第二話:名前 【和葉の部屋】 中国から差し出された、古びた羊皮紙のような契約書。 私はペンを握ったまま、手が止まる。 私(名前……名前……?) 私「……私の、名前……なんだっけ……」 記憶に霧がかかったような、妙な感覚。 私が困惑して呟くと、 中国が椅子から転げ落ちそうになりながら叫んだ。 中国「もしかして自分の名前を忘れたアルカ!? お前、大丈夫アルカ!?」 私「う、うん……。なんか、急に思い出せなくて……」 中国「まぁ、契約の儀式の前にはよくあることアル! 気にしなくてもいいアルネ!」 私(……よくあることなの? 怖すぎるんだけど……) 中国「よし! 決めたアル! 今日からお前の名前は和葉アル!」 和葉(おい、勝手に人の名前を決めるなよ……。名付け親気取りか……) 中国「ブツブツ愚痴らないで、早く書くヨロシ! 」 和葉(……あ、そうだ。こいつ、私の心読めるんだった……) 和葉は半信半疑のまま、言われるがままに和葉とサインを書いた。 和葉「ほい、書いた。これでいいんでしょ?」 中国「(書類をのぞき込んで)……ほう! 意外に字が綺麗アルネ!」 和葉(意外にって何だよ……) ――コン、コン、コン 控えめなノックの音が部屋に響く。 和葉の心臓が跳ね上がる。 母「あ★#%&ー? 入るわよー」 和葉(……え? 今、私の名前のところがノイズみたいに聞こえた……?) 和葉が混乱している間にも、ドアのノブが回る。 和葉(待って、今はマズい! こんな変な格好した中国が部屋にいたら、絶対怒られる……!) 母「宿題、もう終わったの?」 お母さんがひょいと顔を出す。しかし、その視線は和葉だけを捉え、すぐ横で堂々とふんぞり返っている中国を、まるで空気のように通り過ぎた。 和葉「え、あ……い、今から! 今からやるから!」 母「そう? 早く終わらせなさいよー。もうすぐご飯なんだから」 ガチャ。 何事もなかったかのようにドアが閉まる。 和葉「……。もしかして、お母さんには見えてないの?」 中国「やっと気付いたアルカ! 遅いアルネ!」 和葉「はぁ!? なんで……」 中国「我は、契約した者や特定の波長が合う者にしか見えないアルヨ! 幽霊とは格が違うアル!」 和葉(……えぇ、怖っ。何その特殊設定……) 和葉「……というか、逆に凄いな。本当に存在してるんだ……」 和葉が感心したように呟くと、中国は待ってましたと言わんばかりにドヤ顔を決めた。 中国「そうアルネ!!! 我は凄いアルヨ!!!! 天才! 完璧! カッコいいアル!!」 和葉(……。やっぱり、ただのナルシストだ……) 中国「だから! 我はナルシストじゃないと言ってるアルーーー!!!」
前回: https://scratch.mit.edu/projects/1289456415/ 次回: https://scratch.mit.edu/projects/1289490831/ ♫:帝国少女 絵・執筆:刹那 #countryhumans #china #novel #私の人生カンヒュだらけ! #和葉