最近テニスのし過ぎで手に豆ができたディエスケッドです。ネタがめっちゃでてくるのでとりあえず全部ネタを出し切りたい。 みんなに言うけど俺は伏線とか小ネタ大好きです 注意書き ・サムネは https://photo-room.net/667/ からやで
<同じ屋根の下で> 山奥の広大な屋敷。 私は東錬に一人。西錬には一人、”あいつ”が住んでいた。 それがこの世界の全てだ。と教われてきた。 私は一人、農業を。 あいつは一人、家畜を育ててた。 季節はわからない。日の光もわからない。ただ、確実に野菜たちは育っていった。 私は絶対に西錬に行ったことがなかった。というか、行けなかった。本能がそう言っているのだ。 なにか、見えない線で遮られているかのようだった。 そんな私とあいつは会ったことがない。 しかし、私とあいつはお互い育てた食べ物を交換し合っている。 交換場所は東錬と西錬をつなぐ中央の広場だ。 大きく、剣を掲げた騎士の銅像が立っている。 何日の月日が経っているかはわからないがその銅像は錆びることなかった。 私が野菜を置いて少し経つと、野菜はなく、肉や卵、牛乳がそこにはおいてあった。私とあいつの接点はそれだけだ。 では私はどうやってあいつと交流していると思う? それは、通信だ。毎晩、同じ時間に通話を開くとぴったり返答が来る。 「今日は豊作だ。キャベツときゅうりを置いておく。」 『そうか。こっちは牛が一頭。頭はいるか?足の部分を渡す。』 「頭は結構だ。ありがとう。」 毎晩、数ラリーで会話は終わる。 しかし、この通話がないとお互いに困ってしまう。お互いの顔はわからない。だが、心は通じ合っている...はずだ。 ある日、私はいつものように野菜を置きに来た。だが、今日は珍しく肉が先に置いてあった。まぁそんな日もあるのだろう。何とも思わなかった。 私はそのまま帰宅し、しばし休息をとってからいつもの時間が来るまで待っていた。 「もうそろそろだな。」 私は椅子に深く座り、通話を広げた。しかし、あいつはこなかった。逆に今までのがおかしかったのだ。開いたら、すぐくる。もはやそっちの方が怖い。 私はぼんやり待っていた。 『聞████████ま████████次█████す█████』 「...おい...?聞こえるか...?大丈夫か?何があった?」 『ぶっ██て██次は████』 ノイズがひどい。通信状況が悪いのかなぁ。ま、そんなときもあるか。つなげて入ればいつか聞こえるようになるだろう。 ...が、寝てしまった。 ま、そんなときもあるだろう。一日くらい連絡しなくたって野菜を置けば肉はくる。 さ、野菜を置きに行こう。 今日は俺が先だな。 今日の中身はレタス、ナス、大豆だ。豪華だろう。 私はおいてすぐ帰った。いつまで待っても会うことはないし、時間の無駄だからね。 何時間くらいたったかないつも以上に待ったのに、肉は来なかった。まぁ、そんなときもあるだろう。 今夜。私はいつもの時間に通話を広げた。 『██早███明███前だ█ら██待██████』 「おーい。聞こえる?」 『聞█え███████何██████駄███』 今日もか...いったいあいつの身になにがあったというのだ。 明日...確認してみるか... 翌日。私はいつものように野菜を置きに来た。 「昨日の分の肉は...ないな...」 私はいつもの場所に置いて、考えた。 この東錬と西錬をつなぐ唯一の境界線を渡り、禁句を犯してまであいつの安否を確認するか、まだ、待って帰ってくるのを待つか。 こんなでけえ屋敷で毎日見あきた景色を見るのは結構だ。 禁句?そんなものはしらない。 俺は西錬に足を踏み入れた。 どうやら左右対称だったようで構造は俺の住む東錬となんらかわりなかった。 西錬の廊下は恐ろしいほどきれいだった。まるで今さっき誰かが掃除したかのようだ。 東錬でいう俺の部屋を開けてみると俺の部屋の家具ではあったが、構図は全く違った。机の上には俺が昨日置いておいた野菜と食べかけの肉が置いてあった。引き出しを開けてみるとそこには一冊の本があった。これは俺の部屋にもあったな。本棚にあったのに白紙だったからどこかに放っておいたんだっけ。中を見ると、どうやら日記のようだった。 そこには、私の記録がびっしりと書かれていた。 『今日、東棟の照明が三分遅れて消灯』 『歩幅推定、平均六十五センチ』 『畑作業時間、昨日より十二分長い』 ページをめくるたび、観察は執着へ変わっていく。 『彼は今日も生きている』 『安心した』 『失いたくない』 文字が乱れ始める。 『もしルールを破ったらどうなる?』 『次も同じ彼が来るのだろうか』 息が詰まった。 私は逃げ出した。 中央広場へ戻った瞬間、私は動けなくなった。 騎士の銅像、 掲げられた剣、 その先にーー どこか見慣れた顔の人が刺さっていた。 俺だった。 頭が理解を拒む。 視界が揺れる。 そのとき、通信端末が音を立て、光った。 『ルールを破ったね。』 呼吸が止まる。 『だから、新しい私を用意したよ。』 手から端末が滑り落ちた。 台座の上には、明日交換するはずだった荷物が、いつも通り静かに置かれている。 まるで何事もなかったかのように。 騎士は剣を掲げ続けている。 次の誰かを待つように。