俺は、至って普通の学生だった。 特にずば抜けた特異体質なわけでも 何か運に恵まれたすごい人間なわけでもない。 そう、あの日までは……。 俺は最近、少し夢見がちな漫画などにハマっていた。 転生系だ。 何か事故にあった衝撃で、ゲームの主人公に転生したり どこかの令嬢や、悪役に転生してしまったり。 あり得ないけれど、もし本当にそうなったら。 こんなの、妄想に過ぎないが考えるだけでも楽しい。 その日は下校中だった。 いつも通り学問を学び、会話をし、また繰り返す。 正直、ありきたりで面白さの欠片もなかった。 下校と言っても1人なので、また「もしも」の妄想を 始めてみた。 ……もしもここで猫が飛び出してトラックに轢かれそうになったら。俺は真っ先に飛び出して、猫を助けるだろう。 もっとも、俺にそんな行動力があればの話だが。 はぁ、とぼんやりしながら歩いていたら赤信号に 気づかなかったらしく、トラックが目の前にいた。 そんな漫画の主人公でもないので、俺はそのまま 思いきりトラックに弾かれた。 でも、「もしかしたら」これで転生ができるのかも…… なんて少しだけ楽しみに思って、意識を手放した。 これが、あの日の出来事だ。 ___________________________________________________ 『……次のニュースです。先日、中学3年生の男子生徒が トラックに轢かれ、病院に搬送されましたが、死亡が確認されたとのことです。警察によりますと、原因は男子生徒の不注意だと述べられています。次のニュースです……』