リミックス禁止、自作発言禁止 第33話「カルディナ大地」 門をくぐり、数分歩くと足元の草花は消え、灰色の大地になっていた。 振り返ると、王都からの道がグラデーションのように変わっていっているのが分かる。 緑は徐々に薄れ、やがて完全な灰へと溶け込んでいた。 まるで、世界が塗り替えられていくかのように。 歩くたび、足跡はくっきりと残る。 だが舞い上がった灰は、空中で霧のようにほどけ、溶けるように消えていく。 夢が低く呟いた。 「…風はあるのに、音がしねぇ。」 確かに、耳が妙に軽い。 風は吹いている。 だがその音が、どこか遠い。 KKが足元の灰をすくい上げる。 指の隙間から零れ落ちるそれは、冷たい。 「…生きた土じゃない」 ケイは空を見上げる。 薄く濁った空の向こうに、黒い影が浮かんでいた。 魔王城 王都から見たときよりも、近く感じる。 距離が縮んだわけではない。 だが、圧がある。 ここは、魔王に最も近い地。 それだけではない。 何かが、ここで終わっている。 あるいは。 何かが、ここで待っている。 しばらく歩いていると、とびねこが足を止めた。 「ここだけ足元の感触が違う...」 灰の下に何か硬いものがある。 夢が膝をつき、灰を払う。 現れたのは大きな石の一部だった。 それはただの石ではなく、綺麗に磨かれ、文字が刻まれた人工的に作られた石だった。 KK「これはいったい...」 周囲を見渡すと同じように磨かれた石柱が灰をかぶって等間隔に立っている。 夢「いったん灰をどかしてみるか...ネオ、手伝ってくれ」 ネオ「はい...!」 二人は杖を構え魔力を集中させる。 そして、ファイアーショットを二人で放ち、衝撃波を出した。 灰は衝撃で舞い、空に消えた。 灰に埋もれていたのは、巨大な円陣の一部だった。 いくつもの円形の石が複雑に重なり、鎖のように絡み合っている。 ケイ「なんだ、この模様...」 石の表面には文字のような模様が描かれている。 ネオ「古い文字みたいです。でもあの王様に見せてもらった古代エルフ語ともなんか違う気がします...」 ふと何かを思い出したかのように夢が声を上げる。 夢「ああ、どこかで見たことがあると思ったら、魔法学校で習った封印魔法の魔法陣の構造に似てるんだ」 ネオ「封印魔法...?」 みんなが夢のほうを見る。 夢「そうか、ネオは魔法学校に行ってないのか…えっとな...」 そう言うと夢は杖で灰の上に円を描き始めた。 円の外周、内周、そして三点を示す印。 夢「封印魔法の基本構造はドーナツ型の魔法陣で、外周と内周で魔力を循環させる。そこに等間隔で三人の術者が立つ。」 杖で外周に三つの点を等間隔に打つ。 夢「そして中心にいる対象に魔力を集中させて、封印を行う。昔からある古典的な封印術だ。」 ケイ「なるほどな、つまりこの巨大な円形の石と円柱は封印魔法を行うための魔法陣に似ているのか...」 夢「その通りだ。でもな....」 ため息をつくように口を開いた。 夢「これが本当に魔方陣だったとしたらデカすぎる。あまりにも規模が違う。」 周囲の石柱を一つずつ指さし、夢は数を数えた。 夢「確認できるだけでも、円周上に石柱が二十本近くある。」 灰の奥にも、まだ埋もれている影が見える。 夢「この石柱が術者の立つ位置だと仮定すると…」 一瞬、言葉を止める。 夢「封印の出力は、通常の比じゃない。」 KK「いったい何のためだ…」 ケイ「こんなものを作って、何を封印しようとしてたんだ…」 誰も軽口を叩かない。 その規模が、冗談を許さない。 夢はゆっくりと円陣を見渡した。 夢「一つ、分かったことがある。」 とびねこ「…何?」 夢「これは、人間用じゃない。」 空気が少しだけ張りつめる。 とびねこ「人間用じゃない…?」 夢「仮に、最高峰の魔法使いが二十人揃ったとしてもこの規模は制御できない。」 杖の先で、外周の鎖状の紋様をなぞる。 夢「魔力量が足りない。それ以前に耐えきれない。」 ケイがゆっくり口を開く。 「じゃあ、これは…」 夢は短く答えた。 「おそらくエルフの術式だ。」 灰の向こう、東の森の方向へ視線を向ける。 夢「もともとの魔力量が人間とは桁違いだって有名だろ?だから理屈に合う。」 風が吹く。 灰が流れ、石柱の影をわずかに露わにする。 ケイの胸がざわつく。 思い出したのはエルフの伝承。 『世界が闇に落ちた時、一つの光が現れる。』 もし...この封印が、その闇だったとしたら。 魔王ゼルフィアスとは、別の。 もっと古い何か。 円の中心から、ひやりとした空気が漂う。 まだ、名も知らぬ存在。 だが確かに。 ここには世界規模の封印があった。 ケイ「とりあえず知るには進むしかない...向かうぞ...エルフの森に...」 KK「おう...」 この大きな謎は彼らの足取りを進めたのであった。 ーーーーーーーーー第33話終わりーーーーーーーーー
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