水菜譚 幕間:龍王伟 |||||||||||||||||||||||||||||| 人を殺すのは好きじゃない。 自分にだって家族はいる。 殺される側にも家族はいる。 被害を被るのは殺された人物だけではないのだ。 殺し屋として生きると決めた時、 その宿業を受けることに抵抗はあった。 一度も"殺すこと"に嫌悪感を抱かなかった ことはない。 どの依頼でも、誰かの運命を壊すことに には変わりないのだから。 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||| 「今回もよくやった。王伟。」 「やることをやっただけです。 では、失礼します。」 「待て、王伟。人を殺すのには慣れたか?」 「......慣れることなんてありませんよ。永劫に。」 組織の裏切り者を殺す、という依頼だった。 娘のいる男だった。それも二人。 組織の金を盗み、海外に逃げるつもり だったそうだ。 ──────妻の病気を治せる国に。 彼の妻も、娘も。殺したようなものだ。 直接でなくても、それは変えられない。 そうだとしても切り替えるしかない。 家族のためなら何人だって殺してやる。 それしか自分に生きる道はないのだから。 |||||||||||||||||||||||||||||||||||| 「ただいまー。」 「あ!お帰りー!お父さん!!」 「お父さん遅い!!早くご飯食べて遊ぼーよ!」 帰って早々に、愛する娘と息子の出迎えがある。 「そうだな。早くご飯を食べて、遊ぼうか。」 「やったー!お父さんの言質とったー!」 「全く。どこでそんな言葉覚えてくるのかしら。 お帰り。あなた。」 「ああ、ただいま。」 妻が食卓に美味しそうな料理を並べてくれる。 「早く食べよ!」 「だーめ。手を洗ってからね。」 「じゃあ、お父さんと手を洗いに行こうか。」 「分かった!私が一番乗りだー!」 娘が洗面所に駆けていく。 「お姉ちゃんずるい!」 息子も続いていく。 「本当に世話の焼ける子達だ。」 その日は子供達とまれおゲームをして遊んだ。 |||||||||||||||||||||||||||||||||||| 「やっと寝てくれたか。」 「そうね。本当、元気なんだから。」 「はは。そうだな。自慢の子供達だ。」 「あなたと私の子供なんですもの。」 妻と晩酌をしながら語らう。 「それにしても日本語上手になったわね。あなた。 日本人って言われても問題ないくらい。」 「そうか。それは良かった。」 日本語に対して、妻からお墨付きをもらう。 こちらに越してからずっと学んでいたのが 功をなしたわけだ。 「明日は、早く帰ってきてね?」 「できるだけ頑張るよ。」 「ありがとう。でも無理はしちゃだめよ。」 「大丈夫だよ。無理はしないさ。」 妻はいつも私を気遣ってくれる。 いつもそうした言葉に救われる。 そうした一時を過ごしながら、 二人で寝床につくのだった。 |||||||||||||||||||||||||||||||||||| 「ただいまー。鈴、勇太。」 家の扉を開け、そう語り掛ける。 今日は帰りが遅れてしまった。 三人が待ちくたびれているはずだ。 だが、いつもならあるはずの[おかえり]がない。 代わりにそこにあったものは───── 「貴美...??」 首のない、妻の死体だった。 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||| リビングに急ぐ。すぐ傍にあるはずなのに、 何kmも先にあるように体が重い。 リビングに着いた。 そこには皿に並べられた妻と、子供の首。 テーブル中央には豪勢な料理が並んでいる。 「ぁ...。あ゛ぁ...!!!!!!」 そこにあったものを信じたくない。 見たくない。嫌だ。嫌だ。嫌だ。 何故だ。何故こんなことに。 ──────私の、せいだ。 私のせいで。妻が、娘が、息子が、殺された。 私がもう少し早く帰っていれば。 あるいは一日家にいれば。家族は、死ななかった。 こんな惨い殺され方をしなくて済んだ。 違う。私に真っ当に生きれる能力があれば。 やめてくれ。やめてやめてやめて。 何故自分じゃない。何故家族なんだ。 ここにあるのは家族の死体と自分だけ。 他に誰もいない。 「何故私を生かすんだ...!!」 ここに他の殺し屋がいるのなら、分かる。 そいつを殺して自殺すればいい。それだけだ。 なのに、なのにどうして....................................。 「家族だけを殺したんだ!!!」 この声は誰にも届かない。 家族を殺した、愉快犯に届いてくれない。 誰からも答えを得られない。 殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。 妻を、娘を、息子を、 こんな目に合わせた奴を殺してやる。 そうしてやっと、家族の所に行ける。 ここで死んではならない。 それでは家族に顔向けできない。 「少し、待っててくれ...。勇太、鈴、貴美...!!」 お父さんが帰るのを、どうか待ってほしい。 それは男が初めて抱いた、明確な殺意だった。 |||||||||||||||||||||||||||||||||| 「君の家族を殺した男を知っている。」 電話越しにそう告げられ、胸が高鳴る。 あれから三日。 三人の遺体は秘密裏に埋葬した。 警察に邪魔される可能性もある。 仕方のないことだった。 電話越しの言葉は嘘かもしれない。 だが、藁にも縋る思いで向かうしかなかった。 ||||||||||||||||||||||||||||||||||| 「来てくれると思っていたよ。」 約束されたカフェに着く。 そこにいたのは顔に笑顔の仮面を 貼り付けたように笑う、老人だった。 ただの老人ではない。私以上の実力者。 「お前の言っていたことは本当だな?」 「そんなに焦らなくてもいい。 まずは食事でもしようじゃないか。 勘定は私がしよう。」 「そんなものはどうでもいい。 私の家族を殺したのは誰だ!!」 「───。まずは自己紹介からだ。 座ったらどうかな?」 一刻も早く、家族の仇を討ちたい。 だが、この老人以外に糸口が 見つかるとも限らない。 逸る気持ちを抑え、椅子に座る。 すると老人が店員を呼び止める。 「ああ、すまない。林檎パフェを一つ。 それとアイスコーヒーを。」 「はい。ご注文は以上でしょうか。」 「私からは以上だよ。君はどうかな?」 「必要ない。」 「だそうだ。よろしく頼むよ。」 「分かりました。少々お待ちください。」 店員が戻っていく。 「それで、君の家族を殺した犯人なんだが...。」 老人の口が真実を紡ぐ。その答えは───── 「私の弟子だよ。君の家族を殺した後は実に 愉快そうだった。活き活きとしていたよ。」 ......................................................。 「指示を出したのは誰だ。」 「依頼者の情報は私も知らない。 だが、当てはある。」 老人の口から語られた事実。 それを聴いて、落ち着いていられる自分に 驚いていた。 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||| 「2034年5月4日。その日の9時頃、 三鷹ファイナンスのあるビルに、 私の弟子が向かうはずだよ。」 その言葉を頼りに、ビルに来た。 その間の二年。自分を磨き続けた。 一度逃した自分の実力不足を嘆きながら。 「待っていろ。勇太、鈴、貴美。」 次こそは殺す。仇を討つのだ。 不思議な事にではあるが、 "殺すこと"にもう嫌悪感は無くなっていた。 終。 matya_machaの一言 ドウモ!!マッチャデス!! 抹茶防衛戦?分かってるよ!! ちょっと待って!チョメイティォ。 (トマトをネイティブに言うとちょ待てよに聞こえる。) 龍王伟という殺し屋という宿業を背負った男は。 自分のために、家族の為に決意する。 [水菜 抹茶という男を殺す]と。 てかここまで見てる人いないか。 まあ、この小説おもんないもんな。 コメント、☆,♡、拡散、宣伝等励みになります! 是非してください...。
兎章-序- https://scratch.mit.edu/projects/1283712450/ 己章-序- https://scratch.mit.edu/projects/1277548111/ 幕間:師弟と女-中- https://scratch.mit.edu/projects/1279566093/ 小話 龍王伟は31歳です。重音テトと同じだね。