次話 https://scratch.mit.edu/projects/1284044055/ 前話 https://scratch.mit.edu/projects/1279083965 「なんか最近忘れるの多くね?やる気あんの?」 本当にすみませんでした。 個人的に結構好きな話 作成日…10月16日(一部推敲済み) [自己評価] 8/10(お気に入り) [長さ] 10/10(長い) ※現在書き終えている最新話と比べています。 上下キーで動かすで。 タップでズームもできるンゴ 以下原稿。 第十六話 「頼り」 「はぁ…これからどうする?」 「…どうする、か。」 中立2名。CHAOSER1名を協力関係に引き込むことができた。 戦力が増強されたことにより、混沌一同は安堵していた。 CHAOSERが一応だが味方になってくれている以上、 他のCHAOSERから蹂躙されることはないだろう。 それ故に、結構自由に行動することができるようになった。 今までのように殺される恐怖からの解放。 強者に襲われても生き残れる自信がついた。 それをバフに受けながらこれまで通り、 中央平原辺りで仲間探しをする方向になった。 CHAOSERと中立二人を連れて。 しかし、現実はそう甘くはなかった。 その強大すぎる力を有することで、思わぬ弊害が出て来てしまった。 ひたすら一日中歩き回っても、誰とも遭遇しない。 最初こそ疑問に思っていたが、冷静に考えてみればそうだ。 CHAOSERを連れている者など、恐怖でしかない。 命知らずでも近づかないような奴らだ。 それは混沌にとってあまりに致命的すぎる弊害だった。 近寄る者がいなければ、仲間にはできない。 「こうして全員が集まったわけだけど。 これからどうしていくの?本当に。」 「どうするって……そうだ!とりあえず、事実から確認しよう! そうしたら何か見つかるはず!」 かつて仲間に引き入れる時もそうしたように、 まず最初に事実を確認しようとした。 前のように、解決策が見つかるかもしれない。 「事実として、俺らはCHAOSERと中立二人を仲間に入れている。」 「僕と霧生とロベシーのことだね。」 「そして、戦力が増した。その後に仲間集めをしようとしたら、 誰とも出会わなかった。」 「CHAOSERの印象も相まって、誰も近寄りたくないんだろう。」 雷災などの異常な存在がCHAOSER全員の印象を悪くしている。 実際がどうなのかなんて関係ない。触らぬ神に祟りなしだ。 「意見あるんですが…CHAOSERを連れて行かなければいいのでは? CHAOSERの存在が抵抗を促している訳なので。」 「その案は確かに現状を打破するためには必要だ。 だが、考えてみてほしい。現に俺たちは中立にすら満足に勝てない実力だ。 中立を連れているとはいえ、明らかな実力不足は付き纏う。」 「そうですね…どうすれば…」 仲間に入れて強くなった気でいた一同だったが 今一度冷静に考えてみると、その仲間は単なる外付けの装備でしかない。 個人が強くなったわけではないのだ。実力のなさに打ちのめされる。 全員はただ無言で下を向いていた。 「やはり、俺ら個人個人が強くなるしか道はない。」 一同が考えていたことを代弁するかのように、クロムが言う。 「そうと決まれば、早速練習するか?」 「待て。一人で黙々と高める気か?秩序が策を立てている間に 俺らはのんびりと進むと?」 「なら、ロベシーとか霧生とかに教えてもらいながら…」 「カクヅチ、忘れてない?私たちはあくまで“協力“。 師弟関係を作ったら、上下が生まれる。最悪乗っ取られるわよ?」 「じゃあもう!どうしようもねえじゃねえかよ!!」 カクヅチが声を上げる。 力を得て、力に飲まれるとはこのことだ。 いっそ手放してしまおうか。そう考えるほど追い詰められている。 だが皮肉にも、そうしてしまうと振り出しに戻る。 壁に行き詰まった。あまりにも高く、厚い壁に。 ロベシーもこの重い空気を打破することはできない。 重い沈黙が流れる。風の音すら聞こえない。 考えるのを放棄した者も多くいる。もはや壊滅を待つしかない。 数分経っただろうか、突然沈黙を切り裂くように一同に向けて 声が放たれた。 「要は、“師“が必要なんだろう?」 「誰だ!?どこにいる!?」 声だけが響く。辺りを見回すも、姿は見えない。 天からの声かのような何かに話しかけられている。 「行き詰まっているようだな。」 背後から声が聞こえる。さっき見たはずの背後からだ。 全員が素早く振り返るとそこには赤黒い髪の男が立っていた。 吸い込まれるような蒼い瞳孔と目が合う。 「誰だ!?お前は!?」 「まあ安心しろ。襲いにきたわけではない。」 「だから、名を聞いているんだっての!!」 質問を避けているのか、それともただの阿保なのか。 どちらにせよ、異質な存在だった。 とても穏やかな表情をする。全くの敵意を感じない。 「名前はともかく。俺は周りから“師範“と呼ばれている。まあなんと呼んでもらっても構わない。」 「師範…?」 呼び名が役職名のようで少し動揺する。 師範は、質問を投げかけようとしている者を 遮るように声を上げた。 「まあお前ら、はっきり言うとマジで詰んでる。」 わかっていた事実を突きつけられた。 一同はムッとする。わざわざ言うことないだろうに。 しかし数名はある違和感に気づいた。 「おま、なんで知ってるんだよ!?それ!」 「そこは大した問題じゃない。 まあ最後まで聞いてくれ」 適当にあしらわれた感じがして少し怒りが湧く。 しかし、今そんなことを言っている場合ではない。 一同は困惑と疑問を抱きつつも、 話を聞くべく静かになった。 師範と名乗るものは、一呼吸おいて話し始める。 「俺は、過去に何度か絶望の淵に立った者を 助けてきた。それが誰だろうと、後に何になろうとな。 だが今回のお前らはこのまま行けば本気で詰みだ。」 「そんなにはっきり言わなくてもいいじゃないですか…」 「師範と言ったか。それで、俺らを助けるんだろうが、 今の状況で協力なんてしたらむしろ逆効果だろ。」 takaが鋭い考察を入れる。 師範というほどなのだから実力は高いだろう。 「確かにな。だから俺らはあくまで “この場での手助け“のみする。 お前らと一緒に行動するわけではない。」 慣れているような言動で続ける。 表情は穏やかな笑顔で、心を落ち着かせるような雰囲気を感じた。 人々の警戒が薄れていく。 一方ロベシーはというと好奇心丸出しで見つめていた。 その曇りなき眼で。 「あなた一体何ですか? そこまで強そうには見えないですけど」 ロベシーが師範に向かって喋る。 とても挑発的だが師範は動じる気配はない。 「…随分挑戦的だな。」 「そもそも“教える“ならロベシーにもできます。 あなたの力を借りる必要もないと思いますが?」 「なんだ?俺を随分と下に見るじゃないか。 うむ…なら」 師範が何か思いついたように声を上げる 「君が俺を強いと認めてくれるまで、手合わせをしようじゃないか。但し、殺しはナシだ。納得の為だしな。」 「わかりました。遠慮はしませんよ?」 「死なない自信は、それなりにあるつもりだ。」
長い故に二分割。 上を読み終わってから行ってちょ そういった途端、ロベシーは一瞬で間を詰める。 それが瞬間移動だということは即座にわかった。 消えたのだから。 黒い傘が吸い付けられるように師範の胴体へ 入り込む。だが師範は動かない。 その瞬間、地面が数十m割れた。一瞬だった。 轟音が鳴り響き、粉々となった地の破片が宙を舞う。 とても手合わせとは思えない威力だ。 「(!?)」 ロベシーは困惑した様子で師範を見つめる。 攻撃が当たったと確信できる状況だった。 見ている誰もがそう感じていた。 だがその攻撃は地面が負っている。 とてもだが理解し難い。 だが少しすると両者とも笑みを浮かべた。 「意外と早いんですね…」 「それが売りなもんでな」 風圧が人々を襲う。 それは傘の攻撃によるものだけでなく 師範の必要最小限の動きによるものでもあった。 そして瞬きの間もなく、ロベシーは動き出す。 黒い傘が忙しなく動く。縦か横か、はたまた斜めに振り下ろしているのか。 それすら見極めることができない。 その瞬間、2人の動きが止まった。 師範の持つ茶色の木刀が ロベシーと空間の境界で止まっている。 その光景を十分に確認する暇もなく、 ロベシーは木刀を蹴り上げ 素早く一定距離をとった。 「本当に何者ですか?これだけの強さを持っていて、 あなたの噂を聞いたことは一度もないですが。」 「何か思うことがあるのかい?」 その会話の中でも音が追いつかない速度で 攻撃を繰り出す。 忙しなく動き、一瞬だけ止まる。その繰り返しだった。 師範は数千とも呼べる打撃を効率よく回避し、 あってないような隙を突く。しかしそれも掠る程度で、致命的にはならない。 「これだと消耗戦ですね。」 「ずっと続けても俺は問題ないが」 「いえ、方法を変えてみます。」 そう言った途端、ロベシーは手を振り上げて無数の矢印を出現させた。 文字通り、矢印だった。黒と白。 それぞれが帯のようだった。 それに見惚れる間もなく、 師範に向かって全てが全方向から襲いかかる。 数十発、いや百は超えているだろう矢印のほぼ全てを 同じように避けるが最終弾のみ腕にかすってしまった。 「!!」 その途端、師範はあまりに遠い距離を突き飛ばされた。 しかし、リカバリーを取るかのように 同じ場所へ一瞬で戻る。 単なる脚力だけで数十kmもの距離を飛ぶ。 「相変わらず強力な能力だな…」 師範は能力に関心しつつも、反撃の機会を伺っている。 矢印は先程よりも数を増して待機している。 ロベシーは自分のレベルの相手に出会えたことに対する興奮を抑えきれていない。笑みが溢れている。 さらに無数に矢印を放つ。さらに多くそして速かった。 師範は全て回避しているが、矢印が一瞬で師範の周りを取り囲んだ。 「誘導したか…器用だな」 その矢印は対角線上に引き合うような向きで 設置されており、 先程の威力を考慮しても明らかに命を奪うものだ。 しかし師範は動じもせず、喚きもしなかった。 取り囲む矢印の全てが師範を目掛けて飛ぶ。 風の通る隙間すらない。あまりにも密度が高すぎる。 矢印が師範の服、髪、包帯。全ての部位に当たる。 その時、師範はただフウッと一息つくと 素早く身をかがめた。その瞬間だった。 『道』 鳴り響くその轟音は、鋼鉄が破裂したかのようで ふと見れば襲いかかった矢印は 全て粉々に砕け散っていた。 「!!!」 その目を疑う光景にロベシーも驚愕している。 矢印の破片が光に当たり、煌いている。 スローモーションで見ているかのような幻想的な風景を 切り裂くかのように、師範は、一瞬で間合いを詰め木刀を振り下ろす。 風圧で破片が吹き飛ぶ。そしてそれはまるで演奏するかのように地面に落ちた。 ロベシーは咄嗟に傘で受け、こう着状態に陥る。 だが傘はゆっくりと押され続けられ、 少し押し負けている。 敵わないとわかると矢印を出現させ、師範に飛ばし 回避している間に距離を取った。 その時、手合わせの終了を伝えるように 師範が手を前に出す。 木刀を地面に静かに置き、戦闘の意思は既にないかのように振る舞った。 「ロベシー。このまま続ければ場が持たない。終わりにしよう。」 「もう終わりですか? ここからが本番なんですが…」 「これは殺し合いじゃない。それとも後で、個人的にやると?」 冗談混じりに師範が喋る。 「別にいいです。十分楽しかったですし、ロベシーと同じくらいの強さを 持ってることはわかりましたから。」 「随分俺も鈍ったもんだ。次に戦う時は殺し合いだな。ハッハッハ!」 一同は終始、高度すぎる戦いを見て驚愕を通り越して恐怖すら感じていた。 これから先はあのレベルに勝たないといけない。 生身の人間が太陽で十年生きろというようなものだ。 あまりに人間離れしすぎている。 「君たち。今は高すぎる壁を見て絶望しているだろう。 だが、小さい階段を登っていけば確実にここへ辿り着く。 近道しようなど思うな。」 この戦いで裏を書けば強さに信用が持てたということもある。 一度この師範という人物を信用する他の方法はない。 「師範。改めて手助けを頼みたい。基礎部分でもいい。」 「俺はその為にここへ来た。喜んで教えよう。だが妥協はしない。 必死で突いてくるように!」 混沌一同はこの師範という人物に教えを乞う選択を取る。 師範が何者なのかは一切わからない。 だが、窮地に追い込まれた今、死に物狂いで突いていくしかないのだ。 「ねえ師範。一つ聞きたいことがある。」 ロベシーが一人で師範に向かって喋る。 師範は静かに振り向く。 「なぜ私の名前を知っているの。なぜ私の能力を知っていたの。 あなたは…一体世界の何を知っているの!?」 師範は少し考えて先程までの笑みを消し、言い放った。 「世界の過去も未来も。その時が来るまでわからない。 だが、俺はそれを記憶として知っているだけだ。」