命に嫌われている。#2-酸素濃度6%まで- -斯水秀爾 視点- 『「窒息の6%」……です』 冷徹な桃神の声がした後、さっきの肉片と血溜まりが黒く塗り潰され、細かい灰のようになって空気に消える。 ザザッ、と暗い部屋がバグのように歪み、眩しい、眩しい光が降り注いだ。 眩しさに目がくらんで視界が真っ黒に染まり、次に視界が戻ったときには、真っ白い研究室のようなところにいた。 「それでは、『窒息の6%』のルールを説明します」 また、ひらひらと舞う、一枚の紙が落ちてくる。 ------------------------- -第1ゲーム 窒息の6%- ・参加者31人より少ない20個の酸素マスクが置かれた部屋で行われる。 ・部屋の酸素が徐々に抜かれる中で酸素マスクを奪い合う。 ・最初の酸素濃度は21%、1分で酸素濃度が1%ずつ減ってゆき、酸素濃度が6%になった時点で酸素マスクを付けていなかった人が『脱落』となる。 ・酸素マスクを誰が付けるかは参加者の判断で決める。早い物勝ちでも、話し合いでも、殺し合いで決めても良い。 ・一度酸素マスクを手に入れても、酸素マスクを外すことや無理矢理外させることが可能である。 ・酸素マスクは増やせない。 ・このゲームの生還人数は20人とは限らない。 ------------------------- 読み終えた瞬間、天井がパカっと開き、酸素マスクが天井からぶら下がる形で落ちてくる。 そして、ヴゥン……と、機械が唸るような音がして、大きめのタイマーが表示された。 『酸素濃度 21% 20%まで 1:00』 タイマーには、そう書かれてあった。 ……窒息の6%。 酸素濃度が6%になるまで、酸素マスクを奪い合うという、単純なルール。 このルールで、どれだけの争いが起こるのか。 「皆さん、ルールは確認しましたね?」 桃神の声が、冷徹に、響く。 「それでは……第一ゲーム、STARTです」 やけに発音の良い、滑らかな、「スタート」の音が聞こえた。 -終野宵 視点- ゲームが始まった途端、参加者の半数ほどが酸素マスクに向かって走り出した。 ぶつかって、奪い合って、殴り合って、争って。 生き残るために、必死で、必死で。 「離せッ‼︎‼︎」「やめてよ‼︎‼︎」「ぎゃあっ‼︎‼︎」「痛あっ⁈」「私の酸素マスク‼︎‼︎」「やめて押さないで‼︎‼︎」「生き残るのは俺だ‼︎‼︎」 喧騒が、聞こえる。 ルールを読んだ時点で、予想はしていた。 このゲームは、奪い合いのゲーム。椅子取りゲームのようなものだ。 他の命など、関係ない。生き残りたいあまりに、醜く、醜く、奪い合う。 ……醜いのは、俺の方であるのかもしれないが。 何故、俺は、このゲームに参加させられたのか。 …その答えは、すぐに分かる。 ……ああ、そうだ。 醜いのは、俺の方。 死ぬべきなのは、俺の方。 争い合っている人たちは、生きたいだけ、幸せを掴みたいだけだ。 そうやって、ただ棒立ちして、喧騒を眺めていた時。 「……静かに」 小さく、でもはっきりとした、よく通る声が響いた。 声の主は、紫色の髪の、三つ編みの女の子だった。 三つ編みの女の子は、無表情で、淡々と話す。 「……争わないで。話し合って。……誰が生きて、誰が、死ぬのか」 争っていた声が、ぴたりと止まり、全員の動きが、止まった。 「そうですわ。話し合ったほうが良いんじゃないかしら?」 濃い桃色の髪のアイドルのような女の子が、ゆったりと話す。 「争っても、意味なんてないですわよ」 声を発しなくなった全ての人が、生気を取り戻したかのように、話し始めた。 その声は、先程よりも、冷静な声になっていた。 -サファイア・セフバー 視点- 真っ白い研究室の中が、話し合う声で満たされる。 さっきまで、争い合っていたというのに。 結局、自分が得するように動いているだけなのだ。 生き残るために争って。 生き残るために、話し合う。 人間というものは、『生き残る確率が高い方』に動くもの。 …みっともない、ものだ。 ……おっと、危ない。 上品なお嬢様を演じる、ということを忘れかけていた。 慌てて、笑顔を作り直す。 隣に、群青色の肌の、鎌のようなものを持った人が居る。 …話しかけてみるか。 「こんにちは〜」 ……と、偽りの、満面の笑みを浮かべて、言った。 すると、 「誰やねんぽまえ……」 群青色の肌の人は、顔を顰めて、そう言った。 ……なんと無礼な。 礼儀がなっていない。 初対面に「ぽまえ」とは、度胸もいいものだ。 「初対面にその態度は、失礼だと思うのですが……」 「いや初対面にすごい笑顔で話しかけられたら怖いんだが」 ……この人には、私の笑顔が通じないらしい。 思わず、笑顔が解けそうになった。 駄目だ。 駄目なんだ。 笑顔を解いてはいけない。 ……殺して、しまう。 「……貴方、名前は?」 「初対面の人に名を名乗るほど無防備じゃないんで」 そう言って、さっさと立ち去ろうとする。 ……ここまで心を開かない人は、初めてだ。 ……面白い。 ただの人間とは、違う。 「いやいや名乗ってもらえませんかね…?これデスゲームですよ、初対面とか無防備とか関係ないんですよっ。」 「それなら先に、」 「名前、教えてくださいよ」 思いもよらなかった言葉に、少し、反応が遅れた。 数秒遅れてその言葉を理解した後、呟く。 「……サファイア・セフバー」 「サファイア……、か」 「俺の名前は、」 「廻雷消斗……だ」 廻雷が持つ鎌が、一瞬、鈍く、光を放ったように見えた。 そして廻雷は、部屋の真ん中……皆が、話し合っている中へ、紛れ込んでいった。 命に嫌われている。酸素濃度6%まで- Fin.
-クレジット- 斯水秀爾 @aisuTARO様 三団子桃神 @31_sansyokudango1_ 終野宵 @rukunya様 ヨルノ @rimu_animesouko様 (↑紫髪三つ編みちゃん) 西来来海 @Milne0513様 (↑濃い桃色髪アイドル) サファイア・セフバー @31_sansyokudango1_ 廻雷消斗 @konpq2様 音楽『命に嫌われている』 @hamatojunpyhappy様 -前回- https://scratch.mit.edu/projects/1251387160 -次回- https://scratch.mit.edu/projects/1251135373 -初回- https://scratch.mit.edu/projects/1251395393 -公式スタジオ- https://scratch.mit.edu/studios/51373145/ -キャラ専用スタジオ- https://scratch.mit.edu/studios/51383841/ -一言- モチベはある。時間とサムネが作れる機器がない。 …はいごめんなさいさんいちです。 いのきら2話でございます。 内容適当すぎんだろ展開早いな。我に文才はなかった。 サファイアが暴走してるだけやんなんやねんこの回。(意味不) …まあ頑張りましたよ私は。(説得力皆無。) …とりあえず。 …ファンア。ください。(迫真) -ファンアートタグ- #命に嫌われた芸術作品 -考察タグ- #命に嫌われた解析表