第一話:日常 ふぇりの視界は、いつも高い。 172.5cmという身長は同年代の少女たちを 見下ろすのに十分だったが、 隣を歩く二人の先輩の前では、 彼女はまるでおもちゃのように小さかった。 アステ「……ふぇり、これ」 無機質な電子音と共に、 目の前に赤い光が差し出される。 見上げれば、362cmの巨躯を持つアステが、 イチゴ飴を差し出していた。 彼の頭部である電子機器の画面には、 現在^◡^という簡素な顔文字が表示されている。 ふぇり「わあ、イチゴ飴!アステ先輩、ありがとう!」 ふぇりが飴を受け取ると、もう一方の頭上から、 さらに高い位置にある影が笑った。 スペース「ガキはこれさえ与えときゃ静かに なるからな。効率的だ」 378cm。宇宙の神、スペース。 眼球のない、お札の貼られた 不気味な顔を向けながら、 彼はぶっきらぼうにふぇりの頭を撫でた。 その手は大きく、彼女の頭を 丸ごと包み込んでしまいそうだ。 ふぇり「ボク、もう15歳だよ!ガキじゃないもん」 ふぇりは頬を膨らませ、 真っ赤なイチゴ飴を口に放り込む。 甘酸っぱい蜜の味が広がる。 この時間がずっと続けばいいと、 本気で思っていた。 たとえ、自分の背丈ほどもあるハサミを振り回して 解体を行うような、 血生臭い日常の片隅であっても。
▫︎URL 次回: https://scratch.mit.edu/projects/1288369636/ ▫︎クレジット ♫:あの子みたいに 執筆:刹那 絵:理沙 ▫︎タグ #originalcountryhumans #リンゴ飴の約束 #小説 #ふぇり #スペース #アステ