前回 https://scratch.mit.edu/projects/1279495904/ 次回 まだ ========================= 《永井房頼視点》 11月20日。 鉄砲の練習。 「上手いんだなぁ、お主。」 長宗我部盛親(ちょうそかべもりちか)に声をかけられた。 「いえ…全然。これ以上距離を離したら徳川の兵になど当たりませぬ。」 「いいや、戦経験どころか訓練もしたことがない奴はそんな腕じゃない。儂も、兄が生きていた頃はまともに鍛錬していなかったからそんなもんだった。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 長宗我部盛親。 かつて四国をほぼ統一した長宗我部元親の四男。関ヶ原の戦いで領地没収された。 しばらく京都で生活していたが、大坂城に駆けつけて領土復帰を試みる。 四男なのに家督を継いだのは、長男が二十二歳で戦死したせいで元親が狂ったのか次男と三男を差し置いて盛親を後継者に指名したからだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 鉄砲は的の中心の少し右に当たっている。 実はシューティングとアーチェリーは得意だ。 弓道と剣道はやったことないが、まあ、弓道の代わりにアーチェリーができるなら遠距離で活躍できそう。 「まだまだ未熟でございますよ…弾込めも慣れていませんし。戦場でちゃんと戦えるかどうか…」 銃弾入れてドーンの現代とは違って、火縄銃は撃つまで時間がかかる。その工程が難しいというか、面倒。 ①銃口から火薬を入れる。 ②弾丸を入れて、カルカという棒で押し込む。 ③点火薬(①とは別のもの)を火皿に入れる。 ④火蓋を一旦閉じて火皿を守り、火縄を火鋏を付ける ⑤銃を構えて、火蓋を開いて撃つ これをやる時間をどれだけ短縮できるかが大事だ。リロード中に攻撃されたらひとたまりもない。 あと普通に剣も槍も無理。重すぎる。 「ところで…まだ秀頼様にはお目通りできないのでしょうか?」 「特に何もしていないのがよくない、と言われている。」 困ったなぁ…大野治長(おおのはるなが)にすら会ってないのに鴨野の戦いに参陣できるわけがない。 「大野治長様とか…」 「治長殿か......できなくはないか...?」 「…今度、治長様の軍に同行したいと思いまして。」 「ああ、そうか。貴殿もようやくやる気か。治長殿の軍に何かあるのかな?」 「何年も大坂城に引き篭もっている軍では半分の敵相手でも信用にならないんで….まだ猶予はあります。」 「…そうか。まあ、後で直接治長殿に聞いてみる。秀頼様では駄目でも治長殿なら比較的許可してもらえそうではあるしな。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 大野治長。 母が豊臣秀頼の母である淀殿の乳母(子育て係)である。弟に治房や治胤(はるたね)がいる。 豊臣軍のの中心の一人であった。 豊臣の中枢であったが故に、後世では超優秀な真田ら浪人の代わりに愚かな印象が大きい。しかし、実際にはそれほどの愚かさではなかったのだろう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 足音が聞こえた。 「盛親殿、秀頼様がお呼びです。」 「ああ、重成殿か。軍議ですな、すぐに行きます。」 しげなり…恐らくは木村重成(きむらしげなり)だろう。二十代の美青年感がすごい。 「ところで、その者は?」 「噂の“未来人”ですぞ。」 「ああ、初にお目にかかります、重成様」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 木村重成。 未だ謎の多い武将である。 彼の母は秀頼の乳母(めのと、母親の代わりに子育てする人)であり、幼少から秀頼に仕えた。生年不詳だが、恐らくは秀頼に近い年齢。戦の経験が大坂の陣までなかったが、その戦いぶりは徳川方をも感心させた。 後世でもとても人気があり、その死から200年以上経った1828年には何故か重成ブームが起きて、民衆が願いが叶う『残念様』の墓に参拝しまくるのを大坂の奉行が止めようとしたらしい。江戸時代の間、豊臣方の武将を称賛するのは違反だった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「少し聞こえた。豊臣の兵が信用ならないと言ってたな。」 「いや…それは…」 …まずいか?これ 「いや、十四年何もしていない兵が何万いようが心細いのというも事実だ。私は戦さというものがよくわからない身でな、人を斬り殺したこともない者に反論などできぬ。朝鮮出兵や、十四年前の戦を生き延びた浪人達に頼る他ない。 ましてやこれからの全てを知っているというお主の知恵をこの館に放置するにも勿体無い。大野殿には私からも一度は会うよう言っておくが、できなかったら私の隊にも来てくれ。」 「…!有難く存じます!」 次の日には大野治長のところに呼ばれた。 「永井房頼にございます。」 「…木村殿から聞いたが、我が軍が数日後に敗れるそうだな。」 「まあ、深追いし過ぎて敵の罠に嵌るというところでしょうか。勿論その判断をしたのは治長様でなく下の者ですが。その者らが慎重に動くように仕向ければ、数で上回る敵は問題無いでしょう。」 「そうか。相手は誰だ?」 「上杉です。」 「上杉か…確かに強いという評判があるな。彼奴め、太閤殿下に大老に任ぜられ、亡き石田治部殿(石田三成のこと)にも助けられたというのに…御恩を忘れてあの狸の下で大坂を囲むなど。」 んなこと言ってもなぁ…… 「それを言うとキリが無いので止めましょう。今や豊臣に味方する者など居ませぬ。しかし、望みはあります。」 「何処だ?島津か?毛利か?」 これが祖先の兄か...と思った。半ば呆れる。 「誰がとは言えませぬ。徳川勢20万を殲滅するか家康の首一つとれば、徳川に楯突く者は減ります。殆どの大名が大坂を囲う理由は、徳川が勝つと思っているからです。」 「左様。奴らは勝てる方にばかりつく、卑怯者だ。」 だっから豊臣の上層部は…. 「……とにかく目の前の20万人に集中しましょう。長期戦にしなければ援軍も来ませんし、此方は天下の大坂城に10万も集まっているのですから。」 「まあいい。これ以上愚痴を吐いても無駄だ。それで、どうすれば良いか?」 「ひとまず鴨野の井上頼次(いのうえよりつぐ)様と今福の矢野様に伝えておいて下され。『5日後』と。」 「五日後…か。了解した。それと、お主、あまり外には出るなよ。」 「…?何故でしょうか?」 「城内には恐らくまだ徳川方の藤堂とかが放った忍がいる。未来人の存在がバレては困るのでな。それと、あまり外に出られると監視できない。正直に言う。私はまだお前のことを信用できていない。」 「…承知致しました。」 さて、次は何処に行こうか?(後ろ大野の兵に尾行されてるのは知ってる。) 博労淵もいいな。福島は危険だろう。 待て、今すれ違った人の顔…なんか、警戒が必要そうなな雰囲気が。 真田から聞いた。確かあれは….. 南条元忠(なんじょうもとただ)。 徳川に内通している奴だ。
どうも、ガガこと@gagamkと申します。 妄想大野治長は愚かというより焦りやすい人って感じ。 今回の内容だとサムネにネタがないので現状の地図です ===今回の登場人物=============== 永井房頼 長宗我部右衛門太郎盛親 木村長門守重成 大野修理大夫治長 南条中務大夫元忠