国際自動車連盟(FIA)は、2026年シーズンの開幕を1週間後に控え、新たな「レインハザード」規定の導入を含む改訂版F1レギュレーションを世界モータースポーツ評議会(WMSC)で承認した。 この規定は、ドライバーの身体的保護を目的に2025年シーズンから導入された「ヒートハザード」に続く第二のハザード規定となる。ヒートハザードが高温下での身体的リスクに対応する規定であるのに対し、レインハザードは降雨によるリスクに備えるための仕組みといえる。 降水確率40%が分岐点、パルクフェルメ制限を一部緩和 新設されたB1条5項11号のレインハザード条項によると、スプリントまたは決勝レース中に降水確率が40%を超えるとF1公式気象サービスが予測した場合、あるいはレースディレクターの裁量により「レインハザード」が宣言されることがある。 予選開始以降、各チームのマシンはパルクフェルメ規定下に置かれ、セットアップ変更は厳しく制限される。だが、レインハザードが宣言された場合には特定の作業が認められる。 具体的な内容は非公開文書に記載されているため明らかではないが、サスペンションやダウンフォースレベルの調整が許可されるものと推測される。 なお、レインハザードはスプリント予選開始の2時間前まで、あるいは通常予選開始の2時間前までに宣言され、対象セッション(スプリントまたは決勝)終了まで効力を持つ。 極端な気象条件への対応強化、戦略にも影響 FIAは2025年、ドライバーへの冷却対策を強化すべく、気温と湿度を組み合わせた体感指数が31℃以上と予測される場合に、チームに対応を義務付ける制度「ヒートハザード」を導入した。今回のレインハザードも同様に、安全性の向上を目指すFIAの姿勢を明確にした改訂といえそうだ。 従来は、予選がドライコンディションで行われ、決勝で雨が降った場合でも大幅なセットアップ変更は認められなかった。だがレインハザード規定の新設により、チームは今後、より柔軟にクルマを調整できる可能性がある。 この変更は安全面だけでなく、各チームの戦略的判断にも影響を及ぼすことが予想される。例えば予選がドライで、決勝に向けて雨が予想される場合、従来はどちらの条件にマシンを最適化するか難しい決断を迫られたが、今後はそうした悩みから解放される可能性がある。 なお、ヒートハザード宣言時に、ドライバーに冷却用ベストの着用を義務付ける計画は撤回された。FIAは2026年から着用を義務化する可能性を示唆していたが、最終的に任意のままとする決定を下した。 ただし、ベストを装着しない場合にコックピットへの搭載が義務付けられるバラスト(重し)に関しては、決勝およびスプリントでは5kgのままであるものの、予選では2kgへと引き下げられた。