※全略 ここは府知実大学付属高校。 狂鳳組の本部から歩くと30分、バスだと20分、自転車なら10分、タクシーなら5分、そして 狂鳳組の若頭(全力)に運ばれた場合は3分 で着く。 そんな場所で今日は文化祭が開催されている。 校門には「文化祭だよ!いらっしゃい!」と元気に叫ぶ生徒たちと、テンションの高い保護者たち、そしてテンションの低い教頭が奇妙な三角形を作っていた。 文化祭の伝統といえば―― 毎年どのルートから来るのか分からない 幻のおにぎりキッチンカー。決まった時間にしか出てこず、売り切れ時間は毎年違う。そのため、「今年こそ食べるぞ!」 という生徒の悲壮感だけが年々増している。 もう一つは体育館ホールで行われる ダンスパーティー だ。 そんな文化祭の中心で忙しく走り回っているのが私、 文化祭実行委員長の 多久笈 由知 である。名前だけ聞くと強そうと言われるが、中身は普通のJKだ。 今私は、警察による「闇バイト防止実演講習」を見学していた。 今回来てくれたのは元気な女性警官・みるあさん と、 目つきが悪すぎるマスコット着ぐるみ だった。 問題の着ぐるみは、猫でも犬でもなく、もはや「感情をなくしたナマケモノ」とか「怒りが具現化したもふもふ」とかそんな雰囲気をしている。 女性警官が「可愛いでしょ?」と言っていたけど、 視力検査をしたほうがいいと思う。 講習が始まると、彼女は元気よく説明した。 「今日は闇バイトの手口を紹介します! みんな、絶対にやっちゃダメだよ~☆」 テンションが軽いのに内容が重い。私は将来刑事になりたいから、こういう話は全部吸収したい。 隣の着ぐるみはうんうんとうなずいていた。 お前理解してるのか? 講演が終わり、私はすぐに質問しに向かった。 女性警官の名前はみるあといった。 「どうしたのかな?」 「い、いくつか質問が……!」 「へー、どんなこt――」 そのとき甲高い声が響く。 「ひったくりよー!! たすけてぇぇ!!」 外から悲鳴が聞こえてきた。 僕が動こうとした、その時、着ぐるみが瞬間移動した。 そう、瞬間移動した。 さっきまで横にいたのに、気づいたら鉄パイプのところにいた。着ぐるみは鉄パイプをスパイダーマンみたいに駆け上がり、そこから高速で犯人へ一直線。 視界を切り裂く“もふもふの塊”とか初めて見た。 そして―― ドッ!!! という衝撃音と共に、ひったくり犯にワンパン。犯人の歯が 5本くらい飛んでった。2m飛んでった。物理で。 周囲からは歓声が上がった。 みるあさんは 「ちょっと! ムジカさん、こんなところでこんなことしていいの!?」 と困惑していたが、 着ぐるみは親指を立てていた。 どう見てもプロのそれだった。 その後、現場は安全確保のため一時封鎖。 ひったくり犯は救急車で運ばれ、 (犯人が悪いけどちょっとだけ同情した) みるあさんは対応に走り、修羅場へ向かっていった。 私はというと―― 質問どころじゃなくなった。 刑事志望の私としては、「事件の瞬間」を見られたのは貴重だが、「着ぐるみの中の人は誰なのか」 という最大の謎だけが残った。 ともあれ、文化祭は今日も平和(?)である。 時はさかのぼり文化祭当日の早朝 本来なら固く閉ざされ、立ち入りが禁じられているはずの学校屋上、その錆びた鉄扉の前に、いつのまにか人影がひとつ現れていた。 和服、しかもこの時代には不釣り合いな、奇妙にほつれた着物を身にまとった男。黒髪は風に揺れ、その姿だけなら古い劇の役者にも見えた。しかし、その背には異様な存在感を放つものがあった。どす黒く、鈍い光をたたえた刀。普通の刃物ではない。光の加減によっては、生き物のように脈動しているようにさえ見える。 男は屋上の手すりに手を置き、無造作に望遠鏡を覗き込む。片手には、小さく、しかし異常なほど冷たく光る“ボタン”を握りしめて。 「——旦那がいっとったけど、ここ爆破するんか。…えらいことやなぁ。」 呟きは軽い。しかし声の奥には奇妙な諦観と、ぞくりとするほどの愉悦が混じっていた 男はその風景をしばし眺め、ふっと口元をゆるめる。 「まあ、旦那の願いは断れへんしなぁ。最悪、わてひとりでも“狂鳳”のモンはやれるやろし……」 独り言にしては妙に楽しげだ。 まるで、これから始まる混乱そのものを娯楽のように味わおうとしているかのようだった。 次の瞬間、彼の表情が変わった。ゆっくり、じわりと、暗い影のような笑みが浮かんでいく。 「楽しみやなぁ……旦那の計画。どんな顔して逃げ惑うんやろ。どんな声で叫ぶんやろ。それ考えただけで、胸がふわぁっとあったまるわ。」 ひやりと冷たい風が屋上を吹き抜ける。その風に、彼の着物の裾がゆらゆらと揺れた。 太陽の光が反射し、屋上に一瞬、赤い閃光が走る。 男はそれを眺めながら、うっとりと目を細めた。 「ほんま、……ええ朝や。」 手のボタンが朝日に反射した
今ので警察動くの確定しました