セイホの白い馬 むかしむかし、中国の北のほうに、セイホというおじいさんがすんでいました。 セイホは小さな家と畑、そして一頭の白い馬を大切にしてくらしていました。 ある日、その白い馬が山のほうへにげてしまいました。 村の人たちはびっくりして言いました。 「それは大変だ!かわいそうに。ついていないね。」 するとセイホは、にこっとして言いました。 「うーん、それが本当にわるいことかどうか、まだわからないよ。」 しばらくすると、にげた白い馬がもう一頭のりっぱな馬をつれて帰ってきました。 村の人たちは言いました。 「すごい!いいことがあったね!」 セイホはまた言いました。 「うーん、それが本当にいいことかどうか、まだわからないよ。」 ある日、セイホのむすこが、その新しい馬にのろうとして、落ちて足をけがしてしまいました。 村の人たちは言いました。 「それは大変だ。かわいそうに!」 セイホは言いました。 「うーん、それが本当にわるいことかどうか、まだわからないよ。」 そのころ、国では戦いがおきて、若い男の人たちはみんな兵隊にいかなければなりませんでした。 でも、セイホのむすこは足をけがしていたので行かなくてよくなりました。 だから、むすこは家族といっしょに、ぶじにくらすことができました。 村の人たちは言いました。 「セイホさん、あなたの言ったとおりだね。」 セイホは、やさしく言いました。 「いいことか、わるいことかは、すぐにはわからないものなんだよ。」 そして今日も、セイホの家の前では、 白い馬がのんびり草を食べていました。 おしまい。
セイホの白い馬 つづきのお話 セイホの家では、白い馬と新しい馬が、今日ものんびり草を食べていました。 むすこの足も、だんだんよくなってきました。 ある日、むすこが言いました。 「お父さん、ぼく、もうすこしで歩けそうだよ!」 セイホはにっこりして言いました。 「それはよかった。でも、あわてなくていいよ。」 むすこは、毎日ゆっくり歩くれんしゅうをしました。 白い馬も、そばで見守るように立っていました。 ある日、村に大きな雨がふりました。 山の水があふれて、畑がぬれてしまいました。 村の人たちはこまりました。 「作物がだめになってしまう!」 でも、セイホの家の畑だけは、少し高いところにあったので、 水につかりませんでした。 むすこが言いました。 「よかったね、お父さん!」 するとセイホは、またいつものように言いました。 「うーん、それが本当にいいことかどうか、まだわからないよ。」 むすこは、くすっと笑いました。 「お父さん、またそれ言ったね。」 セイホも笑いました。 「人生っていうのはね、あとにならないとわからないことが、たくさんあるんだ。」 そのとき、白い馬が「ヒヒーン!」と鳴きました。 まるで、 「ほんとうだよ!」 と言っているみたいでした。 それを聞いて、二人は声をあげて笑いました。 白い馬とセイホの家族は、 今日もゆっくり、なかよくくらしていました。 おしまい