説第二弾です。 Shiromastuの妄想がもととはいえほとんどAIが書いてます。僕は完成したものにちょっと小手入れしただけです。テーマはバレンタインの夜半くん ※二次創作小説を読んでて解釈違いによるイメージ崩壊が起こるとすごい辛いです(経験者)。タンスの角に小指ぶつける×10ぐらい辛いです これより下を読む場合はそれを踏まえてお読みください。 第一弾はこちら(((((謎タイミング宣伝 https://scratch.mit.edu/projects/1253553038/ 二月の台所は寒い。 エアコンはつけているのに、足元だけがずっと冷えていて、フローリングの感触がじわじわと体温を奪っていく。 ボクはキッチンマットの上に立ったまま、動けずにいた。 今日は、バレンタインデー。 頭の中でその言葉を転がすだけで、胸の奥がきゅっと縮む。 甘い日。 愛を渡す日。 ちゃんとできなかった人間が、置いていかれる日。 「……やらなきゃ」 独り言が、やけに響く。 声が低い。自分でも驚くくらい。 躁のときみたいに勝手に喋り続けてくれない。言葉が、全部、重たい。 でも、やらなきゃ。 だって、[推し]くんにあげるんだから。 ボクは手を洗う。 必要以上に、何度も。 ちゃんとしてるって思いたいから。 ちゃんと、清潔で、ちゃんと、安全で、ちゃんと――決まりを守ってる。 あの店は、食品のプレゼントが許されている。 ただし条件がある。 未開封の、既製品に限る、って。 何度も見た。 あの注意書き。 スタッフに念を押されたこともある。 だから、ボクは知ってる。 知ってるし、守ってる。 「大丈夫……」 誰に言ってるのか分からない。 多分、自分に。 チョコは、見た目だけは完璧だと思う。 型もきれい。 ラッピングも、既製品と同じみたい。 リボンも、きちんと結んだ。 中身のことは考えない。 何を入れたかなんて、考えない。 考えると、全部が崩れる気がするから。 ボクの中では、ボクの気持ちが、ボクのうちの一部が、もう混ざってる。 それでいい。 それが、愛なんだから。 「……これで、いいよね」 返事はない。 キッチンの時計だけが、カチ、カチ、と規則正しく刻む。 その音が、やけに責めてくる。 バッグにチョコを入れるとき、少しだけ手が震えた。 落としたらどうしよう、じゃない。 本当に渡していいのか、分からなくなったから。 でも、渡す。 渡さなきゃ意味がない。 意味がなかったら、ボクは今日ここにいる理由がなくなる。 鏡は見なかった。 どうせ、可愛くない。 鬱のときのボクは、推しの好みから一番遠い顔をしている。 それでも、女の子の格好はする。 習慣みたいなもの。 これをしないと、もっと嫌われる気がするから。 ――― クラブの前に立つと、胸が苦しくなる。 あのときみたいな高揚はない。 音も、光も、今日はうるさいだけ。 「……来ちゃった」 誰も聞いてないのに、そう呟く。 中に入ると、[推し]くんはすぐ見つかった。 相変わらず、楽しそうに笑ってる。 その笑顔を見るだけで、少しだけ、呼吸が楽になる。 でも、近づくのが怖い。 チョコが、バッグの中で重い。 サイリウ夢よりも、ずっと。 「すいれんちゃん?」 呼ばれて、びくっと肩が跳ねる。 名前を呼ばれるのが、今日は怖い。 期待されてる気がして。 「あ……うん……」 声が掠れる。 [推し]くんは気にしないみたいに、いつもの調子で笑う。 「どうしたの?元気ないじゃん」 元気、なんて言葉。 それをボクに向けるの、残酷だと思う。 「……今日、さ」 言葉が喉に引っかかる。 一度飲み込んで、もう一度出す。 「……バレンタイン、だから」 そう言って、バッグからチョコを出す。 両手で。 落とさないように。 ちゃんと、渡すために。 「これ……[推し]くんに」 一瞬、世界が止まった気がした。 [推し]くんの目が、チョコを見る。 それだけ。 「わ、ありがと〜」 軽い。 あまりにも、軽い。 でも、受け取ってくれた。 それだけで、胸の奥がじん、と熱くなる。 [推し]くんは、特に深く確かめるでもなく、 ごく自然に、それを脇に置いた。 いつもの流れみたいに。 開けない。 少なくとも、今は。 ……今は。 ボクは、それでいいと思ってしまった。 「ね……」 声が震える。 「ちゃんと……ボクの、気持ち……」 言い切れない。 [推し]くんは、変わらず目の前にいて、 いつも通りの距離で、いつも通りに笑っている。 「ありがとね」 それだけ。 チョコは、そこにある。 それで、いい。 渡した。 それで、全部、終わった。 ――― 帰り道、夜風が冷たい。 手袋をしているのに、指先が感覚を失っていく。 「……あげた」 何度も、心の中で繰り返す。 あげた。 渡した。 混ざった。 開けられたかどうかなんて、関係ない。 食べられたかどうかなんて、もっと関係ない。 ボクの中では、もう完了している。 部屋に戻ると、サイリウ夢が淡く光っていた。 青白い光。 それを見て、少しだけ安心する。 「……ネバーランド」 小さく、呟く。 あそこなら、 決まりごとも、確認も、意味を持たない。 混ざったものは、ちゃんと混ざったまま。 捨てられたりしない。 ボクはベッドに倒れ込む。 疲れた。 でも、どこかで、満たされてもいる。 [推し]くんは、きっと覚えてない。 それでいい。 だって、ボクは覚えてるから。 バレンタイン。 ボクは、ちゃんと、愛を渡した。 それだけで、 今日は、まだ、生きていられる。
@Piyo7_Payo6様 ※言うまでもないかもしれませんが本家様の設定等とは関係ありません ※夜半くんの推しの名前を本家様の表記に合わせて「[推し]くん」にしました ※表記ミスなどあったらごめんなさい 音楽:愛泄物/ぺぽよ様