ここ―――星殻ミッド学園には、校舎の中心に学園を浄化してくれる大人の男の人よりも大きいプリズムが置かれている。校長先生の長い話のうち、僕がちゃんと聞いていたのはこの部分だけだった。入学式を無事(?)に終え、教室に入った。受験したので、知らない人しか居ないし、みんな僕より頭が良さそう。先輩も優しそう。さすが私立。 校門を少し出て振り返る。ここからでもプリズムがはっきり見える。 「早くプリズム描きてぇな。」 小さくつぶやき、家に帰った。 ベッドに転がり、スケッチブックを開く。僕、ミッド学園に入ったら絶対美術部に入って、あとはあの巨大なプリズムをスケッチするって決めていたんだ。あ、絵の上手い下手は気にしないでね。スケッチブックを抱え、足をバタバタさせる。やりたかったことがいよいよできるんだ。希望と興奮でしばらく眠れなかった。 次の日、予想していた通り、クラスで自己紹介があった。僕は出席番号が1番だったのでおどおどしながら教卓の隣に立ち、深呼吸をする。大丈夫。僕なら大丈夫。口を開く。 「ア、アンバーですっ。よ、よろしくお願いします。え、絵をか、描くのがすきっです、、。」 口角を無理矢理上げ、ぎこちない笑顔を作ってみせる。クラスの視線が痛い。逃げるように自席に座る。隣の席の子が話しかけてきた。 「よろしくね?アンバーくん。」 「よ、よろしくねっ?」 この子はジェイドという名前らしい。それより顔面偏差値高いなぁ、ジェイドくん。僕、考え始めたら止まらないタイプだから、ここまでにしておこう。自己紹介の前よりジェイドくんの顔が赤いのはたぶん、気のせいだろう。