水菜譚 兎章-中- |||||||||||||||||||||||||||||| クラブ内。思ったよりSPがいた。 返り血塗れなので有無を言わさず攻撃をしてくる。 こちらの当初の目的は潜入だったので 脇差と針以外を持ってきていなかった。 だがSPから銃や警棒を奪ってきたので装備は潤沢。 こちらに向けて撃たれた銃。 全てを流す。それで終わらせない。 銃弾の勢いを殺さずに、流した。 僕に向けて撃たれた銃弾は、 撃った当人とはまた別のSPに当たる。 相手からしたら蜂の巣になるはずの対象が、 無傷で立っている。 そればかりか周りのSPに銃弾が当たっている。 ある種のマジック。奇怪なことこの上ない。 クラブ内はパニックの嵐。 その中に殺害対象を見つめる。 「見っけた!」 邪魔なSPを撃ちながら、 殺害対象目掛けて一直線に進む。 横にいる二人のSPが邪魔だったので回収した 脇差と針を飛ばしておく。 クリーンヒット。流石自分。急な自画自賛。 「なっ!?なんだよあいつ!?早く殺せ!」 殺害対象が喚いている。 横にいるSPが既に故人なことに気付いていない。 「なにしてる!早く...ぁ...」 倒れこんだSPを見てようやく気付いたようだ。 ついさっきも似たような光景を見た。 「その反応は一日一回でいいかな~。」 「ひっ...!」 目の前に立つ子供を見て分かりやすく怯える。 ひっ...!って怯える奴は初めて見た。 「たっ...頼む!!殺さないで!!」 失禁している。見てるこっちが恥ずかしい。 僕よりちょっと上くらいの年齢だろう。 修羅場を経験したことがないのか。 親の顔が見てみたい。 ちなみにSPは動けていない。 誤射の危険もあるし、僕は右手に銃を持っている ので、人質となっている状態なのだ。 「携帯。」 「は...??」 「携帯電話出して。あっ、スマホね。」 「分かった...!!分かったから殺さないでくれ...!!」 「はいはい。分かったから早く携帯出して。」 「は、はい...!!」 殺害対象が後ろのポケットに手を回す。 馬鹿かこいつ。 右ポケットからスマホはみ出てるんだぞ。 絶対武器を取り出すぞこいつ。 「うっ...動くなっ!」 予測的中。勢いよくこちらへ銃口を向けてきた。 そして、銃を向けたことで 更にこいつの馬鹿さ加減が露呈する。 「安全装置外れてないよ?それ。」 初心者すぎるミスである。 外れててもこいつじゃ撃てないだろうが。 「ぁ...。」 自分の死を悟ったように喉を鳴らしている。 「もういいや。スマホ借りるね。」 動けない殺害対象を無視してポケットから スマホを奪い取る。顔認証があったので 無理やりこちらを向かせた。 「ごめん。あの...どれが君のお父さん?」 スマホアプリを開いたのだが、 設定されてる名前が適当なのだ。 クソブスとか髪長女とか。 「小うるさいクソ野郎です...!!」 うん。何こいつ、父親をクソ野郎とは。 清々しいまでの愚図だ。 「はい、ありがと。あ、そうそう。」 一応逃げられないように足を撃つ。 「あ˝ぁ...!!ぐぅ...ぁ...」 痛みで気絶したようだ。逆に好都合。 「そこの君。車の鍵借して~。」 取り敢えず近くに居た女の車を借りることにした。 「は...はい...!!」 可哀想だが、タクシーで来たので仕方ない。 「ナンバー。」 「八王子ナンバーの08-98です...!!」 「ごめんね~?多分返すから。」 スマホをポケットに入れ、 殺害対象を引きずりながら外へ向かう。 勿論、人質(殺害対象)に銃は向けている。 「分かってるとは思うけど、動いたら 撃つからね?邪魔しないでよ?」 まぁ、誰も動ける訳はないが。 ||||||||||||||||||||||||||||||| 「ポチっとな。」 車に乗り運転している最中、 事前に設置されていた爆弾を起爆。 今日の昼、亜嶋にお願いして設置してもらった。 設置が終わった後電話で (こっそり入って設置して戻るの大変だったのよ? ご褒美くらいくれてもいいんじゃない?体で。) と言われたので無視して金を送っといた。 まさに大事件なのだが、そこは問題ない。 犯人は僕以外の人間になる。そういう仕組みだ。 今回、外にも大勢人が居て目撃者も多数。 クラブ前だから当たり前だ。 だとしても、目撃者は僕を証言できない。 そこの仕組みに関しては僕は分からない。 だが実際、僕は疑われたことすらない。 裏社会とは怖いものだ。 表社会のことを全て捻じ曲げれる。 都合のいい世界である。 それは関係ない。今は仕事。 三鷹裕司に電話をかける。 3コール程鳴った後、電話が鳴る。 「もしもし...。」 僕が出た後、SPの誰かは連絡するはずだ。 だからだろう。声に陰鬱さがある。 「あ、親父さん?既に聞いてると思うけど、 息子さん、僕のすぐ傍にいるんだよね。 意味わかるよね?」 「私は会社の社長室にいます。 SPはいません。罠もありません。 息子は無事でしょうか...。」 「うん。ちょっと気絶しちゃったけど。 お~い。起きて~。」 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「五月蠅い。聞いてのとおりだよ親父さん。 ピンピンしてる。」 「──────。分かりました。 私のところに来るまでの間、 電話をつなげていてもらえませんか。」 逆探知の危険もある。普通は切るべきだろう。 だが... 「いいよ~。ただし、変なことしないでね?」 「分かっています。社長室にてお待ちしております。」 息子が死んだと思われ、 あちらに逃げられても困る。 過去には一瞬の電話で逆探知され、 運転中に撃たれることもあったが───。 まあ、条件は聞いておいてやろう。 |||||||||||||||||||||||||||||| 「着いたよ~。迎え寄越して~。」 「...分かりました。」 運転中はずっと息子の方が喧しかったが その他の問題は無かった。 それから数分後。 血塗れの服に怯えた様子の男が来た。 SPではないようだ。所作で分かる。 「乗せたげて。」 「了解しました...。こちらですお客様...。」 銃を向けられているので従う他ない。 特に会話もなくエレベーターに乗る。 ちなみに息子は迎えが来た瞬間気絶させた。 電話自体は繋がったまま。 過去にはエレベーター丸ごと燃えたことも あったので警戒はしていたが、 エレベーター内でも異常はなかった。 高いビルなので何回かエレベーターの 乗り換えがあったが、 どのエレベーターにも異常はない。 何事もなくエレベーターについた。 社長室前。 「君はどっか行っといて。」 「了解しました...。では。」 肩の荷が下りたように去っていく。 「あ、他言無用だよ?」 「承知しております...!!」 声色を変えて脅しておいた。 他言無用と言われてできる奴は中々いないので いずれは死んでもらうことにはなるのだが。 迎えの男が去ったことを確認し、 社長室の扉を開けた。 ||||||||||||||||||||||||| 「お待ちしておりました。息子は...。」 車椅子に座っている息子の姿を見て 生きていることに安心したようだ。 「どうぞ~。回収していいよ。」 「ありがとうございます...。」 特に怪しい行動もせず、 車椅子を押していく。 ソファに息子を寝かせて、こちらを向いた。 「私のことを殺しに来たのでしょうか。」 「うん。そう。殺し屋。」 そのまま聞かれたのでそのまま答えた。 三鷹裕司。見た目は20半ばのイケメン。 温和で清涼なイメージの男。 髪はそこまで長くない。今はスーツを着ている。 「そうですか。でしたら構いません。 ただ、死ぬ前に頼みたいことがあります。」 「お?死ぬ前に依頼しとく?」 「いえ。私は構いません。ですから───」 「妻と息子に手を出すな、って?」 「はい。使用人の者達もです。」 「ごめん無理。」 「お願いします。 妻は容姿端麗で人に愛される性格なんです。 長男は今はこのザマですが、 頭もよく、優しい子でした。 次男は妻に似て人に好かれる。 私の自慢の家族なんです。 使用人達もよく尽くしてきてくれました。 そんな彼ら彼女らに死んでほしくありません 私の財産であればいくらでもお使いください。 ですから、私の大切な人達だけは... あの人達は殺さないでください...,,,。」 最初は風格があった。 だが途中からは泣いていた。 彼は自分の大切な人間を守ろうとしただけの人間。 泣きながら14相手に土下座までしている。 大した人格者だ。 「使用人はどうでもいいよ。 でも家族に関しては駄目だね。 殺せって言われてるし。」 「そこを何とか頼みます...!!どうか...。どうか...!!」 「いくつか質問させてもらうね。」 「はい...。なんでしょうか...。」 これまで自分の死に怯え命乞いをする 人間は何百人といた。 だが、他人の命乞いはなかなかいない。 [家族を殺さないでくれ]はあった。 聞いてやったことはないが。 だが使用人までと言ったことは初めて。 ちょっとだけ興味があった。 「その1。君は殺し屋の利用をしたことある?」 「ありません。」 真実。 「その2。何フェチ?」 「─────。足です。」 真実。 「その3。息子と妻とどんくらい会ってる?」 「月に一、二度ほどしか会えていません。」 真実。会いたいけど会えてない。 「その4。君は使用人と家族。 どちらかを迫られた時、どちらを取る?」 「──────────。選べません...。」 真実。 「はぁ...。その5。浮気したことは?」 「あります。中学時代に若気の至りで。」 真実。だが嘘。 多分女3人くらいに無理やりホテルに連れ込まれた。 「その6。墓参りは年約何回?」 「月参り日には必ず行っています。」 真実。 「その7。君だけ生かしたらどうする?」 「どんな手を使ってでもあなたを殺します。 あなたを殺せたら私も自害します。」 後半は真実。 「質問終わり。」 「家族のことは...。」 質問には特に意味はない。 思い浮かんだのを適当に言っただけ。 この男は嘘を吐けないし他人を害せない。 生かすつもりは毛頭ないが。 「殺害対象を見てから決める。 僕は気分屋だからさ?殺したかったら 殺すかも。」 「家族を殺さない可能性も あるということですね...。」 「まあそうだね。じゃあ、殺るね?」 「はい。覚悟は決まっています。」 三鷹裕司の首を刎ねる。 できるだけ痛みを感じないように。 それだけが僕にできる最大限だった。 「さて、どうしようかな?」 ソファに寝ている三鷹裕司の子供を見て、 そう呟いた。 続く。 matya_machaの一言 ドウモ!!マッチャデス!! どうせ見てないならやる必要ないかな。 それでもやるぜ!自己満足だ!!!! (兎章の序が何故か一番見られてて驚いてます。) 三鷹で「ん?」となった人いるでしょ。 そうだよ。出てくるよ。あの子が。 ついにメインヒロイン(真実。だが嘘。)のおでましだ! 私は中性的な人がタイプです!!(はぁ。) ショタコンではない。可愛い子が好きなんだ!(はぁ。) 亜嶋ちゃんはドタイプなんだ。主人公が羨ましい。 ここまでみたら「裕司さん素敵」ってコメしてね☆ てかここまで見てる人いないか。 まあ、この小説おもんないもんな。 コメント、☆,♡、拡散、宣伝等励みになります! 是非してください...。
兎章-序- https://scratch.mit.edu/projects/1283712450/ 幕間:師弟と女-序- https://scratch.mit.edu/projects/1279166950/ 己章-序-(一話的な) https://scratch.mit.edu/projects/1277548111/ 小話。 SPの実力は水菜君からしたらその辺の雑魚です。