リミックス禁止、自作発言禁止 第34話「森の結界」 円陣を後にし、ケイたちは東へ歩き続けた。 背後では、舞い上がった灰がゆっくりと地に戻り、 何事もなかったかのように大地を覆っていく。 振り返れば、王都に続く道はもう見えない。 あるのは、果てない灰色だけ。 ネオが小さく息を吐く。 「魔法陣、もっと調べなくてよかったんでしょうか...」 夢は歩きながら答える。 「強力な封印の跡だ、今は深入りしねぇほうがいい。」 足元の灰は相変わらず音を吸い込んでいる。 風は吹いているのに、風の音も、砂の擦れる音もない。 耳鳴りのような静寂が漂っている。 とびねこ「ここ、妙に息苦しいな...魔力が一定じゃない...地面に変な感覚がある...」 その言葉に、夢やネオも地面を静かに見つめる。 下に目には見えない何かが流れているような感覚。 潮の満ち引きのように、静かに揺れている気がした。 空気が暗くなる。 ケイは空を見上げた。 そこには魔王城があった。 黒い影は、相変わらず空に張り付いている。 だが先ほどよりも、輪郭がはっきりしている気がする。 距離は変わらないはずなのに、影は先ほどよりも近く感じた。 視線をそらし、前を見た。 東の地平線に、かすかな色が見えた。 灰の世界の果てに、淡い緑の光が見える。 「見えた...」 ケイが声を上げる。 灰の大地は徐々に色を変えていく。 灰の中に、細い草が混じり、地面の色が薄くなる。 やがて完全な灰と緑の境界が現れた。 まだ完全には見えないが、奥に森がある。 葉が揺れる音、鳥の羽ばたき、水の気配。 様々な自然の音が聞こえてくる。 境界線の先に、薄く光る膜があった。 半透明の結界だ。 その膜は、森の輪郭を覆うように、空へと弧を描いていた。 夢「すごいな...こんなバカでかい結界が張れるなんて...」 ケイ「でもこれじゃ、森に入れないな...」 KK「いや、どこかに入り口はあるだろ...」 ケイたちは森への入り口を探すため結界の周りを歩いた。 すると、少しだけ結界の色が濁っている部分を見つけた。 その場所へ進むほど、透明な膜にある紫色の染みは濃くなってゆく。 一番濃い部分に影があった。 とびねこ「誰か、いる...」 結界のゆがみの前に、ひとつの人影が立っていた。 長い黒髪、風に揺れるその影は結界を両手で触っていた。 ケイは恐るおそる声を上げた。 「そこのお前、何してる...」 風の音が止まった。 灰の大地と森の間の空気が静まり返る。 それと同時に影が、ゆっくりとこちらへ振り向いた。 結界の光が、かすかに揺らぐ。 金色の瞳がこちらを眺めている。 KK「お前は、何者だ...」 すると、影はにやりと笑った。 こちらに歩き、その姿を現した。 黒い髪が、風もないのに揺れた。 緑色のドレスのような服装。 ウロコのような模様が光を反射して光る。 金色の瞳が、順番にケイたちを見渡した。 「何者か、ですって?」 声は穏やかだった。 「礼儀がなってないわね...人に聞くときは自分から名乗るべきじゃないの...?」 ケイは一歩前に出る。 「俺はケイ...勇者だ」 彼女の瞳が、わずかに細まる。 「勇者...ケイ...」 その言葉を、舌の上で飴のように転がすように繰り返す。 彼女の顔から笑顔が消えた。 先ほどまで穏やかだった声が、わずかに低く沈む。 「あなたたちが...そうなのね...」 言葉は次第に強くなっていく。 まるで怒りを表すように。 金色の瞳が、鋭く光った。 「ブリュナ...氷壁のブリュナを倒したのは...」 その名が出た瞬間、ケイの眉はわずかに動く。 氷の城が崩れ落ちた瞬間が、脳裏によぎった。 だが黙って、彼女を見ていた。 彼女の指先が、かすかに震える。 「あの子はね...氷のようでいて、本当は誰よりも優しかった...」 結界の光が、また揺れる。 「また奪われた...」 彼女の声が、わずかに震えた。 「人間に...大切な存在を...」 周囲の空気がゆがむ。 緑のドレスのウロコ模様が、毒々しい紫へと変色していく。 彼女はゆっくりと両手を広げた。 下半身が蛇に変わってゆく。 「私は、暗黒七人衆の一人、毒蛇のメリュシア...」 本当の姿を現した彼女からは、静かな怒りと戦意があふれていた。 「勇者...今度は、あなたたちが失う番よ。」 森と灰の境界で、毒蛇の怒りが、美しく牙を剥いた。 ーーーーーーーーー第34話終わりーーーーーーーーー
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