この小説も結構面白くなってきたのではないでしょうか。物語は、今回が「ココ」だとすると、 冒頭____ココ_______________完結 って感じです。なのでまだまだ楽しみにしていただけると幸いです。本文はメモとクレジットに書いてあります。まだこれまでの章を読んでいない方は下のURLから振り返って読むことをお勧めします。画像はai生成です 予告編:https://scratch.mit.edu/projects/1281553105 第一章:https://scratch.mit.edu/projects/1281534264 第二章:https://scratch.mit.edu/projects/1282724031 第三章:このプロジェクト 第四章:https://scratch.mit.edu/projects/1283902395 第五章:https://scratch.mit.edu/projects/1284730669 完結編:https://scratch.mit.edu/projects/1284731173 この小説は、_DiusKeD_さんの作っていた小説を読み、作りたくなり作った小説です。_DiusKeD_さんに感謝します。
第三章 明日のノック 何者かに折られたアンテナを原因に、爆発してしまった超高周電波発生装置の修復に成功した航。念の為、もう一度起動させる前に、他の設備を整えてからにしようと決めた後、何をしようかと迷っていると、小屋の中にある制御センターにある、各超高周電波発生装置緊急警報が突如一斉に悲鳴を上げた。それとともに、通信エラーも発生し、全機、大規模な爆発を起こした。機械は跡形もなく燃焼し、全てを失った。残ったのは、この小屋と、絶望だけだった。幸い、村人は、山の上まで水を汲みにいっていた途中だった為、何かされることはなかった。夜になり、航は打ちのめされるような気持ちのまま、眠ったのだった。その夜、航は、小屋のドアをガンガン叩く音で目が覚めた。不審に思った航は、「誰ですか。」と言ったが、返事はなかった。航は怖くなったが、恐る恐る小屋の外にある監視カメラの映像を見た。すると、小屋の外に立っていたのは、全身、真っ黒い服の男が立っていた。フードを深く被っていて、顔はあまり見えなかった。航は無視してそのまま寝ようとしたが、ドアをガンガン叩く音は鳴り止まない。それから20分ほどたっただろうか。ドアを叩く音は、急に鳴り止み、静かな夜が訪れた。航はそのまま眠りについたのだった。 そんな地獄のような夜が明け、朝が訪れた。航は、朝早くに目覚めた。夜が騒がしかったせいであまり眠れなかったのだろう。そんな朝でも航は、新しい発明のアイデアを思いついていた。それは、「記憶倉庫」。村中の記憶などを収集し、整理して、廃棄したり、売買したりできる施設だ。航の今の技術力だけで開発可能な設計になっていた。しかし、そこで恐怖は訪れた。航が小屋のドアを開けると、置き手紙が落ちていた。読んで見ると、「記憶倉庫を開発してはいけない。開発すれば、必ず、後悔が残るだろう。」そう書いてあった。航は怖くなった。まだ誰にも言っていない、なんなら紙にも書いていないアイデアを知っている誰かが、開発はやめた方がいいと指摘するのだ。でも、自分のアイデアを無駄にしたくない航は、開発を始めることを決行した。まず、村中のゴミ置き場や、採掘場で集めてきた資源を、「マテリアル・リクリエイター」という、航がこの間開発した、物質を再構成し、新たな材料にする機械だった。その機械と自分の知識を使って、記憶倉庫の開発を始めた。記憶倉庫は、航の小屋の裏にある大きな山に洞穴を掘り、大きな部屋を作る。次に、天井にまで届く大きな棚を何列も何列も大量に設置。最後に、航はある機械を作った。こうして、記憶倉庫は完成した。 航は、うまく記憶を貯蔵できるかを確かめるため、実際に使ってみた。まず、記憶倉庫に入り、大きな機械の前へと向かう。巨大な部屋の隅に鎮座したのは、理科室のフラスコと、廃車から剥ぎ取った基盤を無理やり繋ぎ合わせたような異様な機械だった。中心には、カチカチと不規則な音を立てる真空管。その先から伸びる細い銀のパイプが、一つの空っぽなガラス球へと繋がっている。この機械は、「メモリー・ディスティラー」と呼ばれる、記憶をサッカーボールくらいの大きさのガラス球へと収め、棚に陳列させる機械だ。航が、うまく動くか確かめるため、航自作のヘッドセットを被り、特定の思い出を強く念じた。すると機械が低い唸りを上げた。パイプの中を、オーロラのような七色の煙が通り抜ける。やがて、冷たいはずのガラス球の内側が、ぼうっと温かな琥珀色の光で満たされた。 それは、航が幼い頃に食べた、甘すぎる林檎飴の味の記憶だった。気体だった思い出が、ガラスの中で一粒の雫のように固まり、カラコロと乾いた音を立てて転がった。その後、透明な筒に吸い込まれ、棚に陳列された。 これでテストは完了だ。記憶倉庫を出ようとした時、ふと、航は倉庫の隅に、自分が作った覚えのないガラス球が落ちているのに気づいた。 拾い上げると、それはどす黒く濁り、ヒビが入っている。触れた瞬間、脳裏に響いたのは、聞き覚えのある、けれど自分よりずっと大人びた男の、むせび泣くような声だった。 『……すまない、忘れたくなかったんだ』 航が驚いて手を離すと、その黒い球体は床で砕け、跡形もなく消えてしまった。 次の日、航は記憶倉庫の活動を本格的に開始するため、設備を整え、自作のレバーを引いた。すると機械は腹の底に響くような重低音を鳴らし始めた。銀色のパイプを通って、村人の脳から吸い出された『経験』が、無色のガスとなってたくさんのガラス球に仕分けられた。 やがて、村人の経験が詰まったたくさんの球体は、内側から眩いほどの白光を放ち始めた。 重い。 両手で抱え上げると、ガラス越しに誰かの人生の重みが伝わってくるようだ。球体の中では、村人がかつて見た夕焼けや、誰かを愛した時の鼓動が、オーロラのように渦巻いている。やがて、たくさんのガラス球は、透明な筒を通って、巨大な棚へと陳列した。 あるボールは黄金色に輝き、村の平和な午後の記憶を封じ込めている。 またあるボールは、底の方にドロリとした黒い滓(かす)が溜まっている。それは、村人が捨て去りたかった憎しみや、航の小屋を壊した時の罪悪感だ。 夜、電気を消した小屋の中で、これらの球体だけが呼吸するように明滅している。それはまるで、村人たちの魂を標本にして並べているかのようだった。